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公開日:2026.05.26

北海道“最北ルート”がさらに延伸へ! 旭川~稚内「4時間切り」も実現。道央道で新工区が事業化【いま気になる道路計画】

2010年に開通した幌富バイパス。旭川~稚内をつなぐ道央道の一環だ

日本最北端の北海道・稚内市までを結ぶ高規格道路の整備が進んでいる。2026年3月には長年の難工事区間が完成し、4月には新たな工区も事業化された。壮大な「道央道」プロジェクトはどこまで進んだのか。その概要や整備効果、最新状況を見ていこう。

2010年に開通した幌富バイパス。旭川~稚内をつなぐ道央道の一環だ

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、北海道

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道央道を日本最北端までつなげる計画

北海道縦貫道路の北部区間の概要

北海道縦貫道路の北部区間の概要

北海道北部の宗谷(そうや)地方は、日本最北端に位置する地域だ。旭川から士別、名寄(なよろ)、美深(びふか)などを経て、稚内(わっかない)まではJR宗谷本線が結んでいる。一方、道路交通は長らく国道40号に大きく依存してきた。

現在、この最北の地を高規格道路で一体的につなぐ壮大なプロジェクトが進行中だ。2026年春には、新たな工区が新規事業化され、整備はさらに前進している。

2013年に全線開通した名寄美深道路

2013年に全線開通した名寄美深道路

この高規格道路は、函館から北海道を縦断する「北海道縦貫自動車道(道央道)」の一部として整備が進められている。函館~室蘭~千歳~札幌は、函館側の一部区間を除いて開通済み。札幌以北では旭川を経て士別までが完成しており、その先は区間ごとに整備・部分開通が進められている状況だ。

整備の目的は、稚内港をはじめ、農畜産業が盛んな宗谷・上川エリアにおいて、物流を支える道路機能の強化を図ることにある。加えて、異常気象時でも地域交通を寸断しにくいネットワークの構築や、交通事故の防止なども重要なテーマとなっており、従来の国道依存から脱却する「広域交通軸の強化」が進められている。

難工事を経て「長さ約5km」のトンネルが開通

2026年3月に開通した音中道路

2026年3月に開通した音中道路

現在も整備が続く旭川~稚内について、各工区の最新状況を整理していこう(未開通施設名はすべて仮称)。

●旭川IC~士別剣淵IC【開通済み】
2003年に士別剣淵(しべつけんぶち)まで開通。ここまでNEXCO東日本の管轄で、士別剣淵ICには「日本最北の料金所」がある。2019年には和寒(わっさむ)~士別剣淵が4車線化の優先区間に指定され、今後も動きが予想される。

●士別剣淵IC~名寄IC【事業中】
2014年に全線で本格事業化された区間。名寄方面までは比較的平坦な地形が続くものの、現道の国道40号は沿線住民の生活道路も兼ねており、士別市内を中心に信号交差点が連続するなど、混雑が課題となっている。

この区間が開通すれば、上川エリアの主要都市である名寄まで、旭川方面から「信号ゼロ」で到達可能となる。

2025年3月時点の全体進捗率は約76%。天塩川を渡る橋梁はすでに完成しており、風連地区ではJR宗谷本線との立体交差工事などが進められている。

●名寄美深道路【開通済み】
名寄IC~美深北ICの延長22.4kmは、2013年に全線開通した。名寄市や美深町の市街地を大きく迂回するルートとなっており、蛇行が多く遠回りだった国道40号に代わって、両地域を最短距離で結んでいる。

この「名寄美深道路」の開通により、旭川~稚内の所要時間は、ついに4時間を切る水準に短縮された。

●美深北IC~音威子府IC【未事業化】
天塩川(てしおがわ)沿いの狭隘区間である美深北IC~音威子府(おといねっぷ)ICは、現時点では「計画段階評価」は未実施となっている。比較的平坦な地形が続き、防災面での緊急性も他区間より低いと判断されていることから、概略ルートや構造の具体化には至っていない。

