高知~松山を最短直結!「高知松山自動車道」はどこまで進んだ? 国道33号の山越えを大幅短縮、まもなく事業化の区間も【いま気になる道路計画】
高知市と松山市を最短ルートで結ぶ「高知松山自動車道」の整備が進められている。四国山地を越える国道33号は、長距離移動では利用しづらいルートだったが、高規格道路として生まれ変わろうとしている。計画の概要や整備のメリット、現在の進捗を整理していこう。
この記事をシェア
高知~松山の最短ルート「国道33号」を高規格化
高知松山自動車道の概要
四国4県の県庁所在地のうち、高知県高知市は、愛媛県松山市、香川県高松市、徳島県徳島市のいずれとも山岳地帯を挟んでおり、アクセス性に課題を抱えている。
このうち、高規格道路で直結していない高知~松山間では、「高知松山自動車道」の整備計画が進められている。
混雑する国道33号の様子
高知松山自動車道は、高知市~松山市を結ぶ延長約120kmの国道33号に沿って整備が進められている。国道33号の狭隘でカーブの多い谷沿い区間や険しい山越えを、トンネルや橋梁を主体としたバイパスで置き換える計画だ。
位置づけは地域高規格道路で、基本的に信号のないルートとして整備される。市街地を含め、自動車専用道路として設計速度60km/h以上を確保する計画となっている。
また、国が指定する「重要物流道路」の候補路線にも位置づけられており、国際海上コンテナを積載した大型トラックやセミトレーラーの通行にも対応する物流ネットワークの強化が期待されている。
実現すれば、物流や緊急輸送の強化に加え、高知市と松山市を結ぶ高速バスの最短ルートとして活用される可能性もある。現在は新居浜経由の高速バス「ホエールエクスプレス」が約2時間40分で両市を結んでいるが、高知松山自動車道の整備により、さらなる所要時間の短縮が期待される。
整備は、高知市中心部から郊外へ向けて順次進められており、山岳部では複数のバイパス区間がすでに開通している。現在の整備状況を整理していこう。
少しずつ開通進む高知市郊外区間。現在の動きは?
高知松山自動車道の高知県内の状況
●高知西バイパス【開通済み】
高知市街から延びる4車線の「高知西バイパス」は、1997年に鏡川を渡って高知自動車道「伊野IC」まで開通した。その後、2016年に伊野中心部まで延伸され、最後の約1.5kmとなる「鎌田IC~波川」が2021年に開通。これにより全線開通を果たしている。
●いの~越知【事業化準備中】
仁淀川は西へ流れた後、進路を変えて内陸へ向かう。この区間には日高村や佐川町の市街地が谷沿いに連続し、高知市の郊外エリアを形成している。並行するJR土讃線も佐川駅までは駅間が短く、近郊路線の性格を持つ。さらに北西に位置する越知町は仁淀川上流域への玄関口であり、流域ではたびたび浸水被害が発生している。
この「いの~越知」区間の延長約20kmでは現在、事業化に向けた準備が進められている。2023年には計画段階評価で概略ルートと構造が決定し、22026年3月に都市計画決定がなされた。
ルートはJR土讃線と仁淀川に並行して西へ進み、佐川町中心部の北側で国道33号に合流して越知町へ至る計画。計画段階評価では「現道拡幅案」や「北側貫通バイパス案」も検討されたが、最終的に街道沿いを通る現在のルートが採用された。
●越知道路【一部開通済み】
「いの~越知」区間に続く延長4.0kmの道路で、ここから本格的な山岳区間に入る。2007年に北側約1km、2023年には南側約1.8kmが開通した。2023年開通区間は、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の予算を活用して整備され、仁淀川の大きな屈曲部を全長962mの「横畠トンネル」で貫くことで、大幅なショートカットを実現している。残るのは中間部の現道拡幅工事だ。
峡谷区間をトンネルでショートカット。他の区間の状況は
2020年に開通した橘防災工区
●橘防災【開通済み】
高知・愛媛県境付近の仁淀川屈曲部を、全長1877mの橘中津トンネルで一気に貫く工区だ。国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の予算を活用して整備され、2020年に開通した。
●三坂道路【開通済み】
松山市手前に立ちはだかる「三坂峠」を、全長3097mの「三坂第一トンネル」と全長1300mの「三坂第二トンネル」で貫くバイパスだ。2012年の開通後は、5年間で地点交通量が最大4割増加するなど、バイパス整備の効果が交通量にも表れている。
このように、高知松山自動車道は、高知市郊外では最後の未事業化区間となる「いの~越知」で事業化に向けた手続きが進む一方、その先の長い山岳区間では、防災を目的としたバイパス整備が必要性の高い区間から進められている。その先の山岳区間についても、これまでと同様に政府の「防災・減災、国土強靱化」に関する緊急対策などで予算が確保され、必要性の高い区間から整備が進められていくとみられる。
次に事業化されるのは仁淀川の中流部・上流部のどの区間なのか。それとも松山市側で新たなバイパス計画が動き出すのか。高知~松山を最短で結ぶルートの実現に向け、今後の動向に注目していきたい。
記事の画像ギャラリーを見る




