京都桂川に「新たな橋」計画! 桂~太秦~中心街を「御池通」で結ぶ。「久世梅津太秦線」と幻の「競馬場アクセス道路」の現在【いま気になる道路計画】
京都市内を流れる桂川には、新たな橋を架ける2つの都市計画道路「久世梅津太秦線」と「向島神足線」がある。そのうち、1つは計画が継続する一方、もう1つは廃止候補となった。明暗が分かれた2つの計画について、その全貌や整備の狙い、現状と今後の行方を見ていこう。
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明暗分かれた京都市の「桂川架橋計画」
桂川に架橋する2つの都市計画道路。向島神足線は廃止が決定した
京都市街の西側を南北に流れる桂川は、亀岡方面から京都盆地へ流れ込み、嵐山や桂離宮を経由したあと、宇治川・木津川と合流して淀川となり、大阪湾へ注いでいく。
この桂川に新たな橋を架ける都市計画が、京都市に存在する。正確には、1つは計画が継続している一方、もう1つは消えようとしている。
壮大な「久世梅津太秦線」計画の現状は
桂川を渡って太秦エリアに至る都市計画道路「久世梅津太秦線」。将来は延伸した御池通に接続する
計画が継続しているのは、桂川西岸の南北軸を担う「久世梅津太秦線(くぜうめづうずまさせん)」だ。
この道路は、大阪方面から北上する国道171号の延長線上に位置する。国道171号は阪急電鉄の桂駅前で北東に進路を変えて桂川を渡るが、そこから分岐した西岸の道路は「桂川街道」としてさらに北上。そして桂離宮前を抜け、国道9号に接続する。
国道9号以北は、4車線道路が約630m伸びているが、住宅地で突然ブツ切れになってしまう。この中途半端な道路の先に計画されているのが、久世梅津太秦線の未開通区間なのだ。
計画では、ここからさらに北上し、新設する橋で桂川を渡り、約900m先の「御池通」に接続することになっている。
御池通といえば、京都市街でも有数の主要東西軸だ。立派な4車線道路が市内交通を担っている。そんな御池通が太秦・嵯峨野エリアまで延びているのか、と疑問に思う人もいるだろう。
実は御池通は、最終的に市営地下鉄東西線「太秦天神川駅」からさらに西進し、嵐山の渡月橋まで直結する計画となっている。交通が集中する三条通・丸太町通に代わり、嵐山と中心市街地を結ぶ「第3ルート」としての役割が期待されているのだ。
久世梅津太秦線は、この「御池通延伸部」に南側から直結することで、桂から太秦を経由し、嵐山や京都中心街へ結ぶ道路ネットワークを形成することが期待される。
現在、桂~太秦では、東側の「上野橋」で桂川を渡るルートがメインとなっている。4車線の新たな橋が架かれば、狭く曲がりくねった上野橋ルートのボトルネックが解消され、渋滞の緩和につながる可能性がある。
当初より短縮された。久世梅津太秦線の進捗は?
久世梅津太秦線は当初、嵐電北野線を道路転換して北野白梅町へ至る計画だった
ちなみに久世梅津太秦線はもともと「久世梅津北野線」として計画されていた。
当初は、御池通からさらに北へ延伸した後、東へ進路を変え、北野白梅町に至る道路計画だったのだ。実現すれば、「西宮・大阪方面~桂~今出川通~銀閣寺」を結ぶ壮大な4車線環状ルートが誕生するはずだった。
しかし、この計画は「嵐電北野線を丸ごと廃止し、道路に作り替える」という前提条件を伴っていた。当然ながら実現性に乏しく、2025年、都市計画道路網の大幅な見直しによって、計画区間が大幅に短縮された。
気になる進捗だが、2005年には事業中止を求める大規模な陳情が行われたほか、地元の反対も長年続いている。近年は目立った動きがなく、実質的に休眠状態にある。計画そのものが、徐々に都市伝説化しているのが実情だ。
とはいえ、取り巻く環境は変わりつつある。2026年7月、北陸新幹線の京都延伸計画において、京都側のターミナル駅を京都駅ではなく「桂川エリア」に設置する方針が決定した。
開業すれば、桂川エリアには大量の交通需要が生まれると考えられる。現状、都心部方面への交通は久世橋(国道171号)と西大橋(国道9号)に集中している。久世梅津太秦線は、交通を分散させる「外環ルート」として、改めて注目されるかもしれない。
競馬場アクセス「向島神足線」の廃止理由とは
長岡京市の国道171号と伏見区向島の国道1号をつなぐ「向島神足線」。2025年に廃止の方針が決定
もうひとつの桂川架橋計画が「向島神足線」だ。こちらは、2025年の見直しで全区間が廃止候補となり、今後、都市計画の正式な廃止を待つだけの「幻に終わった計画」となっている。
向島神足線は、JR長岡京駅東口から国道171号につながる「駅前通り」の延長線上に位置する。幅員30mの道路が南東へ進んで桂川を渡った後、淀の京都競馬場北側をかすめて宇治川を渡り、国道1号を越えて第二京阪道路の側道に接続するルートで計画されていた。
淀エリアは桂川と宇治川に囲まれた「島」のような地形で橋も少ない。ほぼ唯一の主要道路である「府道京都守口線」に交通が集中していた。向島神足線は、ここに新たな東西軸を設け、国道171号・国道1号という広域道路ネットワークへのアクセスを担うはずだった。
しかし、2025年に廃止候補となった。その理由とされているのが、2003年に京滋バイパスの側道部が供用されて以降、交通量が分散したことだ。京滋バイパスは、向島神足線の計画ルートからわずか約3kmの距離に位置する。大山崎JCTから久御山JCT方面へ桂川・宇治川を渡る幹線ルートとなっている。
具体的には、見直しの評価で「土地利用方針への貢献」「拠点間ネットワークへの貢献」などの各項目で得点を伸ばせなかった。さらに、加点要素となるはずの「桂川渡河区間のボトルネック対策効果」という特別項目でも得点はゼロ。重要度の評価は「グレード3」にとどまったのだ。
このように明暗が分かれた2つの桂川架橋計画。道路整備が停滞しがちな京都市にあって、生き残った久世梅津太秦線は、果たして再び事業着手へと動き出すのか。今後の動向に引き続き注視していきたい。
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