●音中道路【開通済み】
2026年3月22日に開通したばかりの、現在もっとも注目を集める工区だ。音威子府IC~中川ICの延長19.0kmを結び、天塩川沿いに続く急カーブの多い狭隘区間を、長さ2699mの「音威子府トンネル」と、長さ4686mの「音中トンネル」によって一気に貫いている。これにより、距離で約10km、時間で約10分の短縮効果が生まれた。

特に「音中(おとなか)トンネル」は難工事として知られ、大規模な崩落やロックボルトの変形、度重なる脆弱地層の出現などにより工期が大幅に長期化。2010年の着工から貫通まで約10年を要した。

開通によって、冬季の大雪や雪崩による「特殊通行規制」と呼ばれる通行止めのリスクを抱えていた国道40号に代わり、安定した物流・交通ネットワークが確保された。さらに、名寄・旭川方面への救急搬送ルートとしても重要性が高く、地域にとって長年の悲願だった短絡バイパスが実現した形だ。

天塩町まで新規事業化!その他の工区は?

2026年4月に新規事業化した中川天塩道路

2026年4月に新規事業化した中川天塩道路

●中川天塩道路【新規事業化】
2026年度に新規事業化されたばかりの、現在注目度の高い工区だ。中川IC~雄信内(おのぶない)ICの延長20.7kmを結ぶ計画で、途中には誉(ほまれ)IC、下国根府(しもこくねっぷ)ICの設置が予定されている。下国根府ICは、問寒別地区へのアクセス拠点となる見込みだ。

この区間は、交通事故が多く線形が悪い現道国道40号を補完するだけでなく、天塩川の氾濫原を避けるルートを採用することで、洪水や地吹雪による交通障害リスクの低減を図る。宗谷地方の物流や地域交通を支える、強靭な輸送ネットワークの構築が主な目的となっている。

2025年12月には計画段階評価が実施され、概略ルート・構造が決定。その直後に新規事業化へ進み、異例ともいえるスピード感で事業化が実現した。

●天塩~幌延【未事業化】
天塩町から幌延(ほろのべ)町市街地付近までを結ぶ延長約13kmの区間。広大な平野部を通過するルートで、現道国道40号における災害リスクが比較的小さいとされていることから、現時点では具体的な事業化や計画段階評価には至っていない。

●幌富バイパス・豊富バイパス【開通済み】
2010年までに全長26.9kmが開通した区間で、比較的早い時期から供用されている。幌延町から豊富町を経由し、兜沼付近までを最短距離で結んでいる。残る未整備区間は稚内市街周辺のみで、終点側まであと約20kmという位置まで到達している。

豊富北ICは、現在「日本最北端のIC」となっている。

また、幌富バイパスの開通直後となる2010年夏には大雨災害が発生し、国道40号が3日間にわたって寸断された。しかし、開通したばかりのバイパスが代替ルートとして機能し、物流や地域交通を支える重要な役割を果たした。

●豊富北IC~稚内【未事業化】
日本最北端の都市・稚内市街地まで残る約20kmの区間だが、現時点では計画段階評価など具体的な動きは見られていない。

現道国道40号は、広い盛土構造で比較的走行しやすく、一部には簡易的な中央分離帯も整備されている。このため、「広域交通軸の強化」という観点では、他の未整備区間より優先順位が低いとみられる。

一方で、要防災対策箇所や事故危険区間を複数抱えるほか、一部では津波浸水リスクも指摘されており、将来的な整備の必要性は依然として残されている。


このように、これまで“最果ての地”とも呼ばれてきた北海道最北部でも、現代の交通需要に対応した移動体系へのアップデートが進みつつある。かつて物流や人の移動を鉄道が担っていた地域において、いまや高規格道路を軸とした道路交通へのシフトが本格化している。果たして、函館~稚内が高規格道路で一本につながる日はいつになるのか。今後の整備動向にも引き続き注目したい。

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