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リアルレーシング、予選と決勝を分けた「明と暗」——リアルのリアル Vol.2 スーパーGT 2026開幕戦 岡山国際サーキット
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公開日:2026.07.16

リアルレーシング、予選と決勝を分けた「明と暗」——リアルのリアル Vol.2 スーパーGT 2026開幕戦 岡山国際サーキット

Astemo REAL RACING 2026「Beyond the Street」

期待のニューモデル、HONDA HRC PRELUDE-GTをアンベールし、2026年のスーパーGTに挑むAstemo REAL RACING(アステモ リアル レーシング)。ベテラン塚越広大とGT500ルーキー野村勇斗に託されたマシーンは、その初戦をどう戦ったのか。

文=吉田拓生

写真=河野マルオ(maruo kono)

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新型車を投入し、会心の4番グリッド!

リアルレーシング、予選と決勝を分けた「明と暗」——リアルのリアル Vol.2 スーパーGT 2026開幕戦 岡山国際サーキット

新型車を投入し、会心の4番グリッド!

4月11日、スーパーGTの2026年シーズンが岡山国際サーキットで開幕し、Astemo REAL RACING(アステモ リアル レーシング)は期待のニューモデルを持ち込んだ。シーズンオフから開発を重ねてきたAstemo HRC PRELUDE-GTのパフォーマンスを確認するための重要な1戦だ。

レースの週末は、3月初旬に同じく岡山国際サーキットで行われた開幕前のテストとは打って変わって暖かい天候。公式練習では温度に対するアジャストも含め慎重にセットアップを進めている印象だったが、いきなり2番手という好タイムを記録している。これは新たに5台が投入されたHONDA HRC PRELUDE-GT勢の中でも最速のグリッドであり、上々の滑り出しを見せたことになる。

4月11日午後に行われた公式予選。そのQ1でステアリングを握ったのは初のGT500予選に挑んだ野村勇斗選手だった。終盤には赤旗が出てセッションが中断され、残り時間が残り僅かとなってしまったが、それでも限られたアタックのチャンスを確実に生かした野村選手は「自信はありました!」という言葉どおり、8番手でQ2進出を決めた。

Q2を担当したのはエースドライバーの塚越広大選手。タイヤのグリップを最大限に引き出した彼は、クリーンなラップをまとめ1分17秒697をマーク。公式練習に続いてホンダ勢で最上位となる4番手グリッドを獲得した。

惜しくもフロントロウには届かなかったものの、トップとの差は僅か。翌日の決勝に向け、Astemo REAL RACINGは期待の持てるポジションを確保したのだった。

ピックアップに悩まされた決勝レース

一夜明けた日曜日も岡山国際サーキットの天候は晴れ。決勝前の20分のウォームアップ走行でもAstemo REAL RACINGの塚越、野村両ドライバーによればマシーンの感触は上々だという。セカンドロウのポジションからAstemo REAL RACINGの2026年シーズンがはじまる。スタート・ドライバーは野村勇斗選手が務めることになった。

開幕戦は全車ともサクセスウェイトを積んでいないガチンコ勝負のレースとしても人気がある。GT500の一団がゆっくりと隊列を整えつつ岡山国際サーキットの最終コーナーを回り、スロットル全開で1コーナーに飛び込んでいく。

野村選手は序盤から中団グループで激しいポジション争いを展開。タイヤマネジメントと燃費を意識しながら着実にレースを進めていく。6周目以降は前方に周回遅れとなるGT300クラスのマシーンが現れるが、そこは冷静な判断で巧みにオーバーテイクを重ね、ラップタイムを安定して刻んでいく。

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ローリングスタートで1コーナーへなだれ込むGT500クラスの一団。アウト側から被せるAstemo HRC PRELUDE-GT。次のウィリアムズコーナーが左カーブなので、位置取りは悪くない。
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メカニックも耐火のレーシングスーツとヘルメットで固めてピット作業に挑む。
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岡山国際サーキットのバックストレートを走るAstemo HRC PRELUDE-GT。コース脇に見える黒い粒が今回チームを悩ませたタイヤカス、いわゆるピックアップの要因だ。

