チーム創立20周年のリアルレーシング、赤く輝くプレリュードGTでスーパーGTを戦う
ホンダ、トヨタ、そしてニッサン、日本を代表する自動車メーカー3社が送り出す14台のマシーンが激しい戦いを繰り広げているスーパーGTのGT500クラス。
その中で今シーズンデビューを飾ることになる期待のニューモデル、Honda HRC PRELUDE-GT(以下、プレリュードGT)を走らせる強豪チームが「アステモ リアル レーシング(以下リアルレーシング)」だ。
今年、創立20周年を迎えたリアルレーシングは、代表であり監督を務めている金石勝智氏を中心に発足したチーム。金石監督はレーシングドライバーとしてスーパーフォーミュラの前身である全日本F3000選手権や全日本選手権フォーミュラ・ニッポン、そして今日のスーパーGTに繋がる全日本GT選手権等で活躍した経験豊富な人物である。
監督の息子さんであり、リアルレーシングのシニアマネージングディレクターを務める金石勝英さんにチームの特徴について聞いた。
「全日本レベルのモータースポーツを戦うチームでも、レースごとに(フリーランスの)スタッフが集まる体制も珍しくありません。でもウチの場合は全員が社員として活動に加わっており、長く在籍しているスタッフも多い。だから着実に経験が積めていることが、迅速なピット作業など実戦における強みになっていると思います。今シーズンからチーフエンジニアとして加入してくれている大駅俊臣さんも弊社の社員として普段からチームを支えてくれています」
近年でもっとも変化の大きい2026年シーズン
今シーズンのホンダ勢の話題としてはもちろん期待のニューモデル、プレリュードGTの導入がある。新型車の導入で期待されるのは現代のモータースポーツと切っても切り離せないエアロダイナミクスの進化だといえる。
だがその点今シーズンは、これまで凍結されていたエアロの開発が許可されており、GT500を戦うトヨタ、ニッサンというライバルも変更を加えてきている。近年でもっとも変化の大きいシーズンといえる。
一方、プレリュードGTの導入に加え、リアルレーシングとして注目されるのは、弱冠20歳のルーキードライバー、野村勇斗選手が加わったことだ。昨年スーパーフォーミュラ・ライツでチャンピオンを獲得し、スーパーGTではGT300で1勝を挙げているホンダ陣営が誇る期待のドライバーだ。
また先に金石勝英さんのコメントにもあったように、今シーズンのリアルレーシングにはチーフエンジニアとして経験豊富な大駅俊臣さんも加入している。ベテランの塚越広大選手を核としつつ、新たにチームに加わったファクターが2026年のスーパーGTを盛り上げてくれるはずだ。
スーパーGTフル参戦18年目。チームを牽引するエースドライバー、塚越広大選手
今年チーム創設から20周年を迎えたリアルレーシングにとって、塚越広大選手はレーシングドライバーという以上の存在といえる。
塚越選手のスーパーGTデビューは2008年、当時赤いNSXを走らせていたリアルレーシングから第6戦にスポット参戦した。その翌年からはリアルレーシングからスーパーGTにフル参戦を開始し、今シーズンまで一貫してチームを精力的に牽引し続けている。まさにリアルレーシングといえば塚越選手! という決定的な関係だ。
岡山国際サーキットで3月6、7日に開催された公式テストで、塚越選手に今シーズンの意気込みを聞いた。
チームと一緒に探っていく楽しみ
「もともとクーペのデザインだし、プレリュードGTはカッコイイと思います。実はまだ(公道用の)プレリュードには乗れていないんです。新しいGT500マシーンといっても中身の部分はこれまでのものを引き継いでいるので、全く新しいクルマをドライブするという感覚ではありません。これまで慣れ親しんでいるマシーンに、今年はどんな伸びしろが備わっているのか、チームと一緒に探っていく楽しみではありますけど」
これまで幾多のマシーン変更を経験してきたベテランドライバーらしい冷静なコメントをくれた塚越選手。では一方、今シーズンからタッグを組む野村選手に関してはどのような印象を持っているのだろうか。
「近年は若手ドライバーと組むことが多くなりましたが、ここ(GT500)まで上がってくるドライバーは基本的にみんな速いです。ルーキーの野村選手の場合も、マレーシアのセパンのテストで初めてGT500をドライブしていますが、しっかり走れていたと思います。だから何か質問されればアドバイスするようなこともありますが、特に走り方を教えるみたいなことはないですね」
Profile
塚越広大(つかこし・こうだい)
1986年生まれ、栃木県出身。カート時代に国内タイトルを多数獲得し、早くから才能を発揮。鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラを首席で卒業後、F4やフォーミュラ・ドリームで活躍し、全日本F3、ユーロF3を経て2009年にスーパー GTとフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)へ参戦。スーパーGTでは2010年に初優勝を挙げるなどトップドライバーとして実績を重ね、2013年にはシリーズランキング2位を獲得。以降もリアルレーシングのエースとしてチームをけん引し続けている。安定感と勝負強さを兼ね備えた、日本を代表するレーシングドライバーの一人。
昨年は小出峻選手、一昨年までは太田格之進選手と組んでAstemo シビックタイプR-GTを走らせてきた塚越選手。マシーンやパートナーが変わっても、不動のエースドライバーがいるおかげで、どのシーズンもリアルレーシングらしい戦いができているのだろう。
塚越選手は口数が多い方ではなく、走りで魅せる職人肌のレーシングドライバー。冷静なコメントの中にも強い決意が感じられた。リアルレーシングとともに、18年目のシーズンが幕を開ける。
サーキットの外でも、レースははじまっている。
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