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公開日:2026.04.21

アクアライン~東名は直結するか?「川崎縦貫道路」延伸が“15年止まった理由”と外環延伸の行方【いま気になる道路計画】

川崎縦貫道路付近の様子。

東京湾アクアラインの神奈川県側では、川崎市内へと高速道路を延伸する「川崎縦貫道路」整備事業が計画されている。その詳細と実態、現在の進行状況などを見ていこう。

川崎縦貫道路付近の様子。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、川崎市

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川崎縦貫道路はアクアラインの延長線上にある将来形

川崎縦貫道路の概略図。

川崎縦貫道路の概略図。

神奈川県と千葉県を結ぶ海上ルートが「東京湾アクアライン」だ。かつては船でしか行き来できなかった、海を挟んだ“近くて遠い2エリア”が、陸路で直接結ばれるようになり、1997年の開通からまもなく30年を迎える。

そんな東京湾アクアラインの神奈川県側は、川崎浮島JCTで首都高湾岸線に接続し、さらに内陸側の大師JCTで首都高羽田線や産業道路とつながり、ここが現在の終点となっている。

この区間は「首都高川崎線」として整備されているが、将来的には、さらに川崎市内陸部への延伸が計画されている。それが「川崎縦貫道路」だ。

川崎縦貫道路1期区間の概略図。

川崎縦貫道路1期区間の概略図。

「川崎縦貫道路」は、多摩川に沿って南北に細長い川崎市において、高規格道路を整備し、信号のないスムーズな動線で内陸部と臨海部、さらにアクアライン方面を結ぶ構想である。

計画では、アクアライン側から段階的に延伸し、国道409号のバイパスとして、国道1号や第三京浜、さらには東名高速道路へと接続。都市構造を横断的に補完する“横軸”として、昭和期から構想が掲げられてきた。

現在も川崎市内には東西方向の幹線道路が不足しており、東名高速へのアクセスは容易とは言いがたい状況が続いている。この課題を解消する路線として、川崎縦貫道路は長年位置づけられている。

川崎縦貫道路の1期区間(川崎浮島JCT~国道15号)は、1990年に都市計画決定された。構造は地下トンネルで川崎大師付近を通過し、国道15号手前の「富士見出入口(仮)」で地上へ出る計画となっている。2010年に川崎浮島JCT~大師JCTの延長約5.5km区間が開通し、大師JCT~国道15号(川崎駅北側)の延長約3km区間は事業中だ。

あわせて、国道409号は側道として地上部の拡幅が進められている。国道15号手前では、上下線の中央部にトンネルの出入口を想定したスペースが確保されており、計画の存在をうかがわせる構造となっている。

今こそ要注目!「アクアライン~東名」実現の可否決定はもうすぐか

外環道は最終的に湾岸線まで直結する計画。

外環道は最終的に湾岸線まで直結する計画。

では現在、川崎縦貫道路の進捗はどうなっているのか。大師JCTから西側への延伸時期や、並行する国道409号の整備状況も含めて気になるところだ。

結論から言えば、事業は長期にわたり停滞しており、目立った進展は見られていない。その背景にある最大の要因が、「外環道(東京外かく環状道路)の湾岸延伸」計画である。

外環道は現在、関越道の大泉JCTから南下し、中央道を経て東名高速へ至る約16km区間で工事が進められている。一方、全体計画では東名高速以南についても、多摩川に沿って延伸し、第三京浜道路と接続したうえで、首都高湾岸線方面へ至る構想が描かれている。

この区間は、川崎縦貫道路とほぼ重なるルートとなっており、両計画の整理が課題となっている。国としても役割分担や整備方針の判断が難しく、現時点では明確な方向性を示せていないのが実情だ。

現在は、両計画の「一本化」を前提とした検討が進められている。「羽田空港・京浜三港アクセス強化等に資する東京外かく環状道路(湾岸道路~東名高速間)計画検討協議会」が定期的に開かれ、議論は徐々に前進している段階だ。ルートについては、多摩川の東京側・川崎側を通る案が検討されており、どちらの案であっても、最終的には外環道に統合される可能性が高いとみられる。

もし「川崎側ルート」が採用された場合、外環道は大師JCTへ直結することになる。これは3月26日に開催された第8回会議で具体的に示された検討内容で、「国道15号まで用地が確保されている点が有利」との見方もある。

川崎縦貫道路としての独立事業は不透明な状況が続くものの、形を変えて実現に近づく可能性は残されている。

結局どうなってるの?「川崎縦貫道路」の現在の動きは

国道409号の様子。

国道409号の様子。

外環ルートの方針が定まらない影響で、大師JCT以西は約15年間、事実上の凍結状態が続いている。

一方、側道となる国道409号は、もともと4車線で整備されていたが、1990年代初頭から首都高川崎線の整備に合わせて拡幅。大師JCT開通後も段階的に工事が行われており、その過程で車線の切り替えが繰り返されている。

この国道409号は、川崎港の整備プロジェクトにあわせて国道へ昇格した経緯を持つ。2008年には、国が国道357号(浮島)~国道15号までの整備を責任を持って行うことを示しており、当該区間は現在も国の直轄事業として位置づけられている。

影響を受けたのが、京浜急行大師線の地下化計画だ。川崎大師駅から西側の2期区間は、既設線とは異なるルートをとり、港町駅まで川崎縦貫道路と地下で並行して、一体的に整備する構想となっていた。しかし、高速道路側の凍結に伴い事業の前提が崩れ、2017年に正式中止となった。

さらに、この京急大師線の2期計画の凍結は、その地上部にあたる国道409号の拡幅工事にも影響を及ぼしている。川崎大師駅前で京急線を横断する区間は、現在も上下線が分離され、それぞれが別の踏切で線路を渡る構造のままとなっている。

完成に必要な用地自体は確保されているものの、道路は線路をほぼ並行する形で斜めに横断する計画であるため、京急線が地上に残る現状では整備のハードルは高く、実現は難しい状況にある。

川崎縦貫道路は停滞が続く一方で、事業自体は現在も継続しており、毎年度予算が計上されている。その内容は、産業道路との交差点に位置する「大師河原歩道橋」の架け替え工事だ。老朽化したうえ、各方向へ分散している既存の歩道橋を、交差点を一周できる一体構造とし、バリアフリーにも対応した形へ再整備する計画だ。

しかし、事業開始から約15年が経過した現在も着工には至っておらず、調査・設計にとどまっている。2026年3月の川崎市議会でも進捗が問われ、「交通量や支障物件が多く工事難度が高いため、入札に応じる事業者が現れない状況が続いている」との説明がなされている。


宙に浮いた状態が続く川崎縦貫道路。果たして悲願である「アクアライン〜東名高速の直結延伸計画」は実現するのか、それとも大師JCTが“終点”のまま固定されるのか。計画の行方から目が離せない。

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