福井~岐阜を結ぶ「中部縦貫道」が前進!「大野油坂道路」の「新下半原トンネル」が貫通。2029年春の全線開通へ【いま気になる道路計画】
中部縦貫自動車道の福井県と岐阜県を結ぶ区間で、「大野油坂道路(おおのあぶらさかどうろ)」の整備が進められている。工事の概要や期待される整備効果、現在の進捗状況などを紹介しよう。
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中部縦貫道の未開通区間「大野油坂道路」
大野油坂道路の位置図
「中部縦貫自動車道」は、長野県松本市を起点に、岐阜県高山市や福井県大野市を経て福井市に至る約160kmの高規格道路だ。中央自動車道、東海北陸自動車道、北陸自動車道を結び、北陸と中京圏、甲信地方、飛騨地方をつなぐ広域交通ネットワークを形成している。
「大野油坂道路」は、その一部として福井県大野市中津川から東市布までを結ぶ約35.0kmの自動車専用道路だ。「大野IC~勝原IC」の約10.0kmと、「勝原IC~九頭竜IC」の約9.5kmはすでに開通している。
2026年8月時点で未開通なのは、「九頭竜ICから岐阜県境側の油坂出入口(仮称)」までの約15.5km。この区間が完成すると大野油坂道路が全線開通し、福井県内の中部縦貫自動車道は北陸道の福井北JCT・ICから岐阜県境まで連続することになる。
さらに、岐阜県側では油坂峠道路を経て、東海北陸道の白鳥JCT・ICへ接続する。大野油坂道路の未開通区間は、北陸道と東海北陸道を結ぶルートに残された最後の区間にあたり、全線開通によって福井と岐阜を結ぶ高規格道路ネットワークの形成が進むことになる。
福井~岐阜の移動を快適に! 所要時間が大幅短縮
大野油坂道路による高速道路ネットワークの形成
大野油坂道路にはどのような整備効果があるのだろうか。
大野油坂道路と並行する国道158号は、急カーブの多い山間部を通る道路だ。過去10年間には、大雨や積雪、土砂災害などによる通行止めが35回発生している。また、設計速度50km/hの場合の最小曲線半径を満たさない線形不良箇所も74か所ある。
大野油坂道路が全線開通すれば、北陸と中京圏を結ぶ高速道路ネットワークが強化される。広域的な移動時間の短縮に加え、物流の定時性向上や観光交流の拡大など、さまざまな効果が期待されている。
なかでも、残る「九頭竜IC~油坂出入口(仮称)」の開通は、国道158号の課題を補完するうえで重要だ。福井県側から岐阜県境付近まで自動車専用道路で連続して走行できるようになり、平時には急カーブの多い国道158号を避けて移動できる。さらに、大雨や大雪、土砂災害などで国道158号が通行できなくなった場合には、代替ルートとして地域間の交通を支える役割も期待される。
実際、すでに開通した区間では整備効果が表れている。2023年に開通した「勝原IC~九頭竜IC」では、大野市役所から大野市和泉地域交流センターまでの所要時間が、開通前に国道158号を利用した場合の約38分から、開通後は約27分へと11分短縮された。移動距離も約29kmから約23kmに短縮されたほか、国道158号の交通量の約5割が大野油坂道路へ転換している。
全線開通による効果は、救急搬送にも及ぶ。大野市和泉地域交流センターから、福井県嶺北地域で唯一の第三次救急医療機関である福井県立病院までの搬送時間は、大野油坂道路の整備によって18分短縮される見込みだ。急カーブや路面の起伏が少ない自動車専用道路を利用できるようになれば、搬送の所要時間短縮だけでなく、患者への負担軽減にもつながると期待されている。
最後の新下半原トンネルが貫通、2029年春開通へ?
新下半原トンネル貫通時の様子
では大野油坂道路の未開通区間の進捗はどうだろう。
2026年6月11日、新下半原トンネル(仮称)が貫通した。全長は約230mで、2025年11月中旬の掘削開始から約7か月で掘り抜いたことになる。これにより、同区間に設けられる6本のトンネルがすべて貫通した。現在は、トンネル底部や内壁を固める工事が進められている。
トンネル工事と並行して、区間内では橋梁工事も進んでいる。橋梁工事は、橋脚や橋台など橋を支える部分を造る「下部工」と、その上に橋桁や床版を築く「上部工」に大きく分けられる。2026年7月時点では、区間内の20橋すべてで上部工に着手しており、このうち8橋では上部工が完成した。残る橋でも、橋桁の架設などが進められている。
なかでも工事の進捗が注目されるのが、「新子馬巣谷橋(仮称)」だ。橋脚を支える大型基礎を地中深くまで沈める作業が難航していたが、2026年6月に完了した。現在は、基礎内部へのコンクリート打設など、次の工程が進められている。
九頭竜IC~油坂出入口(仮称)は、工事の難航を受けて当初の開通予定が見直され、現在は2029年春の開通を予定している。ただし、大規模構造物の工事が順調に進むことが前提となる。なお、国土交通省は今後も、工程短縮の余地がないか検討し、2029年春から半年程度は前倒して開通することを目指すという。
このように大野油坂道路は、区間内にある6本すべてのトンネルが貫通し、開通に向けた工事は次の段階へ進んでいる。今後は、橋梁や道路本体の工事に加え、舗装や設備などの整備がどこまで進むかが焦点となる。引き続き整備の動向に注目していきたい。
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