ポルシェがカエル顔を捨てた!? 991.2型911 GT2 RSをベースにスラントノーズの「フラッハバウRS」をワンオフで製作
ポルシェは8月14日、991.2型911 GT2 RSをベースにしたワンオフモデル「フラッハバウRS」を発表した。
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目次
「モビーディック」の愛称で知られる伝説のル・マンレーシングカー「935/78」に敬意
「さらに優れたパフォーマンスとフラットなノーズ、そして911 GT3 Rレンシュポルトのようなリヤウイングをお願いします」
ほぼ新車のコンディションを維持した、2018年式991.2型911 GT2 RSヴァイザッハ・パッケージを所有するポルシェ愛好家の要望を受けて、ポルシェの特注部門「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」がマンタイの協力を得て製作されたのが、このたび発表された公道走行可能なコレクターズアイテム「Flachbau RS(フラッハバウRS)」。
グランプリホワイトに塗装され、新形状のホイールアーチとボンネット上の印象的なU字型のコントラストグラフィックを備えたこのクルマのフロントデザインは、「モビーディック」の愛称で知られる伝説のル・マンレーシングカー「935/78」に敬意を表したものだ。
ポルシェ935は、930型911ターボをベースに開発され、1976年以降、GTモータースポーツの方向性を決定づけた。その細長い空力形状から、935/78は「モビー・ディック」というニックネームで呼ばれている。
フラッハバウ(別名スラントノーズ=低く平らなノーズ)ボディスタイルと「ゾンダーヴンシュ」は、ポルシェにおいて数十年にわたり密接に結びついてきた。ポルシェは1980年代、フロントフェンダーとポップアップヘッドライトを再設計した930型911ターボの華麗な改造バージョンを提供。このデザインは、長年にわたり耐久レースを席巻した伝説のポルシェ935をベースにしている。
1982年から1989年の間、この改造バージョンは948台販売された。後年の改造を考慮しても、フラッハバウモデルは今日でも911の最も希少なバリエーションのひとつ。ポルシェが2025年5月に欧州特許庁に「Flachbau」と「Flachbau RS」というモデル名を登録したことが明らかになったとき、スポーツカー業界やメディア関係者の間で好奇心と興味が掻き立てられたのは間違いない。今回、ポルシェはその秘密を明かした。この特許出願の理由は、2018年製のヴァイザッハ・パッケージを装着したほぼ新車の911 GT2 RS(991.2型)を精巧に改造するためだったのだ。
ポルシェ・フラッハバウRS|Porsche Flachbau RS
このプロジェクトには、ゾンダーヴンシュ、スタイル・ポルシェ、ヴァイザッハ、ポルシェ・モータースポーツ、マンタイの開発エンジニアからなる多分野にわたるチームが約3年を費やした。ポルシェの製品提供および個別化を担当するアレクサンダー・ファビグ副社長はこのように説明する。
「スラントノーズモデルへの改造は、お客様との合意に基づきパワートレインを変更しなかったにもかかわらず、非常に困難であることが判明しました。私たちの目標は、安全性、テクノロジー、または道路認可を損なうことなく、935の象徴的な外観を再解釈することでした。包括的な軽量化対策により、このワンオフカーは31.6kg軽量化されました。それほど目立たないように聞こえるかもしれませんが、ヴァイザッハ・パッケージ付きの911 GT2 RSは、すでに軽量化に関して妥協のない最適化が施されたスポーツカーです」
この特別プロジェクトのデザインを担当したのは、その後引退したグラント・ラーソン氏。このデザイナーは、ポルシェが70周年記念の一環として2018年に発表した935の現代的解釈を担当した人物でもある。
「新しいフラッハバウRSは、象徴的な935“モビーディック”デザインを現代的でふさわしい形で再解釈したものです。低いフロントフェンダーに加えて、非常に細いLEDユニットを備えた千鳥配置のヘッドライトが重要な特徴です」とラーソン氏は言う。
カラーリングも伝統と現代的な再解釈を融合。ラーソン氏は続ける。
「グランプリホワイトにマットブラックで塗装された部分や、カーボンファイバーが露出した部分を組み合わせました。これによりコントラストが生まれ、フロントのU字型のコントラスト要素は、マルティニ・カラーの935/78、つまり有名な“モビーディック”のデザインの特徴を踏襲しています」