野村選手がピットに入ったのはライバルとほぼ同じ30周目。塚越選手にドライバー交代をして、10番手のポジションでコースに復帰した。だがレースの後半は予選までの好調とは打って変わって苦しい展開となる。

レース後に金石勝智監督に理由を尋ねると「ピックアップに苦しめられました」と一言。ピックアップとはコースに落ちたタイヤカスのこと。GT300クラスの車両を抜く際などにレコードラインから外れてしまうと、タイヤにカスが付いて、グリップが低下してしまうのである。ピックアップが、何らかの理由で剝がれにくくなってしまうと、思うようなペースで走れなくなってしまう。

苦しい走りを強いられた塚越選手だが、ポイントをギリギリ獲得できる10位を死守。300kmを無事に走り切り、開幕戦で貴重な1ポイントを獲得できた。

また経験豊富な塚越選手とGT500デビューを飾った野村選手が苦しいながらも着実なレース運びを披露し、チーム全体としてノウハウを蓄積したこともポジティブな材料といえる。

Astemo REAL RACINGは、開幕戦で得た経験とデータを武器に、今後の戦いで巻き返しを目指す。

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速さが異なる2クラスのマシーンが混走するスーパーGTでは周回遅れの処理が勝敗を分けることもある。またオーバーテイクのために走行ラインを外すことでタイヤがピックアップを拾ってしまう。

野村勇斗、初めてプロになった実感

弱冠20歳のルーキーでありながら、今シーズンはスーパーフォーミュラのシートも確保し実績十分の若手トップドライバー、野村勇斗選手。GT500でもすでに非凡な速さを見せている。
弱冠20歳のルーキーでありながら、今シーズンはスーパーフォーミュラのシートも確保し実績十分の若手トップドライバー、野村勇斗選手。GT500でもすでに非凡な速さを見せている。

その表情にはあどけなさが残るが、眼の奥には確かな自信を秘めている。今年Astemo REAL RACINGに加入し、GT500クラスでデビューを果たした弱冠20歳のレーシングドライバー、野村勇斗選手である。

若手とはいえ、「GT500ドライバー」となればエクスキューズは必要ない。それはステップアップカテゴリーで確かなリザルトを残してきたレーシングエリートだけの称号なのである。実際に野村選手の経歴は鮮やかなものだ。

ホンダレーシングスクールの出身で2022年はフランスF4に挑戦。帰国した2024年にはFIA F4でタイトルを獲得。翌年は全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦し、中盤からの8連勝によっていきなりドライバーズタイトルを獲得して見せたのである。

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予選Q2のアタックで塚越広大選手が4番手を獲得。ピットウォールで見守っていた大駅俊臣エンジニア、Q1を担当した野村勇斗選手、そして金石勝智監督からも笑顔がこぼれる。
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レース前のピットウォークでファンに囲まれる塚越、野村の両ドライバー。岡山国際サーキットのオピットロードは熱心なファンで溢れかえっていた。

また2025年シーズンはスーパーGTデビューも果たしており、チーム・アップガレージのAMG GT3を駆って、第3戦ではポール・トゥ・ウィンを達成している。そんな野村選手が今シーズン、スーパーGTのGT500クラス、そしてスーパーフォーミュラにデビューすることは当然という見方ができるはずだ。

Astemo REAL RACINGに加入した今年、自らのスーパーGT初優勝の地であるセパンの冬のテストで初めてGT500のステアリングを握った野村選手はその時のことを「初めてプロドライバーになったんだな、と実感しました」と振り返った。プロドライバーは速くて当たり前であり、結果を出さなくてはいけないことと同義でもある。

「新たにチームメイトになった塚越さんからは学ぶことも多いし、わからないことを聞けば丁寧に教えてくれます。だから走る前はそれなりに緊張はしますが、不安はありません」と言い切る野村選手。未来のホンダのエース候補は、今まさに頂点に至る道のりを走りはじめたばかりだ。

リアルレーシング、予選と決勝を分けた「明と暗」——リアルのリアル Vol.2 スーパーGT 2026開幕戦 岡山国際サーキット
メカニックからエンジニアまで、社員スタッフとして日々レース本番に向けて取り組んでいるAstemo REAL RACINGの面々。
Information

サーキットの外でも、レースははじまっている。
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