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公開日:2026.04.21

70スープラって、やっぱり特別だ。黒木美珠が出会った、いまのクルマにはない魅力【試乗レビュー】

トヨタ スープラ(A70)|Toyota  Supra A70(MK3)

自分が生まれる前から存在していたヘリテージカーの魅力って何だろう? レストアで蘇ったトヨタ「スープラ A70型(70スープラ)」に、自動車ライターの黒木美珠さんが試乗し、現代車にはない“個性”と、その楽しみ方を探りました。

トヨタ スープラ(A70)|Toyota  Supra A70(MK3)

文=黒木美珠

写真=成田颯一

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今でも多くのクルマ好きを魅了しつづける70スープラ

トヨタのスープラと聞くと、「70・80・90」と、各世代の記憶を思い浮かべる人も多いでしょう。なかでも最近では、高市早苗さんが所有されていた70スープラが話題となり、その存在を改めて認識した方もいるかもしれません。

今回、Vintage Club by KINTOでお借りした70スープラは、その話題の個体とはボディカラーこそ異なりますが、同じ時代を生きた「スープラ 2.5GTツインターボ エアロトップ」です。

1986年に登場した70スープラは、当時のトヨタが掲げた本格GTカーの思想を体現したモデルとして、人気を集めました。そして、1990年のマイナーチェンジで大きな進化を遂げます。

それまで搭載していた3.0Lエンジン(7M-GTEU)から、2.5Lツインターボ(1JZ-GTE)へと換装。最高出力は280psと据え置きながら、レスポンスや高回転域での伸び、エンジンフィールの改善など、中身は別物レベルに進化しました。直列6気筒ツインターボという響きだけで、胸が高鳴ります。

70スープラの隣に停まっているのはセリカXX! トヨタ製スペシャルティカーの血脈を感じる素敵な並びです。

70スープラの隣に停まっているのはセリカXX! トヨタ製スペシャルティカーの血脈を感じる素敵な並びです。

実際に対面すると、写真や映像で見る以上に独特の存在感を放っていました。重心を低く構え、どこか余裕を感じさせるプロポーションに惚れ惚れします。

この70スープラは、「愛車に長く乗り続けたいという想いに寄り添いたい」という情熱のもと、TOYOTA GAZOO Racing、Vintage Club by KINTO、そしてネッツトヨタ富山 GR Garage 富山新庄の三社の想いが結集して立ち上がったレストア企画によって蘇った、特別な一台だそうです。

複数オーナーを経てVintage Club by KINTOのレンタカーとなったこの個体は、もともと純正パーツの多い個体ではあったものの、レンタカー導入時はホイールやマフラー、車高調、ステアリングなどのカスタムが施された状態でした。

そこで、GRヘリテージパーツを使用し、旧車整備を得意とするGR Garage富山新庄の匠の技によって細部にわたりフルレストア。サスペンションとタイヤを除き、新車当時の輝きを取り戻しました。

そのような努力のおかげで、当時のトヨタが意図した設計思想や走りの味わいを、ほぼ当時のまま体験できるということです。

時代を越えて受け継がれ、丁寧に蘇らせられた一台。そのステアリングを、これから自分が握るなんて……。ワクワクが止まりません。

運転席に座った瞬間から感じる特別感!

近年の電動調整機能は便利ですが、こうしてひとつひとつ手動でドライビングポジションを合わせていくのも、どこか儀式的な魅力があります。

近年の電動調整機能は便利ですが、こうしてひとつひとつ手動でドライビングポジションを合わせていくのも、どこか儀式的な魅力があります。

いよいよ運転席へ。

ドアを開けて腰を下ろした瞬間、「あ、ドライバーが主役だ」と感じました。メーターもスイッチも、全部がこちら側に向いています。包み込むようにカーブしたインパネ。助手席に気を遣うというより、「まずは運転する人が楽しむ」という思想が伝わってきます。

正面にはアナログメーターが並び、その奥に長いノーズが見える。この景色だけで、もうテンションが上がります。

そして細かいところを見ると、これがまた面白いのです。今ではほとんど見かけなくなったコインホルダー。料金所や駐車場でサッと出せるようにするためのものですが、今のクルマではなかなか見ない機構なので逆に新鮮!

