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公開日:2026.06.04

山形~秋田を結ぶ海沿いルート「遊佐象潟道路」が前進! 2026年度に一部開通へ。「日本海東北道」の県境区間はどこまでできた?【いま気になる道路計画】

遊佐象潟道路の小滝地区では舗装工事が行われている。

日本海側の広域道路ネットワークを担う「日本海沿岸東北自動車道」のうち、山形県と秋田県を結ぶ「遊佐象潟道路」の整備が進められている。2026年度中の開通が予定されている区間もあり、事業は着実に進展している。同道路の概要や整備効果、現在の進捗状況を見ていこう。

遊佐象潟道路の小滝地区では舗装工事が行われている。

文=藤井宏治

画像=国交省、山形県

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遊佐象潟道路は日本海側の重要アクセスルート!

遊佐象潟道路の概要

遊佐象潟道路の概要

「遊佐象潟(ゆざきさかた)道路」は、山形県飽海郡(あくみぐん)遊佐町の「遊佐鳥海IC」から秋田県にかほ市象潟町の「象潟IC」に至る延長約17.9kmの自動車専用道路。設計速度は80km/h、完成時は2車線で整備される計画だ。

新潟県新潟市から青森県青森市までを結ぶ、延長約322kmの「日本海沿岸東北自動車道」の一部を構成している。日本海沿岸東北自動車道は多くの区間が開通済みで、遊佐象潟道路は、数少ない未開通区間のひとつだ。

当初は2026年度の全線開通が予定されていたものの、大雨による被害への対応や硬質な岩盤の出現、史跡保護への配慮などから事業計画が見直された経緯がある。2026年4月時点では全区間で工事が進められている。

遊佐象潟道路がもたらす3つのメリット

現道国道7号を迂回すると距離は約4倍となる

現道国道7号を迂回すると距離は約4倍となる

遊佐象潟道路が開通すると、秋田県と山形県の県境部に残るミッシングリンク(未整備区間)が解消される。また、並行する国道7号とのダブルネットワークが形成され、防災や医療、産業などさまざまな面で効果が期待されている。

まず、防災面での効果だ。国道7号が事故や災害によって通行止めとなった場合、山形県酒田市と秋田県にかほ市の間を移動するには、鳥海山の東側を大きく迂回する必要がある。しかし、この迂回ルートの距離は約164kmに及び、国道7号経由と比べて4倍超の距離となるため、緊急輸送道路として十分とはいえない。

遊佐象潟道路の整備によって国道7号とのダブルネットワークが構築されれば、豪雪や事故、災害などで一方の道路が通行止めとなった場合でも、もう一方が代替ルートとして機能する。これにより、物流や救援活動を支える交通の信頼性向上が期待される。

医療面では、秋田県由利本荘市やにかほ市から高次医療施設へのアクセス向上が期待される。遊佐象潟道路周辺地域からの救急搬送時間の短縮に加え、搬送ルートの安定化が図られることで、重症患者を迅速に受け入れられる可能性が高まる。日本海沿岸部は冬季の降雪や強風の影響を受けやすく、一般道では通行状況が不安定になるケースもあるが、遊佐象潟道路の整備により救急搬送の安定性が向上する見込みだ。

産業面では、ミッシングリンクの解消による所要時間の短縮と、ダブルネットワーク形成による輸送の定時性向上が大きな効果として挙げられる。例えば、青森県から大阪府へ移動する場合、距離だけを比較すると日本海側ルートのほうが短い。しかし、高速道路の未整備区間が残る影響から、現状では太平洋側ルートのほうが短時間で移動できる状況にある。

遊佐象潟道路をはじめとする未整備区間が解消されれば、日本海側ルートの所要時間はさらに短縮され、時間面での優位性向上が期待される。これにより、鮮度が重視される農水産物の流通効率が高まるほか、輸送の定時性向上によって物流の安定化や信頼性向上にもつながるだろう。

遊佐象潟道路は2026年度、2027年度に一部開通予定

遊佐象潟道路の全体位置図

遊佐象潟道路の全体位置図

遊佐象潟道路は山形県と秋田県にまたがることから、県境を境に異なる国土交通省の事務所が整備を担当している。山形県側は酒田河川国道事務所、秋田県側は秋田河川国道事務所が事業を進めている。

工事が順調に進んだ場合、秋田県側では「小砂川IC(仮称)~象潟IC」の延長約7.3kmが2026年度に開通予定だ。一方、山形県側では「遊佐鳥海IC~吹浦IC(仮称)」の延長約2.3kmが2027年度に開通予定となっている。

一方、県境部にあたる「吹浦IC(仮称)~小砂川IC(仮称)」の延長約8.3kmについては、現時点で開通時期が公表されていない。この区間にはトンネルや橋梁などの大規模構造物が集中しており、遊佐象潟道路の全線開通に向けた最大の焦点となっている。

2026年3月、国土交通省は2026年度政府予算案における事業計画(予定)を公表した。このなかで遊佐象潟道路についても言及されており、2026年度は「調査推進」「支障移転補償」「工事推進」が予定されている。また、開通に向けて72~90億円程度の事業費が必要と見込まれている。

さらに、2025年12月22日に公表された道路事業再評価では、開通時期が未定となっている区間を含む遊佐象潟道路全体の事業費が225億円増加するとの試算が示されており、今回の予算案にもその内容が反映された形となった。

遊佐象潟道路は全区間で用地取得率が約99%に達しており、用地確保はほぼ完了している。現在は各所で本格的な工事が進められている段階だ。しかし、過去には地質条件や災害対応などの影響により開通時期の見直しが行われた経緯がある。そのため、国土交通省の資料では開通予定時期について「工事が順調に進んだ場合」との注釈が明記されている。

「日本海沿岸東北自動車道」のミッシングリンク解消に向けて、着実に工事が進む「遊佐象潟道路」。まずは2026年度開通予定区間の進捗に注目しつつ、日本海側の大動脈完成へ向けた今後の動きにも期待したい。

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