300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!<第1回> | KURU KURA(くるくら)

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公開日:2026.06.23

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!<第1回>

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!

SUV全盛、軽自動車人気、そしてクルマの価値観が多様化した令和。誰もが認める“定番車”は姿を消した。だからこそ今、背伸びせず、でも愛着を持って長く付き合える「令和のベーシックカー」を探したい。連載第1回は、世界中のコンパクトカーがベンチマークとする存在、フォルクスワーゲン・ゴルフに注目する。

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!

文=今尾直樹

写真=小塚大樹

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小型車の基準を変えたフォルクスワーゲン・ゴルフ

令和のベーシックカーを探せ! その第1回はフォルクスワーゲン・ゴルフである。戦後のドイツの国民車、フォルクスワーゲン・タイプ1、愛称ビートルの後継として1974年にデビューしたゴルフは、世界中で累計3700万台以上、日本市場でも100万台以上が販売されたという大ベストセラーである。

2024年には誕生50周年を迎えたゴルフだけれど、初代が登場したときの衝撃はかなり大きかったらしい。それはそうである。リア・エンジン/後輪駆動で丸っこい、それこそカブトムシみたいなカタチのビートルから、フロント・エンジン/前輪駆動で、四角い箱を組み合わせたような5ドア・ハッチバックに大変身したのだから。

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!

現行モデルのゴルフは、通称8.5型と呼ばれる大幅改良を受けた第8世代の後期型。2024年に本国発表、日本には2025年1月に発売された。

その後、すべての小型車がFWDのハッチバックに変わってしまったからいまでは想像しにくいけれど、ゴルフ以前の小型大衆車というのは、たとえばトヨタ・カローラも日産サニーもRWDのセダンだった。四角い箱型のFWD小型車は日本市場でも戸惑いがあったらしく、ひらったく申し上げると、当初は売れなかった。売れ残りのゴルフを買って、その実用性の高さとスポーティなハンドリングに感激し、ゴルフをベンチマークにして書き上げたのが、1976年上梓の徳大寺有恒さんの『間違いだらけのクルマ選び』だった。

というのは余談ですけれど、ゴルフ以前にFWDのハッチバックがなかったわけではないけれど、ゴルフほど世界中で高く評価されたFWDのハッチバックはなかった。フォルクスワーゲン・ゴルフは世界中の小型車を変えてしまった、偉大なるベーシックカーなのだ。

最新のゴルフ、通称8.5型を試乗

で、現在日本で販売されているゴルフは、2024年にマイナーチェンジを受けた、通称8.5型と呼ばれる第8世代の後期型である。概ねゴルフを含むドイツ車は7年ほどでモデルチェンジし、モデルライフの中間でマイナーチェンジを受けて後期型となる。

ゴルフ8.5型の日本仕様のエンジンはeTSIと呼ばれる1.5リッターのガソリンが2種、TDIと呼ばれるディーゼルが1種である。従来のゴルフ8のベーシック・モデルはガソリンの1リッター3気筒のeTSIだったけれど、最新の8.5型では3気筒が廃止となり、1.5リッター4気筒に統一されている。そのほうが生産効率に優れるそうだけれど、ユーザーにとっても4気筒のほうが質感は向上しているだろうから歓迎すべきコストダウンではあるまいか。同じ1.5リッターでも最高出力116psに絞られているのがゴルフ8.5のベーシック・モデルなのだ。

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!

試乗したゴルフ eTSI Rラインは、街中でも高速でも軽やかに走る。搭載する1.5リッター4気筒ターボエンジンは、最高出力150ps、最大トルク250Nmを発生する。

今回の試乗車はその116psではなく、上級モデル用の150ps版eTSIを搭載するRラインである。秋の好天に恵まれた某日、われわれKURU KURA取材班は、まだ閑散としている朝7時、東京駅の丸の内近くで待ち合わせ、筆者はここから運転席に乗り込んで、静岡県の御殿場方面を目指した。

Rラインはフォルクスワーゲンのスポーティ・グレードで、フロントのバンパーの冷却口が大きく開いてアグレッシヴな印象を与える。足まわりは専用スポーツサスペンションとなり、225/40R18の大径扁平サイズのタイヤを標準装着する。こいつはいかにも乗り心地が硬そうだ。

eTSIは1.5リッター直4直噴ターボのマイルド・ハイブリッドを指す記号で、その後ろにアクティブとつくと最高出力は116psに、スタイルとRラインだと150psを生み出す。この日、御殿場までドライブしながら改めて筆者が思ったのは、もう、めちゃんこよい。のひとことだった。

