いま、クルマに必要なのは“ロマン”なのかもしれない。大磯ロングビーチに約200台のクルマが集結。tokyo basic carclub発のカーフェスで見えた新しいカーカルチャー
新しいカーカルチャーを創出する東京発のコミュニティ「tokyo basic carclub」が、カーフェスティバル「ROMANTIC CARS」を開催。会場となった大磯ロングビーチではどんなカーカルチャーが生まれたのだろうか? YOKOHAMA Car Sessionの後藤和樹が、戦友のもとへ駆けつけた!
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目次
■YOKOHAMA Car Session 後藤和樹と愛車「いすゞ ピアッツァ」
YOKOHAMA Car Session(YCS:ヨコハマカーセッション)は、横浜赤レンガ倉庫に35歳以下のクルマ好きが集まるカーミーティング。その名前はイベント名であると同時に、3人組の主催グループの名前でもある。発起人のひとりである後藤和樹の愛車は「いすゞ ピアッツァ」と「シトロエン C4 カクタス」。
「ROMANTIC CARS」が開催された大磯ロングビーチにて
TBCC初主催のカーフェス!? 大磯ロングビーチに「ロマンティック」をもとめて
去る2026年初夏。またひとつ、若手が贈る自動車好きのムーブメントを感じる“ナウい”イベントが産声を? いや、初爆を起こした。その名も「ROMANTIC CARS」である。
舵をとるのはtokyo basic carclub(TBCC)だ。都内を拠点とし、ヤングタイマー車のマッチングサービスなどを行い、若手のカーカルチャーの始まりを手助けする。そんなTBCCが初のカーフェスを主催したのだ。今回はそこにYCSの筆者(後藤)が乗り込んだ!
TBCCとは共にトークショーで語ったり、YCSも一緒に盛り上げてくれた戦友であり、良きライバルでもある。
そんなYCS後藤が、このイベントで感じ取った新しいカーカルチャーのカタチとは……?
1980年代~2000年代前半のヤングタイマー車が並び、性能やグレードではなく、オーナーそれぞれの「そのクルマを選んだ理由」や背景にあるストーリーを楽しめるイベントとなっていた。
車窓から眺める非日常感を楽しむ
会場である神奈川・大磯ロングビーチ駐車場には、参加者の愛車を展示するゾーンの他に、愛車への想いやこだわりを詰め込んだ商品や作品を展開するガレージマーケットゾーンが設けられており、非常に賑わっていたが、もうひとつ面白いゾーンがあった。
それが、ドライブインシアターだ。
大型スクリーンでショートムービーを堪能。どこまでも広がる青空と海、そして隣には恋人や友人。愛車と過ごす、これ以上ない最高の時間だ。
そもそも、ドライブインシアターをご存知、過去に体験したことがある人がどのくらいいるか分からないが、これは大型スクリーンの前まで愛車で乗り付け、そのまま車内から映画を観るというもの。
今回、このイベントの目玉と言えるポジションにドライブインシアターが据えられている理由は、私が考えるにただひとつ。“ロマン”だろう。
クルマから映画を観るのって、なんか良くない? 楽しくない? これで十分なのだ。
ちなみに私は何の因果か、2004年に某ピクサーのカクレクマノミが活躍する映画を、この大磯ロングビーチで観たことがある。それから20年ほど経った今、同じ場所で自分のクルマから観るという事実に、胸が高鳴った。
当時はラジオで周波数を合わせて音を聴くスタイルだったが、そこは現代。Bluetoothスピーカーを渡され、それぞれの車内で楽しむスタイルにまで進化していた。愛車という特等席から味わう非日常体験は、いつの間にか忘れていたワクワク感を思い出させてくれた気がする。
クルマを「使う」からこそ生まれる、新しい出会い
シアター鑑賞を終えた後、私はマーケットゾーンに足を運んだ。
こちらもまた、独特の雰囲気を醸し出している。基本的にはガレージセールスタイルで、各オーナーのお気に入りのクルマとともに、古着やアクセサリーに、アート作品が並んでいた。
ここではクルマを単に移動手段ととらえず、「使う」ことにフォーカスを当てているところがまた良い。思い入れのある品ばかりなのか、私が手に取ると丁寧に説明してくれた。
筆者は、露店に並ぶグッズはひととおりチェックしないと気が済まない性分である(笑)
そんな中、今回この手のイベントに初めて参加したという、私より若い世代の「日産パオ」乗りに遭遇。せっかくなので、古着屋さんを出店していたオーナーさんに、普段のカーライフについて話を伺った。
彼は、少し古いパオを扱うのは難易度が高いと思っていたそうだ。しかし、実際に乗ってみると、苦労よりも楽しさのほうが勝っていると語ってくれた。
愛車も少し見せてもらった。パオのデザインが可愛いことは今さら言うまでもないが、オーディオ周りへのこだわりや、トグルスイッチの素晴らしさを熱弁する彼の姿に、こちらまで嬉しくなった。深い知識なんて必要ない。好きだから乗る。それでいいのだ。
「愛車(パオ)は新しい出会いも与えてくれるから大好きだ」とも語ってくれた。彼の人柄とパオが醸し出す雰囲気も、自然と人の輪を広げることに一役買っていそうだった。
日産パオを使って古着屋を出店していたオーナーとのクルマ談議は、とても楽しいひとときとなった。
「ROMANTIC CARS」が提示した、現代のクルマコンテンツ
さて、イベント自体は大成功と言えると思うが、改めてこのイベントを主催した戦友(笑)のTBCC代表・ 南部さんに話を伺ってみた。
後藤 そもそもイベント開催に至った経緯は?
