名古屋~セントレアに最短ルート誕生?「西知多道路」は2027年度に開通できるのか? 難航する“南部区間の課題”とは【いま気になる道路計画】
愛知県東海市〜常滑JCTを結ぶ「西知多道路」の整備が進められている。名古屋から中部国際空港(セントレア)を結ぶもう一本の幹線道路について、概要やメリット、今後の工事計画を見ていこう。
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西知多道路は名古屋~セントレアを結ぶ最短ルート
西知多道路の概要図。
「西知多道路」は、愛知県東海市から常滑市を結ぶ延長約18.5kmの自動車専用道路だ。伊勢湾岸道の東海JCTから中部国際空港へ至るルートとして計画されている。
北部区間(延長約9.2km)と、南部区間(延長約9.3kmの)2区間で構成されている。北部は現道である「知多産業道路」の4車線から6車線への拡幅と「大田IC」の新設。南部は4車線の有料バイパスを新設する予定だ。
工事は、国の権限代行区間と愛知県主体、さらに愛知県と東海市の共同施工区間に分かれるのが特徴だ。
北部区間では、東海JCTを国が、大田ICを愛知県と東海市が共同で整備。6車線化は愛知県が主体となり調査を進めている。南部区間は、長浦IC〜日長ICを国、それ以外を愛知県が担当する。つまり、伊勢湾岸道に接続する東海JCTなど広域的に重要な構造物は国が担い、それ以外は地方主体で整備が進む構図だ。なお、北部の6車線拡幅を除く全区間で事業化済みとなっている。
2026年3月12日には、西知多道路推進協議会が国に対し、東海JCTの着実な整備と未事業化区間の早期事業化に向けた支援を要望した。自治体側としても、早期開通に向けた姿勢を強めていることが伺える。
なぜ必要? 西知多道路がもたらす3つの効果
常滑JCT(仮称)の完成イメージ図。
西知多道路の整備効果は「中部国際空港への道路の代替性確保」「名古屋駅から中部国際空港への円滑な交通の確保」「中部国際空港への確実な物流の支援」の3点に整理できる。
2026年時点で、中部国際空港へ至る自動車専用道路は「知多半島道路」の1路線のみ。南部区間の代替路となる「国道247号」は慢性的な渋滞が発生し、北部区間に比べて平均旅行速度・死傷事故率ともに劣る状況にある。
西知多道路の整備によって自動車専用道が2ルート体制となると、交通事故などで一方に支障が生じた場合でも代替が可能となる。あわせて国道247号の混雑緩和や交通事故率の低下も見込まれ、空港アクセスの信頼性向上にもつながる見込みだ。
また、名古屋駅西ではリニア中央新幹線の新駅整備が予定されている。西知多道路の整備により、中部国際空港〜名古屋中心部の所要時間は約30分から約22分へ短縮され、空港とリニア駅を結ぶアクセスの強化が見込まれる。これにより、航空と高速鉄道の結節機能が高まり、広域的な移動の利便性向上にもつながる。
加えて、名古屋周辺には大手自動車メーカーや部品関連企業が集積し、飛島地区は国内有数のコンテナターミナルを擁する物流拠点となっている。西知多道路の整備により、飛島〜中部国際空港間の所要時間は約46分から約35分へ短縮され、物流の効率化など地域の企業活動を支える効果が期待されている。
西知多道路の工事状況。2027年度開通は実現するのか
北部区間と南部区間を繋ぐ、長浦JCTのイメージ図。
西知多道路は、6車線拡幅区間を除き事業化済みで、2027年度の全線開通を目指して整備が進められている。
2026年3月時点の工事状況を見ると、東海JCTでは橋梁工事が進行中。1月には夜間通行止めを伴う工事も実施され、橋脚やランプの整備が進みつつある。ほかの区間については、2025年3月開催の「第2回西知多道路調整会議」の資料によれば、大田ICは橋梁上部工事、南部区間は橋梁下部・上部工事の段階にある。
一方で南部区間では、用地取得が課題となっている。未取得用地が点在するため、連続的な施工が難しい状況にあり、全体の進捗に影響している。
整理すると、北部区間は完成が視野に入りつつある一方、南部区間では用地取得の遅れが課題として残る。現時点では、全線同時開通はやや不透明な状況といえる。
なお、6車線拡幅区間は地質調査段階にあり、本格的な施工には至っていない。6車線化は将来的な交通容量の強化を担う計画ではあるが、当面は本線開通が優先されているとみられる。
6車線化は将来的な課題にとどまる一方、より重要なのは伊勢湾岸道から中部国際空港連絡道路までが1本でつながる点だろう。西知多道路は、2027年度の全線開通が現実味を帯びつつあるが、その成否は南部区間の用地取得に大きく左右される状況だ。今後の用地取得の進展とあわせ、引き続き動向を注視したい。
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