霧のせいで何も見えない! 突然の濃霧、運転時に気を付けることは?
気温が低く湿度が高い場所でクルマを運転していると、走行中に突然、霧が発生することがあります。視界が悪く、時にはほとんど前が見えなくなることまで! さて、霧の中で運転するには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
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霧が発生する条件は? その正体は水の粒!
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気温が低く湿度が高い環境では霧が発生しやすい。
記事の画像ギャラリーを見る霧は地表近くの空気中に広がって、煙がかかっているように見えますが、その正体は水の粒です。空気中に浮遊する微小な水滴により構成されています。
気象庁によると、霧の定義は浮遊水滴による水平視程(水平方向に見通せる距離)が1km未満の状態です。霧がさらに濃くなると濃霧と呼び、こちらの定義は水平視程が陸上で100m以下、海上で500m以下の場合です。
霧が発生する気候的な条件は、気温が低いことと湿度が高いこと。地形的に発生しやすいのは、標高が高く空気が冷やされる山間部、空気中の水分量が多い海・湖・川の近くなどです。また、山間の盆地は風が弱いため、一度霧が発生すると、それが留まりやすくなっています。
発生しやすい時間帯は夜から朝ですが、これは日中の日差しで温められた地面から熱が放射され、夜になると冷える「放射冷却」により、地表近くの水蒸気が冷えて水滴になることが1つの要因です。
季節ごとにも発生の傾向は異なり、内陸部では秋が多く、北部や高地では夏にもっとも多く発生します。なお、古語では同じ現象のことを春は「霞(かすみ)」、秋は「霧」と呼んで区別していましたが、現在では霞は気象用語としては用いられません。
運転中に霧が発生したら? ヘッドライトはどうする?
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霧が濃いときにはフォグランプを使うといい。
霧が運転中に発生した場合、視界が遮られ運転を継続するのが困難になることがあります。そのような場合は、何に気をつけて運転するべきなのでしょうか。
とある自動車教習所の教習指導員に話を聞いてみました。
教習指導員「まず第一に行うのはスピードを落とすことで、これは一般道でも高速道路でも変わりません。特に高速道路では速度違反を承知で運転する人も見られますが、霧が発生した状況での高速走行はあり得ません。また、霧が発生しやすい地形は山間部など路面が悪いところも多いですが、この対応は路面の状態にかかわらず有効です」
霧で視界が遮られた状態で高速走行すると衝突などの恐れがあるため、スピードを落とすのは当然のことと言えるでしょう。また、進行方向に目印となるものを見つければ、より安全に運転することができます。
また、霧の発生時には視界が悪くなるため、周囲を正しく照らさなければ視認することができません。ヘッドライトはどのように使えばよいのでしょうか。
教習指導員「ヘッドライトは通常時にはハイビームを用います。しかし、霧が発生した場合は高い位置で光が乱反射すると、前方のクルマや対向車を視認するのも困難になります。そのため、霧の場合はロービームを用います。特に冬などは路面の雪に足を取られることもしばしばあります。そのためロービームでクルマの付近を照らしながら慎重に運転しなければいけません。フォグランプを装備したクルマであれば、それを点灯させて補助した方がいいでしょう」
同乗者は運転手をサポートしよう!
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霧が発生しているときには同乗者がサポートすることも大切だ。
霧の発生時、運転手以外の人もクルマに同乗している場合、同乗者はただ運転手に任せるだけというわけにはいきません。運転手の視界にも限界があるため、同乗者は周囲の障害物などを確認して運転手と連携することが必要です。一方で同乗者が安全運転の妨げになるのはもってのほかです。
教習指導員「濃霧の中での運転などの緊急事態では、運転手により一層の集中力が求められます。必要のない過度な会話で集中力を削がないように注意しましょう。また車内で流れる音楽には緊張を和らげる効果もありますが、状況に合わない音楽や音量で運転に支障が出ないよう控えめにするべきでしょう」
こういったことに注意した上で、一旦は、本来の目的地ではなく駐車場などの安全な場所へ移動するのも良策です。視界が悪い状態で無理に走行して、交通事故を引き起こしては本末転倒。安全な場所に停車したら、ラジオやインターネットなどで情報を収集しながら霧が晴れるのを待てば、安全に対処することができます。ただ、一般道であっても道路上での停車は、追突される恐れがあるので絶対にやめましょう。
濃い霧がかかりそうな日には、運転を控えることも選択肢に入れておきたいですが、突然、霧に遭遇してしまうこともあります。上記のような対処方法を頭に入れ、慌てず慎重な運転を心がけ、安全第一で運転してください。
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