南部 TBCCはSNSが主戦場だから、リアルでも新しい輪を作りたかった。それから、カジュアルにクルマを楽しむ人たちが、クルマ好きと出会える場を作りたかったというのがきっかけですね。
後藤 主な参加者はTBCCのマッチングサービスでクルマを買った人たち?
南部 基本的にはSNSのフォロワーさん向けに告知しましたけど、参加者の中にはTBCCのお客さんもたくさん来てくれています。
後藤 実は個人的に、イベントを起こすってことを2月くらいに聞いていたんですよ(笑)。
KURU KURA編集 え、そうだったんですか? そんな前から後藤さんに相談していたんですね。
南部 そうなんですよ。この規模のイベントってどうやるの? って。
後藤 200台規模となると大変だから。
KURU KURA編集 どうしてイベント会場に大磯ロングビーチを選んだのですか?
南部 背景が海って、ロマンティックじゃないですか。
後藤 ロマンティックは大切。海バックといえばYCSのイベントとも共通しているけど、客層が我々と違うから、また違った雰囲気で面白かったですよ。クルマ以外にも何かしら心にカルチャーを持ちつつ、クルマを楽しんでる人が多い印象。
南部 たしかにそれはあるかも……!
左から、tokyo basic carclubの南部翔也さんと、栗原勘之さん
後藤 このイベントを開催してみてどうでした?
南部 もちろん大変だったけど、たくさんの人とのコミュニケーションが生まれて、ここからいろんなことが広がっていきそうだなっていうワクワクがあった。ここで知り合った人同士も、それぞれ楽しんでくれたら嬉しいな。
後藤 我々はあくまでも裏方で、主役は参加者ですもんね。このイベントはジャンルレスにとにかく楽しんでいる人が多いって感じで、同じ主催者目線で見てても幸せな気分になる。ドライブインシアターは秀逸ですね。
南部 ドライブインシアターはまさにロマンの象徴だなと思っています。我々の憧れとしてあった昔の業界人みたいな人って、クルマを路駐してカフェでご飯を食べるみたいなカルチャーと、クルマが密接にあったと思うんですね。
一方で、現代はコンテンツが足りないせいで、ロマンティックさが遠のいてる気がする。だから、そういうカルチャー発信の場を作りたかったんですよ。
「ロマンティックなイベントを創出できた」と語るTBCCの南部さん。早くも次回開催に向けたアイデアが、頭の中に浮かんでいるようだった。
後藤 南部さんにとって“ロマン”ってなんですか?
南部 僕にとってはクルマを買うこと自体がロマン。そもそもスペックでクルマを買ったことがなくて、それよりはこのクルマで誰と、どこに行って、どんなことをしよう? みたいな生活を想像して買っているから、クルマ=ロマンがある生活が待ってる、と思う。
そして、そんなロマンあふれる生活をおくっている人を集めたかったってことが、自分にとってのロマンでもあり、イベントの開催につながったんです。
TBCCでクルマを買う人の中には、クルマにあまり詳しくない人も沢山います。でも、自分をロマンティックにしてくれる存在として、そのクルマを愛する気持ちがあるっていうのは変わらない。好きの角度が違うだけ。
だから、TBCCでクルマ好きへの扉を開いて、もっと好きが深まった時、よりコアなクルマ好きが集まるYCSのイベントに行ってみてほしいです。
一口に自動車趣味と言っても、カスタムが好きな人もいれば、ノーマルで乗りたい人もいる。キャンプでガシガシ使う人もいれば、愛車を使ってお店を開く人もいる。TBCC発の「ROMANTIC CARS」では、そんなさまざまなカルチャーと、“好き”という気持ちの多様性が垣間見えた。
クルマとの付き合い方も、楽しみ方も人それぞれ。それぞれの“好き”を否定せず、互いのスタイルを楽しむ空気が、このイベントにはあった。
クルマのイベントを立ち上げた身としても、この日はとても刺激的な1日になった。
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