広島~米子を最短で結ぶ! 約90kmの「江府三次道路」が整備中。長大トンネル貫通、峠越え道路はどこまで完成した?【いま気になる道路計画】 | KURU KURA(くるくら)

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公開日:2026.11.07

広島~米子を最短で結ぶ! 約90kmの「江府三次道路」が整備中。長大トンネル貫通、峠越え道路はどこまで完成した?【いま気になる道路計画】

鍵掛峠道路の第5橋付近の工事状況を示す航空写真

鳥取県と広島県を結ぶ、延長約90kmの高規格道路「江府三次(こうふみよし)道路」。県境の鍵掛峠道路ではトンネルが貫通するなど、開通に向けた工事が進行中だ。同道路の概要や開通効果、進捗状況を見ていこう。

鍵掛峠道路の第5橋付近の工事状況を示す航空写真

文=藤井宏治

画像=国交省、鳥取県

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鳥取県~広島県を結ぶ「江府三次道路」とは?

江府三次道路における鍵掛峠道路の位置を示す広域図

江府三次道路における鍵掛峠道路の位置を示す広域図

江府三次道路は、鳥取県日野郡江府町と広島県三次市を結ぶ、延長約90kmの高規格道路だ。1994年12月に地域高規格道路の計画路線に指定され、区間ごとに整備が進められている。

鳥取県西部と広島県備北地域を斜めに結ぶルートで、米子自動車道や中国自動車道と連携し、両地域間のアクセス向上を目指す。沿線から高速道路へのアクセス改善に加え、国道183号の市街地に集中する交通の分散も期待されている。

計画延長約90kmのうち、開通済みの区間は「生山(しょうやま)道路」と「高(たか)道路」の計約7.6kmだ。生山道路は日野町福長から日南町霞までの4.6kmで、2005年7月に開通した2車線の自動車専用道路。広島県庄原市内の高道路は約3kmで、国道183号のバイパスとして2008年3月に開通している。

現在、整備が進められている主な区間は、米子自動車道の江府ICに近い「江府道路」と、鳥取・広島県境を通る「鍵掛峠道路」の2区間で、延長は計約16.1kmだ。

江府道路は、江府町佐川から武庫までの約4.1kmをトンネルや橋で結び、日野川に沿って蛇行する国道181号のバイパスとして整備される。一方、鍵掛峠道路は庄原市西城町高尾から日南町新屋までの約12.0kmを結び、急な坂やカーブが続く県境の峠道を避けるルートとなる。いずれも2車線で整備される計画だ。

両区間が完成すると、開通済みの区間と合わせて整備延長は約24kmとなる。ただし、各区間は離れた場所にあり、約24kmが連続してつながるわけではない。江府町から三次市までを結ぶ全線の完成には、調査段階などにある残りの区間の整備も必要となる。

積雪時に課題のある峠区間の移動はどう変わる?

国道183号で発生した法面崩壊と通行止めの写真

国道183号で発生した法面崩壊と通行止めの写真

沿線で暮らす人にとって、県境を越える道路は地域の生活圏を支える重要な交通手段でもある。

鍵掛峠道路の沿線には大型商業施設がなく、住民の主な買い物先は米子市や三次市周辺だ。また、庄原市西城町には小児科や産科などがないため、通院の際も地域外へ足を延ばす必要がある。

鍵掛峠道路の整備によって、西城町三坂地区から日南病院までの所要時間は、46分から43分へ短縮されると試算されている。短縮幅は3分だが、急な坂やカーブが続く区間を避けられることも大きな効果だ。並行する国道183号には半径150m未満の急カーブが74カ所あり、勾配5%を超える区間も合計約5kmに及ぶ。

とくに移動の負担が大きくなるのが、雪の季節だ。国道183号では、積雪によるスリップ事故や大型車の立ち往生が発生し、路線バスやスクールバスの運行にも影響している。周辺には冬季閉鎖となる県道もあり、国道が通行できなくなると、移動手段が限られてしまう。

鍵掛峠道路では、除雪した雪をためるスペースを確保するなど、冬季の通行にも配慮した整備が進められている。こうした道路整備は、買い物や通院、通勤・通学に使う道路の確保に加え、救急活動への効果も期待される。冬季に消防署の西城出張所から三坂地区まで救急車が到着する所要時間は、約30分から約25分へ、約5分短縮されるとの試算だ。

日常の移動時間を短縮するだけでなく、雪や災害によって通院や通学、仕事への行き来が困難になる状況を減らすことも、鍵掛峠道路の整備が目指す重要な役割となっている。

トンネル貫通! 鍵掛峠道路では湧き水対策が続く

貫通した鍵掛峠トンネルの工事状況

貫通した鍵掛峠トンネルの工事状況

県境に位置する鍵掛峠道路では、鍵掛峠トンネルがすでに貫通している。今後は開通に向けて、トンネル内部の設備工事や道路の造成、橋梁工事などが進められる。

2026年10月の再評価資料によると、2025年度末時点の事業進捗率は約66%で、2026年度末には約70%となる見込みだ。ただし、この数値は事業費に対する進捗率であり、道路延長や工事全体の完成割合を示すものではない。

工事の課題となっているのが、トンネル内の湧き水だ。掘削中に発生した大量の湧き水は、トンネル貫通後も続いており、通常の排水設備では対応が難しい状況にある。2025年12月には有識者を交えて対策を検討し、排水機能を強化する工事などを進めている。

こうした湧き水対策に加え、道路脇の斜面の補強や、掘削した土を盛り土に利用するための改良、工事の長期化に伴う水処理施設の維持費、労務費・物価の上昇などにより、総事業費は前回評価時の約523億円から約637億円に増額された。なお、2026年10月時点で具体的な開通時期は示されていない。

一方、江府道路では、延長約2.6kmの久連トンネルや宮ノ谷トンネル、橋梁などを整備し、江府町佐川と武庫を結ぶ。鳥取県の公式ページで公表されている最新の進捗率は、2024年7月時点で約65%となっている。

地域間の物流から沿線住民の日々の移動まで、幅広い役割を担う江府三次道路。鍵掛峠道路はトンネル貫通という節目を迎えた一方、湧き水対策を含む工事が続いている。県境を越える新たな交通軸として、今後の工事の進展と開通時期の公表に期待したい。

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