東京~市川を結ぶ「新たな橋」誕生へ? 江戸川新ルート「大洲橋」計画の全貌と現状。一部は2026年事業化【いま気になる道路計画】
東京都江戸川区と千葉県市川市を隔てる江戸川に、新たな橋「大洲橋」の整備が計画されている。2026年7月には計画の一部が事業化された。同計画の詳細や整備によるメリット、現在の進捗状況を見ていこう。
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江戸川区と市川市に「大洲橋」が誕生?
東京都と千葉県の境界を流れる江戸川には橋が少なく、限られた橋に交通が集中して、各所で慢性的な渋滞が発生している。
なかでも江戸川区と市川市を隔てるエリアでは、北側に小岩の国道14号「市川橋」がある。一方、南側は妙典の千葉県道6号 市川浦安線にある「新行徳橋」「行徳橋」まで、約5kmにわたって橋のない「橋空白地帯」となっている。
国道14号も市川浦安線も信号が連続しており、平均旅行速度が低く、交通混雑も激しい。これを避けるドライバーは、中間部を通過する有料道路「京葉道路」を利用することになる(江戸川大橋を含む千葉県側が有料)。
そんな橋空白地帯に、新たな江戸川架橋計画が存在する。それが、都市計画道路「補助第286号線」と、江戸川を渡る「大洲橋(仮)」だ。
篠崎の架橋予定地点付近。対岸に市川市街が見える
補助第286号線は通称「大杉橋通り」、起点は江戸川区役所の北側にある「八蔵橋交差点」だ。そこから東へ延び、鹿骨・篠崎エリアまでを結んでいる。
篠崎からさらに東側は未開通区間となっており、将来的には、江戸川を渡って市川市内まで到達する計画だ。渡河予定地点付近には排水用の水門があり、市川側には河川敷の野球グラウンドが複数並んでいる。
市川市内に入ると、路線は都市計画道路「大洲平田線」となり、市川大洲郵便局の西側を通って北上。東京外かく環状道路(外環道)の「市川中央IC」付近まで延びる。さらに計画線は西へ大きく向きを変えて「市川鬼高線」となり、JR市川駅南口を経由して、将来的には江戸川沿いの団地「パークシティ市川」まで続く計画となっている。
全線が開通すれば、京葉道路を使わずに江戸川を渡れる新たなルートが誕生する。さらに、外環道の側道付近にも接続する計画で、都内から松戸方面へ向かう際の新たな選択肢となりそうだ。
東京都では「優先整備路線」で一部事業化
補助第286号は一部が2026年事業化を果たした
それでは、この新たな江戸川渡河ルート計画は、どこまで具体化しているのだろうか。
まず東京都側では、「上篠崎工区」460mが2026年7月に事業化された。都内でも、今後の動きが注目される工区のひとつと言える。
上篠崎工区は、篠崎公園から住宅地を抜け、南北方向に走る補助第288号線へ接続する計画。現在は用地測量が進められ、用地取得も始まったばかりだ。これらがスムーズに進むかどうかが、今後の整備を左右するポイントとなる。
補助第288号線では、すでに先行して拡幅整備が進められており、用地取得率は約9割に達し、現地では拡幅用地が確保された区間も目立つようになってきた。将来的には、「京葉道路~大洲橋(仮)」を結ぶアクセスルートとしての役割が期待されている。
この補助第288号線は、江戸川のスーパー堤防化事業と一体的に整備される計画だ。堤防区間はボックスカルバートを用いた半トンネル構造とし、広域避難場所である篠崎公園へのアクセス機能も担う予定となっている。
一方、肝心の「江戸川渡河区間」はどうだろうか。
東京都は本区間を、第五次事業化計画において「優先整備路線」に位置付けており、整備の優先度は高い。
直近では、2025年11月の都議会で、東京都側から「引き続き、共同事業者となる千葉県などと連携し、本橋梁計画の具体化に向けて検討を進めてまいります」との答弁があった。
今後は、この区間の整備と並行して、千葉県側との調整を含めた江戸川渡河区間の具体化がどこまで進むかが注目される。
千葉県側の整備状況は?
市川市側の「大洲平田線」も優先整備路線に指定されている
市川市側の「大洲平田線」ではどんな動きがあるのだろうか。
市が2022年に策定した「都市計画道路整備プログラム」では、大洲平田線の全区間が「優先整備路線」に位置付けられている。県事業となる渡河部についても、優先順位は「4位」に位置付けられており、整備の優先度は決して低くない。
千葉県も、県境をまたぐ橋梁を「県境橋梁」と位置付け、「隣接する都県との交流、連携を強化し、地域経済の活性化や防災力の向上を図るために整備が重要」としている。
ただし、東京・千葉県境では現在、「旧江戸川橋梁」(仮称:押切・湊橋)の整備が最優先で進められている。
この橋は篠崎と行徳を結ぶ計画で、江戸川区の南北軸である「柴又街道」を南へ延伸し、市川市の行徳エリアを道路ネットワークに組み込むことを目指している。1967年の都市計画決定から半世紀以上を経て、2023年に事業化されたばかりだ。
こうした状況を踏まえると、大洲橋(仮)の具体化に向けては、まずこの行徳の架橋計画の進展が、今後を占ううえでも重要なポイントになりそうだ。
実際、現時点で千葉県議会において、大洲橋(仮)についての具体的な議論は確認できない。
このように、東京~市川を新たに結ぶ架橋計画は、現状ではまだ「順番待ち」の段階だ。しかし、東京都・市川市の双方で優先整備路線に位置付けられていることから、整備の優先度が高いことに変わりはない。
今後、「橋の構造を検討する」といった具体的な動きが見られれば、計画がいよいよ具体化してきたサインといえるだろう。周辺の道路整備や行徳の架橋計画とあわせて、引き続き注目していきたい。
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