さらに、用途がすぐに分からない収納もちらほら。「これ何入れるんだろう?」とつい覗き込んでしまいます。正解は分からないけれど、想像する時間も楽しい。今のクルマは合理的で、すべてが説明可能。でもこの70スープラには、少しだけ“余白”があるように思いました。

アナログの計器類が並ぶメーターパネルに囲まれると、「よし、走るぞ!」と背中を押されるような感覚があります。ドライバーが見やすいよう角度がつけられている点も、ポイントが高いです。

アナログの計器類が並ぶメーターパネルに囲まれると、「よし、走るぞ!」と背中を押されるような感覚があります。ドライバーが見やすいよう角度がつけられている点も、ポイントが高いです。

ラゲッジスペースはスペアタイヤを収納する関係でフロアが凸凹しており、こうした点にも楽しい個性を感じました。

ラゲッジスペースはスペアタイヤを収納する関係でフロアが凸凹しており、こうした点にも楽しい個性を感じました。

それでは、走ってみましょう。

クラッチをつなぎ、ゆっくりとアクセルを踏み込む。やはりこのクルマは加速がいい。特に中高速域の伸びがとても気持ちよく、スーッと前に出ていく感覚があります。高い速度域こそ、このクルマの一番おいしいところなのかなと感じました。

ただ、ひとつだけ気になったことがあります。これは私が乗った時だけかもしれませんが、2速が少し入りづらい感覚がありました。油断していると信号待ちからのスタートで1速から2速へ繋いだつもりが、ギアが入っておらず、ちょっぴり焦ったり……。

そこで、2速へ繋ぐときだけは、シフトレバーに手を添えたまま、きちんと入るのを見守るように操作しました。これもまた、この個体の個性ですね。

現代のクルマに慣れていると、扱いには一癖も二癖も感じますが、その個性を受け入れることで、往年の名車と対話するような楽しさが生まれます。これこそVintage Club by KINTOの最大の魅力ですね。

現代のクルマに慣れていると、扱いには一癖も二癖も感じますが、その個性を受け入れることで、往年の名車と対話するような楽しさが生まれます。これこそVintage Club by KINTOの最大の魅力ですね。

トヨタ スープラ(A70)|Toyota MK3 Supra

トヨタ スープラ(A70)|Toyota Supra A70(MK3)

これがヘリテージカーを運転する醍醐味なんだ!

近頃のクルマは本当によくできています。どの個体に乗っても品質はほぼ均一で、操作感も洗練されています。個体差や癖といったものを探す方が難しいくらいです。それだけ技術が進歩し、品質管理が徹底されているということでしょう。

だからこそ、こうした“ちょっとした個性”が残っているクルマは、今となっては本当に貴重だと思います。

所有しなくても、その時代の個性に触れられる体験は大きな価値があります。ほんの少しの癖を感じた瞬間、不思議と愛着が湧いてくる。その感覚こそが、ヘリテージカーを運転する醍醐味といえるでしょう。

この70スープラは、2026年3月末までVintage Club by KINTOでレンタル可能でした。現在は次の企画を検討中とのこと。今回は東京都内でお借りできましたが、次はどこで体験できるのか、今後のアナウンスに期待しましょう!

トヨタ スープラ(A70)|Toyota Supra A70(MK3)

トヨタ スープラ(A70)|Toyota Supra A70(MK3)

SPECIFICATIONS
トヨタ スープラ A70|Toyota Supra A70
ボディサイズ:全長4620×全幅1745×全高1300mm
ホイールベース:2595mm
車両重量:1580kg
エンジン:2491cc 直列6気筒ツインターボ
最高出力:280ps(206kW)/6200rpm
最大トルク:362.8Nm(37.0kg-m)/4800rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:FR

INFORMATION
Vintage club by KINTO
https://rent-a-car.jp/reserve/meishin/stations/24000/cars/7467

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