富山~高山を高規格で直結!「富山高山連絡道路」延長80kmはどこまでできた? 3km超の「大沢野トンネル」も整備進む【いま気になる道路計画】
富山県富山市と岐阜県高山市を直結する新たな高規格道路「富山高山連絡道路」が整備中だ。国際的な観光地である高山への高速移動はどう実現するのか、詳細やメリット、現状を見ていこう。
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愛称「富山高山すし空港」で道路工事の機運も高まる?
富山高山連絡道路の概要。
富山県は2026年7月8日、富山市の富山空港の愛称を「富山高山すし空港」とすると発表した。年間500万人近い観光客が訪れる岐阜県高山市には空港がないため、富山空港が空の玄関口としての役割を担うことを国内外へアピールする狙いがある。
このように、富山県と高山地域の結び付きは強い。一方、道路ネットワークを見ると、両地域を直接結ぶ高規格道路は整備されていない。移動には、山間部を約80kmにわたって走る国道41号を利用するか、西へ大きく迂回して「東海北陸自動車道」を経由する必要がある。
こうした課題を解消するため、富山市と高山市を結ぶ高規格道路「富山高山連絡道路」の整備が進められている。
「富山高山連絡道路」とは
富山高山連絡道路は、危険物積載車両が通れない「東海北陸自動車道」の代替ルートとしても期待されている。
富山高山連絡道路は、富山県富山市と岐阜県高山市を結ぶ延長約80kmの地域高規格道路だ。北側で北陸自動車道、南側で整備が進む中部縦貫自動車道(福井~高山~松本方面)と接続し、日本海側と中部圏を結ぶ広域ネットワークを形成する。
完成すれば、富山~高山間の所要時間は約1時間まで短縮される見込みだ。信号待ちや生活交通による混雑が解消されるほか、土砂災害や事故による通行止め時にも代替性の高い、安定した道路ネットワークの構築が期待されている。
また、現在の高速ルートである東海北陸道には、袴腰トンネル(5,932m)と飛騨トンネル(10,712m)という長大トンネルがあり、危険物積載車両は通行できない。このため、化学物質などの輸送に制約があり、産業活動や企業立地の面でも課題となっている。富山高山連絡道路は、こうした課題を解消する代替ルートとしても期待されている。
さらに、中部縦貫道は福井~高山の全線開通が近づき、高山から松本方面への整備も進められている。富山高山連絡道路が実現すれば、「富山~松本」を高規格道路で結ぶ新たなルートが形成され、北アルプス(飛騨山脈)を挟んだ両地域の交流や物流の活性化にもつながる見込みだ。
富山県側はほぼ全線で整備進行中
大沢野富山南道路の概要。
整備状況を見ると、富山県内ではほぼ全線で事業が進んでいる一方、岐阜県側は概略ルートの検討段階にあり、具体的なルートはまだ決まっていない。以下、工区ごとの整備状況を見ていこう。
●大沢野富山南道路
2014年に事業化された延長約12kmの区間で、富山IC南側の4車線区間終点から神通川沿いをバイパスする。インターチェンジは、福居IC、塩IC、稲代IC、春日IC、楡原(にれはら)ICの5か所を設け、全線立体交差とすることで信号のない道路となる計画だ。稲代ICまでは4車線、以南は2車線で整備される。春日ICまでは富山平野の田園地帯を通る。一方、春日IC~楡原ICは大半がトンネル区間で、約3.1kmの「大沢野トンネル」によりJR楡原駅付近へ抜ける計画となっている。
この区間は富山市中心部へ向かう主要ルートである一方、信号交差点が連続し慢性的な渋滞が発生している。そのため、バイパス整備による抜本的な渋滞緩和が期待されている。
現地では盛土工事などが始まっており、東海北陸道4車線化工事のトンネル掘削で発生した土砂が活用されている。
●猪谷(いのたに)楡原道路
1997年に事業化された延長7.4kmの区間。楡原地区をバイパスする約3.0kmが2010年に開通している。一方、その先の「庵谷(いおりだに)トンネル」周辺約2.8kmは現道を活用しており、残る約1.6kmの「片掛工区」で工事が進められている。
片掛工区の中心となるのは、神通川をショートカットする「片掛橋」と「猪谷橋」の2橋だ。現在、猪谷橋は橋桁が完成し、赤いアーチ橋の姿が現れている。一方、片掛橋は2026年時点で橋台工事が進められている。
岐阜県側の現状と背景は?
猪谷楡原道路の整備イメージ。
一方、岐阜県側では、現道を活用するのか、新たなトンネルで短絡するのかを含め、概略ルートや道路構造はまだ決まっていない。
整備促進を目指す期成同盟会は毎年国への要望活動を続けており、今年も7月8日に総会を開催した。一方で、高山市や岐阜県では議会で大きな議論は見られず、整備に向けた機運はまだ高いとは言えない状況だ。
背景には、同じ地域の巨大プロジェクトである中部縦貫道の整備が高山~松本方面で急ピッチに進められていることがある。まずはこの事業を着実に進め、必要な予算を確保して全線開通につなげたいという考えもあるとみられる。
そのため、富山高山連絡道路が大きく前進するには、富山県側の整備が着実に進むことに加え、中部縦貫道の整備状況も大きく影響すると考えられる。
なお、飛騨市議会では2024年、「宮川沿い(JR高山本線と並行する国道360号)ルートを採用すべきではないか」との提案があった。しかし、市長は国が構想する国道41号沿いのルートを前提とする考えを示している。
このため、富山高山連絡道路は鉄道ルートとは異なり、旧神岡町を経由する見通しだ。神岡は鉱山の町として栄え、かつては旧国鉄「神岡鉄道」が走っていたものの、2006年に廃止された。高規格道路が実現すれば、神岡へのアクセス向上とともに、地域が再び注目を集めるきっかけになる可能性もある。
富山県が空港の愛称に「高山」を冠したように、両地域を結ぶ機運は高まりつつある。今後は富山県側の整備進展に加え、岐阜県側で概略ルートの検討がいつ本格化するのかが、大きな焦点となりそうだ。
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