世の中はそんなに甘くない
デビューしたばかりの若い頃は、全国各地をライブで回る、いわゆる“ドサ回り”が苦手だった。下積みなんてかっ飛ばして、早く売れちゃうのがミュージシャンとしてカッコいいと思い込んでいた。曲が一人歩きして、バンド名が全国に知れ渡るようなヒット曲が欲しかったのだ。
そんな青臭い願望は早々に叶わないことがわかって、根拠なき自信に溢れていた青年は壁にぶつかる。世の中はそんなに甘くない。
2度のバンド解散を経たり、音楽以外の活動にも可能性を見出したり、いろんな遍歴があった。何度も音楽を辞めようと試みたこともあったが、それでもやっぱり手放すことはできなかった。
35歳になってソロアルバムをリリース。初めてのD.I.Yで、事務所もレーベルも持たず、完全自主制作で作り上げた。完成した日に思った。自分の楽曲たちを手渡しで全国のみんなに届けたい。理解者を自分の足で探して回りたい。東京の自宅でじっとしながら、売れ行きを気にして落ち込んだり喜んだりするのは、今の僕には似合わないと確信した。
そこから旅支度を始める。誰でもふらっと立ち寄れて、近い距離で音楽を楽しめる方法はないだろうか。そうだ、“投げ銭”はどうだろう? チケット代を無料にして、その日ステージを見たお客さんが心の動いた分を払ってもらう。そうなると、そんな企画に賛同してくれる会場はあるだろうか?
SNSで一般募集をしてみる。なんと、全国津々浦々から300件以上の応募があった。どのくらいお金が集まるかもわからない日本一周の旅になるから、費用は抑えたい。よし、車中泊だ。移動費と宿泊費が一つで済む。
お前にはこんなことできないだろ?
そんなこんなでドタバタと真夏は準備に明け暮れ、気づけば9月23日。東京に秋の気配が漂い始めた頃、僕はアコギを片手にキャンピングカーへと乗り込んだ。人生初めての車中泊生活。人生初めての全国47都道府県ツアー。人生初めての投げ銭ライブ。35歳にして、初めて尽くしの冒険に身を投げ出したのだ。
まずは、仙台港から車両ごとフェリーに乗り込み、北の歓楽街・北海道はすすきのを目指す。そこから東北を行脚して、西へと列島を駆けずり回る予定だ。あくまでも予定。どうなるかなんて、僕にも同行するスタッフ・泉海くんにもわからない。
このツアーを通して、若き日の未熟な僕に見せつけてやりたい。「お前にはこんなことできないだろ?」って。音楽は目に見えない。人の心と心が通い合って、ようやく実在を感じられるもの。僕は、自分の曲を自分で全国の誰かに届けていきたい。
INFORMATION
古舘佑太郎 47都道府県弾き語りツアー
期間: 2026年9月24日〜12月22日
ルート: 札幌をスタートし、キャンピングカーで南下して沖縄へ
ツアーに関する詳細はこちらから
https://yutaro-furutachi.com/2026/09/01/47tour-2/
Instagram:@yutaro_furutachi
HP:https://yutaro-furutachi.com/
記事の画像ギャラリーを見る
この投稿をInstagramで見る
