岐阜県南部に新たな東西軸!「東濃西部都市間連絡道路」がついに調査開始へ。国道19号の多治見~瑞浪で渋滞緩和なるか【いま気になる道路計画】【いま気になる道路計画】
岐阜県の多治見~土岐~瑞浪を結ぶ新たな広域バイパス「東濃西部都市間連絡道路」が、2026年度から調査開始となった。「東濃西部ハイテク道路」とも呼ばれる構想の背景や整備効果、計画の詳細を見ていこう。
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国道19号の4車線化は大詰めへ。一方で新構想が浮上!
岐阜県内の国道19号バイパス整備は大詰めを迎えている
国道19号は、愛知県・岐阜県・長野県を結び、古くは主要街道「中山道」として発展してきた幹線道路だ。沿線には多治見、土岐、瑞浪、恵那、中津川などの都市が連続している。
中津川までは中央自動車道が並行し、国道19号は高速道路と沿線地域を結ぶ役割を担っている。しかし、長年にわたり旧態依然とした狭い2車線区間が残され、沿道に工業団地が集積するなかで、物流や日常交通の両面で渋滞などの課題が顕在化してきた。
こうした状況を受け、国道19号では各地で4車線バイパス整備や拡幅事業が進められてきた。岐阜県内では、内津バイパス(1994年)、多治見バイパス(1975年)、土岐バイパス(1976年)、瑞浪バイパス(1999年)、恵那バイパス(一部区間を除き拡幅完了)、恵中拡幅(2013年)、中津川バイパス(2006年)などが完成している。
国道19号の改良事業で、残る未整備区間となっているのが「瑞浪恵那道路」だ。瑞浪市~恵那市を結ぶ延長約12.5kmの区間で、狭い谷あいを通過する現道は交通のボトルネックとなっている。
さらに沿線では「恵那テクノパーク」に加え、リニア中央新幹線の開業を見据えた「恵那西工業団地」の整備も進行中で、物流需要の増加が見込まれている。こうした背景からバイパス整備の必要性が高まり、2018年に全区間が事業化された。
瑞浪恵那道路は現在、用地取得がおおむね完了しており、2022年には恵那工区が着工。現地では橋梁整備が進み、構造物が次々と姿を現している状況だ。
国の「新広域道路交通計画」に構想路線として位置づけられている「東濃西部ハイテク道路」
こうしてバイパス整備が進められてきた国道19号だが、ここへ来て、多治見~土岐~瑞浪エリアで「新たなバイパスネットワーク構想」が具体化へ向けて動き出した。
これは国道19号の並行バイパスとは別に、南側の開発エリアを視野に入れた新ルートを整備する構想だ。
具体的なルートは今後検討されるものの、概ね「国道19号南側の約4km圏内」を通過するルートが想定されている。想定範囲には、東海環状道 土岐南多治見ICへ直結し、将来的にジャンクション化する可能性も含まれる。
この構想は、2021年に国が策定した「新広域道路交通計画」において、「東濃西部ハイテク道路」として構想路線に位置付けられており、具体化に向けた候補のひとつとなっていた。
「東濃西部都市間連絡道路」の整備効果とは?
東濃西部都市間道路の整備対象エリア
多治見・土岐・瑞浪にまたがる「東濃西部地域」では、中山道に沿う土岐川沿いだけでなく、南側の支流沿いや丘陵部でも市街地の拡大が進んでいる。
周辺には「土岐プラズマリサーチパーク」や、計画中の「森下テクノパーク」などの工業団地が立地。「土岐プレミアム・アウトレット」に代表される商業施設の集積も進んでいる。
また、医療拠点となる「公立東濃中部医療センター」も中央道や国道19号から離れた丘陵地に位置しているほか、中京学院大学の新キャンパス設置も予定されている。
こうした土岐川南岸エリアの発展に伴い、旧来からの幹線である国道19号では、通過交通と生活交通の混在が一層顕著になっている。多治見・土岐・瑞浪の3市では、地域内交通の割合がすでに4割を超えており、本来は広域幹線道路である国道19号への負担が高まっている状況だ。
多治見市や土岐市では、中心部の主要交差点で終日にわたる渋滞が発生。周辺道路にも交通が流入し、慢性的な混雑が続いている。
また、土岐市内を通る東海環状道でも、土岐南多治見ICと国道19号を結ぶアクセス道路の混雑が課題となっている。
こうした状況を受け、「国道19号+多数の横軸道路」に依存する現在の交通構造に対し、「新たな縦軸」を形成することで、地域全体の交通流を分散・円滑化しようというのが、「東濃西部都市間連絡道路」構想の狙いだ。
30年以上を経て悲願の「調査開始」へ。今後どうなる?
国道19号周辺の渋滞は、生活交通の増加が大きな要因となっている。
「東濃西部都市間連絡道路」の実現に向けた動きは、1994年に「東濃西部都市間連絡道路建設推進協議会」が設立されたことで本格化。以降、地元自治体を中心に国への要望活動が継続され、2026年2月には「東濃西部地域の今後の道路ネットワークに関する検討の方向性」が取りまとめられた。地域の課題や整備効果を整理した、いわば“決定版”ともいえる内容だ。
これを受け、国は2026年度予算計画において、調査予定箇所として次のように明記した。
「東濃西部地域(多治見市・土岐市・瑞浪市)については、国道19号の機能強化等を含め、交通課題解決やネットワークのあり方に係る調査を、岐阜県等の関係機関と連携して進めます」
長年にわたり要望が続けられてきた構想が、いよいよ具体的な調査段階へと進み始めた格好だ。
では今後、計画はどのように進んでいくのだろうか。
まずは数年かけて調査・検討が行われ、その後「計画段階評価」へ移行するとみられる。ここでは地域アンケートなどを実施しながら、概略ルートや道路構造を検討。さらに都市計画決定や環境アセスメントなどの手続きを経て、事業化を待つ段階へ進む流れとなる。
「東濃西部都市間連絡道路」は、国道19号としては異例の広域的な新バイパス構想だ。果たして、計画段階評価はいつ始まり、さらに事業化まで到達するのはいつになるのか、引き続き注視していきたい。
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