なぜマツダ新型SUV「CX-5」は絶好調? 乗って初めて分かった「静かなる進化」【瀬イオナの試乗レビュー】
マツダの新型SUV「CX-5」が好調だ。9年ぶりのフルモデルチェンジで3代目へと進化したが、外観は先代のイメージを継承している。では、一体何が進化したのか。最新モデルの仕上がりを、モータージャーナリストの瀬イオナがリポートする。
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待望のマツダ新型CX-5
フルモデルチェンジし3代目となったマツダ CX-5に試乗した。
2012年に誕生したCX-5は、この13年でブランドを代表する存在へと成長。9年ぶりとなるフルモデルチェンジが行われ、海外で先に発表・発売されてから、日本にはいつ来るの? と待ちわびていた人も少なくないはず。
実際、6月23日のニュースリリースでは、国内導入後の受注が1ヶ月で1万台を突破と報じている。月間販売計画2000台の5倍という数字を見ても、このクルマへの期待の大きさが伝わってくる。
運転席へ早速乗り込んでみると、最初に感じたのは「今っぽいな」という素直なワクワクだった。インテリアは徹底的にシンプル。無駄な装飾を削ぎ落としながらも、どこか温かみを感じた。15.6インチの大型ディスプレイは存在感があるのに圧迫感はなく、水平基調のインパネによって視界も広々としている。
エクステリアはキープコンセプトながら、インテリアは大幅にアップデートされた新型CX-5。
「MAZDA」の文字を中央に配し、印象をガラリと変えたステアリングデザイン。ボタンは静電式だが、操作性に配慮しクリックの感ある押しボタンを採用している。
開発担当者に聞くと、この圧迫感のなさはかなり試行錯誤した部分だという。インパネの位置は高すぎれば窮屈になり、低すぎれば身体が前に投げ出されそうな不安感がある。その絶妙なラインを探り続けて完成したそうだ。言われてみれば納得だった。運転席に座るだけで、不思議と肩の力が抜ける。
そして目に入るのがステアリング中央。これまで見慣れたマツダのエンブレムではなく、「MAZDA」という文字が堂々と刻まれている。聞けば、今後はこちらへシフトしていく予定とのこと。たったそれだけの違いなのに、ブランド全体が次の時代へ歩き始めたようにも感じられた。
CX-5のちょっと面白い使い方
外観ではリアビューも印象的だった。最近は一文字テールランプが流行しているが、新型CX-5はあえて採用しなかった。理由を尋ねると返ってきた答えが面白い。
「生き物らしさを表現したかったんです」
左右それぞれが独立して光るランプは、確かに何かがこちらを見つめているような生命感がある。マツダが掲げる「魂動」という思想は、こういう細かなデザインにも宿っているのだと感じた。
CX-5のボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1695mm。
ホイールベースは先代より115mm延長され2815mmに。
リアのエンブレムも従来のロゴから「MAZDA」の文字エンブレムに変更された。
後席へ移る。ホイールベースが115mm延長された恩恵は想像以上だった。足元にはしっかり余裕があり、頭上空間も広い。ドア開口部も拡大されているため、乗り降りが驚くほど自然だ。チャイルドシートを使う家族や、高齢の家族を乗せる人には、この違いは数字以上に大きいだろう。
荷室も広くなり、後席を倒せばほぼフルフラットになる。説明してくれた担当者が、ちょっと面白い使い方を教えてくれた。
「ヘッドレストを逆向きに付け替えると枕代わりになるので、寝転がってパノラマサンルーフから星空を眺められますよ」
その瞬間、SUVは荷物を積む道具というだけではなく、時間を楽しむ場所にもなれるのだと気付かされた。
水平基調のデザインで、シンプルかつ上品に仕上げられた新型CX-5のインテリア。
新型CX-5はホイールベースが115mm延長されたことで後席は見た目以上に広い。
試乗して改めて感じたこと
試乗したCX-5は、マイルドハイブリッド化した2.5リッター直列4気筒NAガソリンエンジンに6段ATという組み合わせ。
いよいよ走り出す。最初の交差点を曲がっただけで、このクルマの性格が伝わってきた。ステアリングは軽い。しかし軽いだけではない。切った分だけ素直にノーズが向きを変え、余計な遊びがほとんどない。思ったラインをそのままなぞるように曲がっていく。
アクセルも同じだった。踏んだ瞬間からスッと前へ出る。過敏ではない。でも鈍さもない。そのリニアな反応が、市街地をとても気持ちよく走らせてくれる。
2.5Lガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたパワートレインは、派手な加速を見せるタイプではない。それよりも、毎日乗るならこれくらいがちょうどいいと思わせる完成度がある。
静粛性も高い。市街地ではエンジン音が室内へ入り込みにくく、ロードノイズもよく抑えられている。会話も音楽も自然に楽しめる空間ができあがっていた。
そして運転していて感心したのが、大きくなったボディをまったく苦に感じなかったことだ。全長は4690mmとなり先代より少し大きくなった。それでも見切りは非常によく、Aピラーを細くした効果もあって視界は良好。さらにGoogle搭載のインフォテインメントや360度カメラ、車体をシースルー表示する機能まで備わるので、狭い駐車場でも安心感は高い。
運転に自信がない人でも扱いやすく、運転好きが乗ってもちゃんと応えてくれる。その絶妙なバランスが、このCX-5最大の魅力なのかもしれない。
大画面のセンターディスプレイが備わる新型CX-5。Lグレードには15.6インチを、またS・Gグレードには12.9インチを標準装備する。マツダ車として初のGoogle社によるインフォテイメントシステムを採用した。
マツダCX-5|Mazda CX-5
現時点ではディーゼルの設定はなく、2.5Lマイルドハイブリッドのみとなるが、これだけ完成度が高いベースを味わうと、2027年に登場すると言われるフルハイブリッドモデルへの期待も自然と膨らんでしまう。
今回試乗して改めて感じたのは、すべてがちょうどいいということだった。デザインも、走りも、広さも、先進装備も、どれか一つだけが突出しているわけではない。でも、その全部が高いレベルでまとまっている。だから毎日乗っても飽きないし、休日には少し遠くまで出かけたくなる。日常の相棒としての完成度が、先代よりさらに磨き上げられていた。
それはクルマづくりの中で、案外いちばん難しい進化なのかもしれない。新型CX-5は、その難しい答えを静かに形にした一台だった。
歴代のマツダCX-5。右から初代、2代目、そして最新の3代目。
マツダCX-5|Mazda CX-5
SPECIFICATIONS
マツダCX-5 L|Mazda CX-5 L
ボディサイズ:全長4690×全幅1860×全高1695mm
ホイールベース:2815mm
最低地上高:205mm(社内測定値)
最小回転半径:5.6m
乗車定員:5人
車両重量:1670(FF)/1740(4WD)kg
総排気量:2488cc
エンジン:直列4気筒
最高出力:131kW(178ps)/6000-6200rpm
最大トルク:237Nm(24.2kgf-m)/3800-4000rpm
モーター最高出力:4.8kW(6.5ps)/1000rpm
モーター最大トルク:60.5Nm(6.2kgf-m)/100rpm
トランスミッション:6速AT
駆動方式:FF/4WD
WLTCモード燃費:15.2(FF)/14.2(4WD)km/L
価格:407万円(FF)、430万6500円(4WD)




