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公開日:2026.10.13

石川~岐阜の最短ルート!「小松白川連絡道路」はどこまで進んだ? 長大山岳トンネルで北陸道~東海北陸道のバイパスに【いま気になる道路計画】

林道「白山白川郷ホワイトロード」。現在、石川県と岐阜県をつなぐ実質的に唯一のルートだ

石川県と岐阜県を結ぶ高規格道路「小松白川連絡道路」の実現に向けた検討が進められている。現在は林道でつながる両県だが、道路が整備されれば、交通ネットワークが大きく変わる可能性がある。計画の詳細やメリット、現在の状況を見ていこう。

林道「白山白川郷ホワイトロード」。現在、石川県と岐阜県をつなぐ実質的に唯一のルートだ

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、白山白川郷ホワイトロード

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石川県小松市と岐阜県白川村を結ぶ「長大トンネル」

小松白川連絡道路の概要

小松白川連絡道路の概要

石川県と岐阜県は隣接しているものの、両県を結ぶ道路は、急峻な山岳地帯を越えるルートに限られている。標高2702mの白山をはじめとする「両白山地」がそびえ立ち、両県の交流を阻んでいるのだ。

現在の県境越えルートは、国道360号を経由するルートだ。石川県南部の小松市から南東へ進み、世界遺産・白川郷のある岐阜県白川村へと向かう。

このルートは、県境区間で有料道路「白山白川郷ホワイトロード」を通る。観光道路としての性格が強く、通行料金は普通車で1700円。バイクなどは通行できず、冬季は半年以上にわたって通行止めとなる。

急勾配や急カーブが30km以上にわたって続き、絶景を楽しめる一方、移動ルートとしては負担が大きい。さらに、土砂崩れなどによる通行止めのリスクもあり、2020年の被災時には、年内に通り抜けができない状態が続いた。安定した広域交通を支えるルートとしては、課題が残されている。

こうした状況を改善し、石川県と岐阜県の県境を越える交通機能を強化するため、高規格道路「小松白川連絡道路」の構想が検討されている。

林道「白山白川郷ホワイトロード」。現在、石川県と岐阜県をつなぐ実質的に唯一のルートだが、冬季は長期間通行止めとなる

林道「白山白川郷ホワイトロード」。現在、石川県と岐阜県をつなぐ実質的に唯一のルートだが、冬季は長期間通行止めとなる

小松白川連絡道路は、国が2021年に策定した「新広域道路交通計画」で、調査中路線として位置づけられている。

想定ルートは、小松空港付近の北陸自動車道から分岐し、小松市街地や小松駅を経由して、岐阜県白川村で東海北陸自動車道に接続するものだ。急峻な山岳地帯を越える県境区間は、長大トンネルで貫く計画とされ、全体の延長は約50kmと想定されている。

実現すれば、石川県から東海北陸自動車道へのアクセスが改善し、現在は富山県経由で大回りする必要があるルートの利便性が向上する。小松~白川村間の移動距離は約100kmから約70kmに短縮され、小松空港を起点とする周遊観光も、日帰りで楽しみやすくなりそうだ。

さらに、岐阜県内では高山~松本間を結ぶ高規格道路「中部縦貫自動車道」の整備も進められている。これらの道路が整備されれば、小松から高山、松本を経由し、長野・軽井沢・高崎・宇都宮方面へ向かう広域交通ネットワークの形成にもつながる可能性がある。

調査検討が前進。「計画段階評価」も近い?

小松白川連絡道路の概要

小松白川連絡道路の概要

では、小松白川連絡道路の計画は、現在どこまで進んでいるのだろうか。

地元では、2019年に「国道360号(飛騨地域~小松空港間)整備促進期成同盟会」が発足。石川・岐阜両県の関係団体が連携し、以来、毎年国に要望書を提出している。

具体的な調査は、全線のうち「旧鳥越村~白川郷」間の約30kmを中心に進められている。石川・岐阜県境を越える長大トンネル区間だ。

最大の課題は、長大トンネルの建設が技術的に可能かどうかという点だ。これまでの調査は、以下のように段階的に進められてきた。

2020年度:事例収集や先進技術の調査
2021年度:先進技術の検証方法の調査
2022年度:先進技術の選定方法の検討
2023年度:先進技術の有効性の確認、既往調査の深掘り

また、整備コストを抑えるため、EVなどの普及を踏まえて換気設備を縮減できないか、トンネル内に車両がいないときに照明を自動消灯できないかなど、維持管理費の削減につながる工夫も検討されている。

2026年9月11日には、国土交通省と石川・岐阜両県による第3回「小松白川連絡道路検討会」が開催された。

会合では、これまでの調査結果に加え、今後の進め方や検討体制について協議。白山山系を横断する長大トンネルには、施工や維持管理上の課題があることから、既存の白山白川郷ホワイトロードの機能強化についても検討が必要との考えが示された。

国の2025年度の調査では、延長約20kmの長大トンネルを仮想したシミュレーションなどを実施。その結果、現行の基準類では適用範囲外となる項目や前例のない項目が多く、引き続き検討が必要と整理されている。

また、第3回検討会では、既存道路の活用を検討する「現道活用検討WG」の設置が了承された。

整備方針がまとまれば、次に視野に入るのは、事業化に向けた初期段階の手続きである「計画段階評価」だ。この段階では、地域へのアンケートなどを通じて複数の案を比較し、概略ルートや道路構造を検討する。その後、都市計画決定や環境アセスメントなどの手続きを経て、事業化へと進むことになる。

現在は、計画段階評価の開始に向けて、整備方針をまとめるための調査が進められているところだ。観光や物流に求められる機能、白山信仰への配慮といった背景情報を整理するため、2026年も石川・岐阜両県の土木事務所が調査業務を発注しており、整備方針の策定に向けた検討が続いている。

新たな動きも。小松白川連絡道路はどうなる?

林道「白山白川郷ホワイトロード」は急カーブが続く道路だ

林道「白山白川郷ホワイトロード」は急カーブが続く道路だ

新たな調査・検討方針として打ち出された「白山白川郷ホワイトロードの通年通行化」では、2027年度から国の予算が計上される可能性が明らかされた。

この動きの背景には、いくつかの思惑があると考えられる。

●「現道の改良で十分」とする方針への布石
調査の結果、長大トンネルを建設するのではなく、必要最小限のトンネルやバイパスなど、既存道路の改良で十分だと判断する可能性がある。

●小松白川連絡道路の新たな整備理由をつくる
現在も観光需要の高い白山白川郷ホワイトロードでは、通年通行化が課題となっている。その実現には小松白川連絡道路の整備が不可欠だという論理を構築し、計画の必要性を補強する狙いも考えられる。

●概略ルート・構造の比較検討に向けた対案づくり
計画段階評価では、複数のルートや構造案を比較検討することになる。これまで長大トンネルの実現可能性を中心に調査が進められてきた一方、比較対象となる「現道活用案」については、十分なデータがそろっていない可能性もある。今回の調査を通じて、比較検討に必要な情報を集める狙いがあるのかもしれない。

長大トンネルによる新たな道路の整備と、既存の白山白川郷ホワイトロードの機能強化。今後は、こうした選択肢を含めて検討が進められることになる。

果たして、小松白川連絡道路の実現に向けた動きは今後どうなっていくのか。まずは「整備方針」の策定が次のステップとなるだろう。引き続き、その行方を注視していきたい。

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