ホワイトの色調はこのワンオフカーのために特別に開発されたもの。ポルシェAGコレクションのグランプリホワイトの歴史的な911を参考にしたという。
巨大なリヤウイングは3段階調整式で340km/h時に554kgのダウンフォースを発生
ポルシェ・フラッハバウRS|Porsche Flachbau RS
フロントウイングはより低く配置され、空気圧を低減するためにスリット状のエアアウトレットを備えている。フェンダーの新しい形状に合わせるため、フューエルフィラーキャップとその内部機構、およびフロントバンパーも変更する必要があった。
マンタイ製のフラップはフロントエンドの空力性能を際立たせている。標準の丸型ヘッドライトの代わりに、ハイビーム、ロービーム、デイタイムランニングライト用に上下に配置された3つのとてもスリムなLEDエレメントを備えた新しいライティングシステムが採用された。
ブラック、むき出しのカーボンファイバー、そしてグランプリホワイトのコントラストは、935/78のモータースポーツのルーツを彷彿とさせる。リヤホイールのエアロディスクとブラックのブレーキキャリパーが全体的なスタイルを完成させている。
フロントスプリッター、アンダーボディ構造、リヤディフューザー、カーボンファイバーエアロディスクは空力と効率を向上させた。S字型のマウントを備えた新しいリヤウイングは、911 GT3 Rレンシュポルトから着想を得ているが、このモデルでは約50mm高く、3段階に固定位置を調整できる。「ハイダウンフォース」の設定の場合、340km/hに達するとリアアクスルには554kgのダウンフォースを発生させる。
キャビン後部は軽量化のために徹底的に取り払われた
ポルシェ・フラッハバウRS|Porsche Flachbau RS
キャビンの前部ではスポーティで高品質な雰囲気が維持されているが、後部は軽量化のために徹底的に取り払われている。PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネジメント)システム、オーディオコンポーネント、防音材や内装材の大部分が取り外された。
グランプリホワイトの露出した金属部分、カーボントリムパーツ、意図的に露出させたワイヤーハーネスはレーシングカーのキャラクターを強調。カーボンファイバー・バケットシートには「Flachbau RS」が刺繍されており、その背後にはノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)をデフォルメしたデザインが施されている。
金色のバッジには「Sonderwunsch」の文字と「Factory One-Off 2026 | Flachbau RS」の刺繍が入り、世界に1台だけの特別なモデルであることを主張。警告三角板や牽引フックなどの必須装備は、取り外し可能なエマージェンシーボックスに収められている。
ヴァイザッハとニュル北コースで徹底的なテストを実施
ポルシェ・フラッハバウRS|Porsche Flachbau RS
ポルシェは、改良型コンポーネントを製造するための新しい金型を製作する前に、設計をデジタルで検証した。このプロセスには、簡略化された衝突シミュレーション、大型リヤウイングにかかる荷重の構造解析、数値流体力学(CFD)を使用した空力計算が含まれていた。
これに続いて、ハイドロパルサー(油圧式加振機)を用いた試験装置や静的荷重試験など、コンポーネント単体でのテストを実施。照明設備やと風洞、そして実際の路上でのさらなる検証テストを行うために、3台のテスト車両が製造された。メンディヒ飛行場でのテスト走行、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでの50ラップ、ヴァイザッハでの耐久テストを組み合わせて、特にリヤアウイングに関して、顧客の使用による約15万kmの走行に相当する負荷がシミュレートされた。
ニュルブルクリンクのテスト走行でステアリングを握ったポルシェのテストドライバー、ラース・ケルン氏はこう述べている。
「ノルドシュライフェを走れば、空力コンセプトがいかに効果的に機能しているかがすぐにわかります。フラッハバウRSは、超高速域においても極めて高い安定性と正確な挙動を維持します。これこそが、これほど大胆のモディファイされたボディデザインを検証するうえで必要とされるフィードバックなのです」
ポルシェ・フラッハバウRS|Porsche Flachbau RS




