川崎の大渋滞路「国道15号」をバイパス!「富士見鶴見駅線」はどこまで完成した? 35年間止まった“ブツ切れ4車線”の現状【いま気になる道路計画】
神奈川県では、第一京浜と産業道路の中間を南北に結ぶ「富士見鶴見駅線」の整備が計画されている。第一京浜に集中する慢性的な渋滞の緩和を目的とした新たな路線だ。その計画概要や整備効果を見ていこう。
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川崎の新たな南北軸「富士見鶴見駅線」とは
都市計画道路「富士見鶴見駅線」の概要。JR南武線「小田栄駅」周辺が未開通になっている
川崎市は、多摩川沿いに細長く伸びた地形が特徴だ。しかし、川崎駅より海側に位置する川崎区は東西南北に広いエリアを有し、第一京浜や産業道路といった南北方向の幹線道路に加え、第一京浜(国道15号)・川崎駅方面と臨海工業地帯を結ぶ東西方向の交通も多く、交通需要が非常に高い。
一方で、第一京浜と産業道路の間には、川崎区を南北に貫く幅員の広い道路がほとんどない。そのため交通が第一京浜に集中し、市内区間では慢性的な渋滞が発生している。
こうした課題の解消を目的に、両道路の中間を南北に結ぶ都市計画道路「富士見鶴見駅線」の整備が計画されている。その概要を見ていこう。
大渋滞の国道15号をバイパス。将来はJR鶴見駅へ直結
小田周辺戦略エリア整備プログラムにおいて軸となる富士見鶴見駅線
「富士見鶴見駅線」は、国道409号の川崎競馬場前から南下し、JR小田栄駅を経由して鶴見駅へ至る、延長約4.5kmの都市計画道路だ。
全線開通すれば第一京浜の代替ルートとなり、生活交通の分散による渋滞緩和が期待される。川崎大師や川崎競馬場、川崎競輪場へのアクセス道路として機能するほか、2021年に開業した商業施設「リコパ鶴見」など、再開発が進む小田栄地区へのアクセス向上にも寄与する見込みだ。
現在は、「小田栄~京町」の延長約1kmが未開通で、前後の区間はすでに供用済みとなっている。いわゆる「ブツ切れ」の状態だが、鶴見駅西口付近まで多くの区間で4車線の道路網が形成されている。
「追分交差点~小田栄」の整備の歴史は古く、1950年代にはすでに都市計画幅員が確保され、4車線道路として整備された。1980年には両側に自転車レーンが設置されるなど先進的な道路で、その北側区間も市営トロリーバスのルートとして利用されるなど、川崎区内の貴重な南北軸として地域交通を支えてきた。現在も、水江町方面へ向かうBRTの帰路ルートとして活用されている。
また、追分交差点は五差路の信号交差点として知られ、「二重矢印のある右折レーン」が設けられているほか、かつては角度の異なる2つの右折矢印信号が設置されており、道路ファンの間ではちょっとした名物となっていた。
「最後の1km」はいつつながるのか?
「JR小田踏切」では改良工事が先行整備されている
最後の未開通区間である「小田栄~京町」の進捗はどうなっているのだろうか。
実は「京町~横浜市境」が1991年に開通して以来、「小田栄~京町」の延伸事業は約35年にわたり停滞している。
川崎市が2029年度までの目標を示した「道路整備プログラム」では、本路線は「事業化検討」と位置づけられている。他路線が「事業継続」「着手」「先送り」などに分類されるなか、「事業化検討」とされた唯一の路線であり、今後の動向が注目される。
カギを握るのは、2019年に策定された「小田周辺戦略エリア整備プログラム」だ。小田地区は老朽化した住宅が密集するエリアであり、個別の建て替えではなく、地域全体を視野に入れた戦略的なまちづくりが進められている。2016年にはJR南武線「小田栄駅」が開業し、南口周辺が新たな都市機能の拠点となっている。
この計画の中で、富士見鶴見駅線は火災延焼を遮断する防災軸としても位置づけられている。交通機能の向上だけでなく、防災性の強化もあわせて進めることで、都市再編と一体となった道路整備を目指す構想だ。
現在は先行整備として、「小田栄駅前交差点改良」の設計が進められている。小田栄駅東側の「小田踏切」周辺は、X字状に道路が交差する中央部を線路が横切り、さらに線路南側の道路が接続するほか、交通島には川崎臨港バスの乗り場も設けられるなど、複雑な交通構造となっている。このため、地元からも改善要望が寄せられており、優先的に改良が進められることとなった。
一方、残る未開通区間については、2029年度までに整備形態などを決定したいとしているものの、現時点では駅前交差点改良が先行しており、全線事業化に向けた具体的な動きはまだ限定的だ。
約35年間途切れたままとなっている「富士見鶴見駅線」は、いつ悲願の全線事業化に向けて動き出すのか、今後の展開にも注目していきたい。
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