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公開日:2026.04.15

豊橋~中津川を最短直結!「三河東美濃連絡道路」構想とは。リニアで動く新南北ルートの現在【いま気になる道路計画】

浜松~飯田をつなぐ三遠南信道。「三河東美濃連絡道路」はこれに続く、東海南北軸として構想される。

岐阜県中津川市と愛知県豊橋市方面を結ぶ新たな高速ネットワークとして「三河東美濃連絡道路」の構想が進められている。本路線は、福井~静岡を結ぶ最短ルートの一部も担う。その概要やメリット、現在の進捗状況を見ていこう。

浜松~飯田をつなぐ三遠南信道。「三河東美濃連絡道路」はこれに続く、東海南北軸として構想される。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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「三河東美濃連絡道路」は東海地方の新たな南北軸

三河東美濃連絡道路の概要。愛知県・岐阜県外縁部の環状ルートとなる。

三河東美濃連絡道路の概要。愛知県・岐阜県外縁部の環状ルートとなる。

日本は山岳地帯が多く、地域間の移動はこれまで大きく制約されてきた。とくに内陸部では「迂回が前提」とされてきた区間も多いが、近年はそれらを補完する広域道路ネットワークの構想が各地で進められている。物流の効率化や観光振興、さらには災害時の緊急輸送ルートの確保といった観点からも期待は大きい。

そうした構想のひとつが、中部地方の内陸部を南北に貫く「三河東美濃連絡道路」だ。

「三河東美濃連絡道路」は、岐阜県中津川市から愛知県設楽町を経て、新城市・豊川市方面へ至る延長約60~80kmの計画だ。中央自動車道と新東名高速・東名高速を結び、広域ネットワーク上では“三角形の一辺”を担うことで、大幅な距離短縮効果が期待されている。

三河東美濃連絡道路は、濃飛横断道や中部縦貫道と連携し、太平洋側と日本海側を結ぶネットワークとなる。

三河東美濃連絡道路は、濃飛横断道や中部縦貫道と連携し、太平洋側と日本海側を結ぶネットワークとなる。

現道は国道257号で、全線にわたり山間部を走るルートとなっている。木の実峠をはじめ、2車線は確保されているものの急カーブが連続し、走行には常に緊張感を伴う。

それでも国道257号は、愛知県内陸部にとって重要な幹線道路だ。国道153号(飯田街道)と接続し、旧上矢作町や旧稲武町、設楽町などの複数の生活圏を結んでいる。

三河東美濃連絡道路が実現すれば、こうしたエリアが広域ネットワークに組み込まれ、豪雨や土砂崩れなどの災害による通行止めリスクの分散が期待される。あわせて、緊急輸送路としての信頼性向上にも寄与する見込みだ。また、中央道や新東名高速、東名高速が通行止めとなった際の代替ルートとしての機能も担う。

周辺では、中津川~郡上をつなぐ「濃飛横断自動車道」も計画されており、「中部縦貫自動車道」の福井区間である大野油坂道路も全線開通が近づいている。

これらの路線が連携すれば、浜松~中津川~郡上~福井を結ぶ「東海エリア・越前エリアの最短ルート」が誕生する見通しだ。つまり太平洋側と日本海側が、名古屋圏を経由しない別系統のネットワークで直結されることになるのだ。

リニア中央新幹線の中間駅設置でにわかに注目

リニア中央新幹線を中心に交通網の発展が構想されている。

リニア中央新幹線を中心に交通網の発展が構想されている。

三河東美濃連絡道路は、1998年に愛知県の「広域道路整備基本計画」に位置づけられたのが最初だ。その後、国が2021年に策定した「新広域道路交通計画」にもリストアップされている。

現時点では、具体化に向けた検討には至っておらず「構想路線」にとどまっている段階だ。ただし、計画に明記されている以上、将来的な事業化の対象に含まれるという意味では、計画外の構想よりも実現する可能性は高い。

沿線自治体である岐阜県は、「リニア活用戦略」の一環として本路線の具体化を目指す構えだ。中津川市には、リニア中央新幹線「中間駅」の開業が予定されており、県はこれを核に周辺エリアの発展を図るさまざまな施策を展開中だ。

その中核を担うのが、中津川リニア駅を軸とした南北ネットワークの形成であり、「三河東美濃連絡道路」はその骨格となる路線なのだ。

では、国のスタンスはどうだろうか。検討の場となっているのが「リニア開業に伴う新たな圏域形成に関する関係府省等会議」で、これまでに2回の会議が開催されている。

2024年9月に示された中間とりまとめ案では、岐阜県のビジョン・施策として「リニア岐阜県駅を核とした道路ネットワークの充実」や「多重性・代替性の強化」が明記された。あわせて、三河東美濃連絡道路を示すルートも図示されており、今後の検討に向けた後押しとなる可能性がある。

具体化はまだ?「もう一つの南北軸」の整備進展もカギか

浜松~飯田を結ぶ「三遠南信自動車道」の路線図。

浜松~飯田を結ぶ「三遠南信自動車道」の路線図。

とはいえ、三河東美濃連絡道路の具体化に向けて本格的に予算が投じられるのは、同じく東海地方の山岳部を南北に貫く大型プロジェクト「三遠南信自動車道」の進展を見極めた後になる可能性が高い。

三遠南信自動車道は、新東名高速 浜松いなさ北ICから天竜川沿いに北上し、青崩峠を越えて長野県へ入り、飯田市で中央道に接続する延長約100kmの高規格幹線道路だ。

事業は浜松側・飯田側の双方から整備が進められており、最大の難所である青崩峠では、2023年5月に「青崩峠トンネル(仮称)」延長4998mが貫通した。直近では2026年3月14日に「東栄IC~鳳来峡IC」が開通し、新東名高速から約28kmが連続走行可能となったばかりだ。

また、三河東美濃連絡道路の大部分を占める愛知県は、リニア中間駅の圏域に含まれておらず、県議会でも特段の議論は見られないなど、温度差があるのも課題だ。実際、設楽町と名古屋方面を結ぶ国道153号では「新伊勢神トンネル(仮称)」の整備が進んでおり、地域としてはまずこちらの着実な完成が優先されている。

リニア中央新幹線の静岡工区も着工に向けた動きが見えてきた中で、「三河東美濃連絡道路」について国がどのタイミングで具体化に踏み込むのかは依然不透明だ。検討会の設置など、本格的アクションに移る時期を含め、今後の動向を引き続き注視していきたい。

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