高速道路で実感する、ゴルフの真骨頂

ドイツではゴルフはベーシックカーではないんだよ。もっと高級。日本でいえばトヨタ・マークⅡぐらいの感じがある。

という話をドイツ在住のモーター・ジャーナリストの木村好宏さんから聞いたのは、ゴルフIIの時代だから、かれこれ40年近く前だけれど、当時の筆者にはこのことばがピンと来なかった。

ゴルフIIはエンジン・マウントがおそらく硬すぎることに起因する街中での振動が大きかったし、この振動は高速走行時にはすっかり消えてなくなるものの、エンジンのこもり音とロード・ノイズで車内での会話のボリュームを上げる必要があったからだ。

ゴルフIII以後のゴルフはこの振動とこもり音の改善の歴史だった……と思う。もちろん、衝突安全性だとか燃費だとかリサイクルだとか、あるいはインフォテインメントとかの要件はあっただろうけれど。

最新型ゴルフ8.5の振動のなさ、静粛性の高さをゴルフIIの時代のクルマでたとえるなら、BMW750i Lぐらいのものがあるのではあるまいか。さすがに、ちょっといいすぎか……。というぐらい素晴らしい。

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使い勝手のいい、12.9インチの大型ディスプレイを装備。「MIB4」と呼ばれるVW最新のインフォテイメントシステムを搭載する。第8世代で不評だったタッチ式のステアリングスイッチは、8.5世代に進化するタイミングで物理スイッチに回帰した。

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試乗車にはRライン専用のスポーツシートが装備されていた。

スポーティ志向のRラインは、低速では乗り心地が若干硬く、路面によっては底が薄くて硬い靴で歩いているような感覚がある。ところが高速に上がって速度が増すほどに、乗り心地はスムーズに転じる。その安定感たるや、スポーツサスペンションなればこそだろう、とは思う。ボディの動きに無駄がない。贅肉がない感じ。アスリートっぽい。

1.5リッター直4ターボは最高出力150psを5000-6000rpmで、最大トルク250Nmを1500-3500rpmで発揮する。さらに48Vのマイルド・ハイブリッド・システムを備えており、発進&加速時には14kW(19ps)のパワーと56Nmのトルクを備えたモーターが内燃機関をアシストする。車重1350kgには十分以上である。

エンジンは高速巡航中、ふと気がつくと停止する。なぜ気がつくのかといえば、タコメーターの針がゼロを指しているからだ。こもり音と無縁なのも当然である。アクセルを軽く踏み込むと、モーターがエンジンを瞬時に再始動させる。休止と再始動を繰り返しても、ドライバーはほとんど感知できない。それぐらい段差のない自然な振る舞いに終始する。

アウトバーンの国の国民車だけあって高速での安定性は素晴らしい。Rラインを選んでよかったと思うのは、この高速走行時だろう。ボディの剛性感は依然、お手本である。

クルマのきほん

ブレーキの安心感もバツグンだ。走り、曲がり、止まる。という基本がやっぱりゴルフはいいなぁ、と思わせる。いい古されているけれど、「実用車の鑑」ということばも持ち出したくなる。

車両価格は461万9000円、オプション込みだと500万円近くなる。かなり高級なベーシックカーである。だけど、トヨタ・カローラだって最上位モデルは300万円以上する。116ps版のeTSIなら354万9000円から、とカタログにはある。

この分断の時代にあっても、ゴルフはクラスレスということばがよく似合う。フォルクスワーゲン、ドイツ語で「国民車」を体現し続けている。そこがゴルフの偉大さなのだと筆者は思う。

300万円台から楽しめる偉大なる世界の実用車、フォルクスワーゲン・ゴルフ──令和のベーシックカーを探せ!

3Dデザインを採用した新デザインのLEDテールランプ

SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI Rライン|Volkswagen Golf eTSI R-Line
ボディサイズ:全長4295×全幅1790×全高1475mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1350kg
駆動方式:FF
トランスミッション:7速AT(DSG)
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1497c
モーター(48Vマイルド・ハイブリッド・システム):交流同期電動機
エンジン最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
エンジン最大トルク:250Nm/1500―3500rpm
モーター最高出力:14kW(19ps)
モーター最大トルク:56Nm
サスペンション:(前)マクファーソン・ストラット/コイル(後)4リンク/コイル
ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク(後)ディスク
タイヤ:(前後)225/40R18 (ブリヂストンTURANZA T005)
燃費:18.7km/L(WLTCモード)
価格:461万9000円

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