夢の「房総半島一周」高速は実現するのか? 茂原~鴨川~館山を結ぶ! 3つの高規格道路計画の現状。「館山鴨川道路」で検討進む【いま気になる道路計画】
房総半島をぐるりと結び、外房と内房を沿岸部でつなぐ新たな3路線の高規格道路が構想されている。半島南部エリアで進む道路計画について、その概要や期待される効果、現状を見ていこう。
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「房総半島をぐるりと一周」高速の現状は?
千葉県鴨川市付近の海岸線
近畿地方を代表する半島が「紀伊半島」なら、関東地方を代表する半島は「房総半島」だ。
半島をぐるりと周遊する道路ネットワークの整備状況を見ると、紀伊半島では和歌山県・三重県側から延伸が進み、全線開通に向けた整備が進んでいる。2027年には最南端部を通る「すさみ串本道路」の開通も予定されている。
一方、房総半島では、沿岸部を結ぶルートの多くが現在も一般道路のままだ。しかし将来的な道路計画では、半島南部全域をカバーする複数の高規格道路が構想されている。
外房地域で構想される高規格道路
まず内房エリア(西海岸)の現状を整理しよう。有料道路は千葉市内から「館山自動車道」「富津館山道路」が南下し、館山市手前の「富浦IC」で終点となる。そこからは「館山バイパス」が市街地までつながっており、4車線化事業が進められている。
一方、外房エリア(東海岸)では、千葉市内から半島の「首」を横断する形で「千葉東金道路」が伸び、圏央道の東金ICからは「東金九十九里有料道路」を経由して太平洋岸へアクセスできる。
さらに九十九里の海岸沿いには、17.2kmにわたる「九十九里有料道路」が整備され、南側は一宮町まで到達している。また、一宮町内へ向けては、圏央道から分岐する「茂原一宮道路(長生グリーンライン)」の整備も進行中だ。
こうした状況から、房総半島南部における高規格道路の未整備区間は「館山~鴨川~勝浦~大原~一宮」の区間となる。
延長は約80~90km。沿岸部には都市や観光地が点在し、生活・レジャー・産業を支える重要なエリアだ。「鴨川シーワールド」をはじめとする観光資源も多いが、都心や千葉方面からのアクセスは内陸部を通るルートが中心で、沿岸部を周遊するには高規格道路の整備が課題となっている。
半島南部をつなぐ「3つの高規格道路」計画
3路線を合わせて約80~90kmがつながる
未整備区間である「館山~一宮」は、3つの高規格道路計画で構成されており、それぞれ整備に向けた動きが進んでいる。ここからは各計画の状況を整理していこう。
●館山鴨川道路
現在、検討が進められているのが「館山~鴨川」の区間だ。いわば館山自動車道・富津館山道路の延伸部ともいえる計画である。
国道128号のバイパスとして、JR内房線が通るルートと同様に半島西側を回りつつ、千倉方面へ直結する構想ルートとなっている。鴨川市にとっては、「信号ほぼゼロ・峠越えゼロ」で都心方面へアクセスできる道路になると期待されている。
2017年には「館山・鴨川道路整備促進期成同盟会」が設立され、国や県への要望活動の窓口となった。直近では2026年7月にも県への要望が行われている。また、2018年には「館山・鴨川間道路交通対策検討会」が開催され、ワーキンググループによる継続的な検討方針が示された。
事業化に向けては、国が「計画段階評価」を開始し、概略ルートや構造を決定したうえで、都市計画決定や環境アセスメントなどの手続きを進める必要がある。
その前段階として、地元自治体が交通課題や現状、優先整備箇所などを整理し、国の検討につなげる準備が求められる。現在は、その準備段階にある。
●鴨川大原道路
鴨川から勝浦市を経由し、いすみ市の旧大原町までを結ぶ約40kmの区間だ。
勝浦市から都心方面へ向かう現在の主要ルートは、国道297号を利用し、大多喜を経由して北上するルートとなる。圏央道 市原鶴舞ICからアクアラインや千葉方面へ接続できるものの、山間部を通る区間が長く、地域を結ぶ道路としての役割が中心となっている。
高規格道路が整備されれば、勝浦を含む外房南部から各方面へのアクセス改善が期待されるが、まだ目立った動きは確認できない。
●茂原一宮大原道路
大原から圏央道方面を結ぶ区間で、外房側の広域ネットワークを形成する計画だ。
先述のとおり、圏央道から一宮方面へ向かう「茂原一宮道路(長生グリーンライン)」は事業化されており、全体12.2kmのうち4.7kmが開通している。直近では2024年3月に延伸開通した。
一方、その先となる「一宮~大原」の約15kmは、現在も未事業化区間となっている。
なお、これらの「鴨川大原道路」と「茂原一宮大原道路」は、「高規格道路『茂原・一宮・大原道路』『鴨川・大原道路』建設促進期成同盟会」として、一体的に整備促進に向けた要望活動が続けられている。
今後の動きは?立ちはだかる大プロジェクト
茂原一宮道路の進捗状況
今後の動きとしては、館山~鴨川間ではまず「館山バイパス4車線化」、一宮以南では「茂原一宮道路(長生グリーンライン)」の整備について、着実な進展が見えてから次の段階へ進むことになるだろう。
紀伊半島の整備のように、一部区間が先行して事業化される可能性もあるが、現時点では大きな動きは見られない。
その理由は、国道128号のバイパス整備が一定程度進んでいることにある。鴨川市天津では、「天津バイパス」の延伸となる「実入バイパス」が2019年に開通。勝浦市興津では「興津バイパス」、中心市街地では「勝浦バイパス」が整備されており、現時点での「渋滞対策・安全対策」は一定の水準まで進んでいる。
一方で、現在の高規格道路整備の大きな目的は「災害に強い広域ネットワークの構築」であり、地域全体を高規格道路で結ぶことで本来の効果が発揮される。今後は、限られた予算のなかでどの区間を優先するかが焦点となる。
また、千葉県では最重要プロジェクトとして「北千葉道路」「新湾岸道路」「千葉北西連絡道路」などの整備も進められており、予算配分の面でも影響を受ける可能性がある。
「房総半島一周」を実現する新たな道路ネットワークに向け、今後どの区間が事業化されるのだろうか、引き続き動向を注視していきたい。
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