第3の東名ルート!? 藤枝~清水を結ぶ「静清環状道路」はどこを通る? 国道1号や国道150号の混雑緩和する高規格道路とは【いま気になる道路計画】 | KURU KURA(くるくら)

はじめよう、クルマのある暮らし。

Traffic

公開日:2026.10.01

第3の東名ルート!? 藤枝~清水を結ぶ「静清環状道路」はどこを通る? 国道1号や国道150号の混雑緩和する高規格道路とは【いま気になる道路計画】

国道150号 静岡市清水区内(Puchi-masashi, CC BY-SA 4.0)https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79846464

静岡市の焼津~清水に、新たな東西ルート「静清環状道路」の構想がある。静岡市の沿岸部を高規格道路でつなぐこの道路構想について、概要や期待される役割、現在の状況を見ていこう。

国道150号 静岡市清水区内(Puchi-masashi, CC BY-SA 4.0)https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79846464

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、静岡市

この記事をシェア

焼津~清水を「海沿い」に高速移動

静清環状道路の概要

静清環状道路の概要

静岡県の中心都市である静岡市は、西側の城下町・旧静岡市と東側の港湾地帯・旧清水市からなる。両地域の間には日本平の山地があり、緩やかに隔てられている。

静岡~清水の主なルートとしては、東名高速道路のほか、国道1号バイパスと旧来の国道1号がある。いずれも日本平の北側、草薙エリアを経由している。

一方、日本平の南側を通る太平洋岸のルートとしては、国道150号が用宗から清水港を経て、清水中心部までを結んでいる。

こうした静岡市周辺の東西方向の交通を支える道路ネットワークとして整備が進められているのが「静岡東西道路」だ。現在の国道1号静清バイパスが、その主要なルートを担っている。

これとは別に、静岡市周辺を環状方向につなぐ道路ネットワークとして構想されてきた高規格道路が「静清環状道路」だ。

いわば「第3の東名ルート」ともいえる存在で、東名・新東名高速や国道1号バイパスを補完する、新たな東西軸として機能することが期待される道路と考えられる。ただし、東名高速道路や新東名高速道路のような高速道路そのものを想定したものではない。

起点は藤枝?「高速空白地帯」清水中心街も便利に

東海道新幹線に並行する国道150号「新日本坂トンネル」

東海道新幹線に並行する国道150号「新日本坂トンネル」

「静清環状道路」の構想されているルートを見ると、西側の起点は藤枝エリアとなるようだ。新東名高速道路「藤枝岡部IC」から国道1号バイパスまでには高規格の取り付け道路が整備されているが、これをさらに南へ延伸し、焼津港までつなぐ形になると考えられる。

そして焼津からは山地を抜けて静岡市内へ入る。現在の国道150号は、東海道新幹線に並行する形で新日本坂トンネルを通っており、2003年には2本目のトンネルが完成し、4車線化された。静清環状道路が既存のトンネルを活用するのか、それとも「第二の新日本坂トンネル」を新たに整備するのかは、現時点では明らかになっていない。大崩海岸沿いを海上高架などで通過するルートも考えられる。

静岡市内では、国道150号沿いを活用して高規格道路を整備するルートも考えられる。仮にこれが実現すれば、立体交差によって信号交差点を避ける東西ルートとなる可能性がある。国道150号は、駿河区の沿岸部における貴重な東西軸であり、安倍川を渡る主要ルートの一つでもあることから、交通が集中している区間だ。安倍川西岸では、東名高速からのアクセス道路が合流する形も想定できそうだ。

そのまま沿岸部を東へ進み、清水港沿いを北上して清水中心部へ向かう。さらに新東名高速道路の清水JCTと接続し、中部横断自動車道を経由して甲府市や中央自動車道方面へつながるネットワークを形成する構想だ。

静清環状道路には、大きく2つの役割が期待される。ひとつは、静岡~清水で国道1号「静清バイパス」に加わる新たな東西ルートを形成すること。もうひとつは、交通が集中する清水中心部に、信号交差点を立体化した高規格な道路を整備することだ。

特に旧清水市の中心部は市街地に信号交差点が集中している。また、三保エリアなどの臨海部から東名高速までは距離があり、「高速空白地帯」となっている。臨海部には市街地と工業地帯が混在しているため、物流を担う大型車と生活交通が同じ道路を利用する区間もある。こうした交通を分離し、沿岸部の東西交通を円滑化する役割を担うのが、静清環状道路というわけだ。

「静清環状道路」実現をとりまく周囲の状況は

日本平南側の海岸線沿いを走る国道150号。4車線化の最終段階だ

日本平南側の海岸線沿いを走る国道150号。4車線化の最終段階だ

静清環状道路の計画はどこまで進んでいるのだろうか。

気になる計画ではあるものの、現時点では事業化に向けた目立った動きは見られない。むしろ、その前段階ともいえる既存道路の整備が大詰めを迎えている状況だ。

まず国道150号の現道では、静岡側と清水側の大部分ですでに4車線が確保されているものの、日本平周辺にはまだ2車線区間が残っている。最後に残った大谷~根古屋の約4.2km区間は「久能拡幅」として2007年に事業化され、すでに約20年が経過。現在は一部の用地取得などが進められている。それ以外の区間では、4車線化に向けた工事が順次進められている。

一方、国道1号静清バイパスでも、全線4車線化と立体化に向けた事業が続いている。最後に残った約2.4km区間は「清水立体」として2016年に着工。2026年度内には東京方面が先行開通する予定となっており、こちらも整備は大詰めを迎えている。

では、これら2つの整備が完了したあと、静岡市内の道路整備に余地が生まれ、いよいよ静清環状道路に「順番」が回ってくるのだろうか。現時点では、そうした機運が高まっているとは言いにくい。

静岡市の「道路整備プログラム」(~2030年度)を見ると、静清環状道路に相当する国道150号や国道1号の清水中心街以北について、具体的な事業としての記載は見当たらない。その一方で、JR東静岡駅東側で国道1号や静岡鉄道をまたぐ南北軸の「長沼立体」は、「静岡南北道路」の整備事業として、事業化に向けた取り組みが位置づけられている。

また、国土交通省の「静岡県内各エリアの渋滞対策の基本方針」では、静岡~草薙~清水を結ぶ国道1号現道の渋滞が課題として挙げられ、集中的な対策が計画されている。一方、国道150号の沿岸ルートについては、要対策箇所としても、代替ルートとしても特に位置づけられていない。

基礎調査についても、確認できるものは平成20年代前半に実施されたものが中心となっており、近年、静岡市議会で大きく議論されたことは確認できない。現在も「新広域道路交通計画」には高規格道路として位置づけられているものの、具体的な事業化には至っていないのが実情だ。

壮大な構想ではあるものの、現状ではまだ静岡市にとっての「ロマン枠」ともいえる計画にとどまっている。今後、具体的な動きがあるとすれば、その一つとして考えられるのが「期成同盟会」の設立だろう。引き続き、その動向を注視したい。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

次回は10月5日からスタートです!
次回は10月5日からスタートです!

Campaign

次回は10月5日からスタートです!