茨城の“海上道路”が延伸へ!「日立バイパス」の南側で整備が進行中。国道6号の渋滞を緩和する「Ⅱ期区間」はどこまで進んだ?【いま気になる道路計画】
茨城県日立市の海上を高架橋で結ぶ「日立バイパス」の南側で延伸計画が進められている。「日立シーサイドロード」とも呼ばれる同道の工事概要や整備効果、進捗状況、今後の見通しについて見ていこう。
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国道6号の混雑緩和を担う日立バイパス(Ⅱ期)
日立バイパス全体の平面図
「日立バイパス」は、茨城県日立市河原子町から田尻町に至る延長約10.5kmの一般国道だ。一般道路としては珍しく、太平洋上に高架橋を整備した「海上高架橋」を有する道路として知られている。
慢性的な渋滞が発生している国道6号の交通を分散する役割を担う道路で、市街地の工場や住宅密集地を避けるため、海岸沿いや海上部を活用したルートが採用されている。
事業は複数区間に分けて進められており、北側の日立市田尻町から旭町までの約4.7kmは暫定2車線で供用済み。旭町から国分町までの約3.0kmが「Ⅱ期区間」として事業中となっている。一方、国分町以南の約2.8km区間については、現時点で事業化されていない。
日立バイパスは、構想から整備まで長い年月を要している道路でもある。1977年に構想が示されたものの、漁業権の補償問題やルート調整などにより事業は難航。2012年度にⅡ期区間が事業化されたが、2026年4月時点でも用地取得が続けられている段階だ。
日立バイパス(Ⅱ期)に期待される3つのメリット
日立バイパス周辺の観光名所と入込客数
日立バイパスⅡ期の整備により期待される効果としては、国道6号の渋滞緩和をはじめ、産業活動の活性化や観光交流機能の強化などが挙げられる。
Ⅱ期区間と並行する現道の国道6号は、信号交差点の連続や勾配区間の存在、右折車両の影響などにより旅行速度が低下しやすく、慢性的な渋滞が発生している。また、この区間では追突事故が交通事故全体の約7割を占めており、安全性の面でも課題となっている。
Ⅱ期区間の整備によって交通が分散されることで、渋滞の緩和や事故リスクの低減が期待される。あわせて、救急搬送や緊急車両の到着時間短縮にも寄与すると考えられている。
さらに、重要港湾である日立港は、取扱貨物量が増加傾向にあり、アクセス性向上による物流効率の改善も期待されている。バイパス整備によって港湾や工業地域への移動時間が短縮されれば、地域産業の競争力向上につながる可能性がある。
観光面での効果も見込まれている。かみね公園で開催される「日立さくらまつり」や「日立産業祭」などは多くの来訪者を集めており、交通環境の改善によって交流人口の増加が期待されている。
こうした効果は、すでに供用されているⅠ期区間の実績からも確認されている。Ⅰ期区間の開通により、「日立市北部主要市街地」から「日立総合病院」までの所要時間は23分から18分へと5分短縮。また、現道国道6号では死傷事故率が大きく低下し、並行する生活道路の大型車交通量も45%減少した。渋滞対策に加え、安全性や沿道環境の改善にも効果が現れている。
さらに、「日立さくらロードレース」ではⅠ期区間がコースの一部として活用されるなど、地域イベントでの活用も進んでいる。
用地取得が課題に! 今後の見通しは?
日立国分町付近
日立バイパスⅡ期はどこまで進捗しているのだろうか。
2023年に公表された再評価資料によると、同年3月末時点の用地取得率は58%となっている。
日立バイパスは1984年に都市計画決定されたが、Ⅱ期区間は長らく未着手の状態が続いていた。その後、ルートや構造の再検討などを経て、2012年度に事業化され、現在も用地取得や調査設計が進められている段階にある。
進捗が長期化している背景には、用地調査の過程で未相続地が多く確認されたことがある。相続人の特定や権利関係の整理に時間を要しており、これが事業進捗に影響しているという。
一方で、事業自体は継続方針とされており、今後も用地取得を進めるとともに、盛土区間の先行整備に向けた工事着手を図る方針が示されている。国土交通省の2026年度事業計画でも、調査設計や用地買収、環境整備に関する予算が計上されており、事業は継続して進められている。
なお、正式な供用開始時期については、現時点で明示されていない。
また、2025年11月14日には、地域関係者で構成される「日立バイパス建設促進期成会」が、Ⅱ期区間の早期完成を求める要望活動を実施した。同年10月に開催された関東国道協会の意見交換会でも、日立市が関東地方整備局道路部に対して早期整備を要望。これに対し、「用地取得を着実に進める」との回答が示されたという。
1977年に構想が示されてから半世紀近くが経過した現在も、日立バイパスは全線開通には至っていない。一方で、用地取得や調査設計などの手続きは継続して進められており、事業は段階的に前進している状況だ。用地取得が進み、全線開通が実現するのはいつになるのか。引き続き進捗に注目していきたい。
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