琵琶湖に「第3の大橋」が架かる? 大津~草津を結ぶ「南湖横断軸」整備計画が進行中! ルートと現在の動きは【いま気になる道路計画】
日本最大の淡水湖「琵琶湖」によって東西に隔てられた滋賀県では、琵琶湖大橋・近江大橋に続く「3つ目の架橋」の実現に向けた検討が進められている。詳細やメリット、現状を見ていこう。
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「琵琶湖第3の橋」具体化へすでに検討開始
琵琶湖周辺に広域的な環状ネットワークを形成する方針だ
滋賀県は、日本最大の淡水湖「琵琶湖」によって東西に大きく隔てられている。琵琶湖は南北方向に約60kmに及ぶが、東西の対岸をつなぐ橋は「琵琶湖大橋」と「近江大橋」の2本しかない。
琵琶湖大橋は1964年に2車線で開通。広大な「北湖」と比較的狭い「南湖」を分けるくびれの部分に位置し、大津市堅田と守山市今浜をつないでいる。1994年には並行してもう1本の橋が架けられ、計4車線となって現在に至る。ネットワークの観点では、湖西道路と名神高速道路、国道8号、国道1号をつなぐ東西軸を形成している。
近江大橋は1974年に開通し、1985年に4車線化、2013年に無料開放された。琵琶湖南端の付け根付近に位置し、びわ湖大津プリンスホテル付近とイオンモール草津付近をつないでいる。往来の激しい大津~草津間の東西軸を担う大動脈で、ラッシュ時や土休日には混雑が目立つ。
いずれも東西を結ぶ重要なルートだが、橋が2本しかないため、現在も湖西・湖東の交流は限定的だ。そのため、「3本目の橋」となる新たなルートの検討が始まっている。その名は「南湖横断軸」だ。
南湖横断軸構想の想定ルート。実際にどこを通るかは検討中で未確定だ。
「琵琶湖第3の横断ルート」として期待されている「南湖横断軸」構想は、夢物語ではなく、まさに今、具体化に向けた検討が進められている。
まず、2022年に策定された「第3次滋賀県道路整備マスタープラン」において、以下の方針が示された。
「本県は中央に位置する琵琶湖によって東西が隔てられており、横断するルートが限られているため、移動に時間を要することが大きな課題です。(中略)東西間の移動時間短縮に向けた道路ネットワークのあり方について検討していきます」
この方針は、翌年に策定された10か年行動計画「滋賀県道路整備アクションプログラム2023」にも踏襲されている。
実際の動きとしては、2022年に調査を開始。2024年からは滋賀県道路公社との連携により、交通量予測や整備効果など、幅広い検討が進められた。今後は、その結果をもとに沿線市との調整が行われるとしている。
また、2024年6月の滋賀県議会では、より詳細な検討内容も明らかになった。それによると、検討候補は南湖で5ルート、北湖で3ルートとなっている。南湖では「琵琶湖大橋と近江大橋の中間付近」、北湖では「高島市新旭町と彦根市を結ぶルート」が想定されている。
県当局は、狭い南湖に橋を架ける場合でも、橋の延長は4kmに及ぶとして、「明石海峡大橋に肩を並べる規模」と説明。「国家プロジェクトに相当する大規模な事業になるものと想定しております」とコメントしている。
このように、「南湖横断軸」構想は、具体化に向けた検討が徐々に進んでいる。
想定されるルートとは?
南湖周辺の道路ネットワーク概要
「南湖横断軸」はどのようなルートが想定されるのだろうか。
琵琶湖大橋と近江大橋は約14km離れており、「南湖横断軸」をその中間部に整備すると仮定すると、両岸の道路網や立地を加味した複数のルートが想定される。地理的に下記のようなルートが候補にあがるのではないだろうか。
北寄り:雄琴温泉~琵琶湖博物館~JR守山駅~名神高速・国道8号・国道1号方面
中間部:比叡山坂本~志那地区~JR草津駅・名神高速・栗東水口道路方面
南寄り:出町柳・銀閣寺・比叡平方面~唐崎付近~旧草津川・メロン街道~JR草津駅(以降同じ)
検討において重要なのは「中間部に作ること」ではなく、「東西方向の移動利便性を高めること」だ。中間部に橋を架けた場合、比叡山へのアクセスは良くなるものの、そこから先の道路ネットワーク形成という点では効果は限定的になる。しかし、比叡平から京都市内へ抜ける「山中越え」(府県道30号下鴨大津線)に直結することで、利便性を高められる可能性はある。
なお、滋賀県ではかつて、この山中越えを貫く「京津トンネル」の構想も検討されていた。「南湖横断軸」と「京津トンネル」が実現すれば、京都と湖東地域を結ぶ短絡ルートとなるだろう。
また、南寄りのルートであれば、大津・草津の人口集積エリア、つまり比較的移動需要の高い地域をより広くカバーできるだけでなく、交通量の多い近江大橋のバイパスとしても機能する。
どのルートが東西の移動利便性をより高めてくれるのかは、今後の詳細な分析結果を待ちたい。
「南湖横断軸」実現までの道のりは。さらにスケールの大きい構想も?
大津市〜草津市を結ぶ近江大橋
整備スキームについては、高規格道路として国の事業に位置づけられるかどうかが大きなポイントとなる。国の事業とならなければ、琵琶湖大橋・近江大橋と同じように、滋賀県道路公社による有料道路事業となる可能性が高そうだ。
その場合、整備の対象となるのは橋(もしくはトンネル)だけではない。湖西道路や名神高速などにつながる取り付け道路も含め、道路公社が整備・管理を担うことになる。
大きな課題となるのは、用地取得と漁業関係者との調整だろう。これまでの2橋関連事業でも、新たな橋脚の設置や湖上の交通、工事の影響によって、漁獲量や生息環境に深刻な変化が生じることを懸念する声が出ていた。関係者にどう理解を得て、どのように補償に合意してもらうかが、事業推進の大きなカギとなる。
このほか気になるのは、県の検討では、南湖横断軸と同時に「北湖横断ルート」も視野に入っている点だ。横断延長は約19kmで、東京湾アクアラインを超える規模になるという。単なる県内の東西分断の解消だけでなく、岐阜県、京都府北部、福井県嶺南地域を結ぶ主要幹線道路としての役割も期待される。
このスケールとなれば、国が関与する事業として「新たな国道」や「バイパスとしての高規格道路」の計画が立ち上がる可能性もある。ただ、そこに至るまでには、まず「社会資本整備重点計画」など、国の政策指針そのものを変えていく必要があるかもしれない。
国と滋賀県のどちらが事業主体となるのか。そして計画が具体化し、事業化、用地取得・補償、着工へと進むのはいつになるのか。今後の動向を引き続き注視したい。
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