名古屋港~北陸を南北に結ぶ!「一宮西港道路」約28kmはどこを通る? 新たな南北軸で西尾張中央道の渋滞緩和へ【いま気になる道路計画】 | KURU KURA(くるくら)

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公開日:2026.08.12

名古屋港~北陸を南北に結ぶ!「一宮西港道路」約28kmはどこを通る? 新たな南北軸で西尾張中央道の渋滞緩和へ【いま気になる道路計画】

名古屋港の空撮 (c) zheng qiang – stock.adobe.com

名古屋港と北陸方面を結ぶ高規格道路「一宮西港道路」の計画が進められている。東海北陸自動車道と伊勢湾岸自動車道を接続し、物流や防災を支える新たな南北軸となる同道路。その計画の概要や整備効果、現在の進捗を見ていこう。

名古屋港の空撮 (c) zheng qiang – stock.adobe.com

文=藤井宏治

画像=国交省、愛知県

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「一宮西港道路」で東海北陸道と伊勢湾岸道が接続!

一宮西港道路の広域図

一宮西港道路の広域図

「一宮西港道路」は、愛知県一宮市の東海北陸自動車道「一宮JCT」を起点とし、弥富市の伊勢湾岸自動車道を終点とする高規格道路だ。延長は約28kmで、設計速度は時速100km、4車線、標準的な幅員は23.5mの高架構造で計画されている。

東海北陸自動車道を南へ延伸して伊勢湾岸自動車道と接続することで、南北方向の高速道路が不足する名古屋都市圏西部に新たな南北軸を形成する。また、名神高速道路や東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道と一体となって交通ネットワークを強化し、中部圏全体の発展を支える道路として期待されている。

当初想定されていた「一宮西港道路」の3つのルート案。

当初想定されていた「一宮西港道路」の3つのルート案。

一宮西港道路では、これまで3つのルート帯案が検討されてきた。2024年3月に示された案は、西尾張中央道を活用する「東側ルート」、その中間を通る「中央ルート」、国道155号を活用する「西側ルート」の3案。地域への影響や交通機能などを比較した結果、2025年3月に「中央ルート」を含むルート帯案とインターチェンジ配置案が決定された。現在は、このルート帯の範囲内で具体的な道路の位置や構造を検討しながら、都市計画決定に向けた手続きが進められている。

物流・防災など「一宮西港道路」による多数のメリット

一宮西港道路の整備効果

一宮西港道路の整備効果

一宮西港道路の大きな目的は、名古屋港方面と岐阜県・北陸方面を結ぶ南北方向の高規格道路ネットワークを補完することだ。

「名古屋都市計画区域マスタープラン」と「尾張都市計画区域マスタープラン」では、名古屋港へのアクセス向上や産業・防災機能の強化、歴史・文化資源などを生かした土地利用、地域間交流を支える道路として位置付けられている。

現在、一宮JCTより南側には高規格道路が連続していない区間があり、名古屋港と北陸地域を行き来する交通の一部が一般道の「西尾張中央道」などを利用している。

国土交通省の資料によると、西尾張中央道の一部区間では大型車混入率が29.4%や34.5%に達している。一方、並行する国道155号は18%、国道22号は13%、国道41号は10%であり、西尾張中央道に大型車が集中している状況が分かる。また、名古屋港と一宮JCTの間には主要渋滞箇所も点在しており、大型車を含む交通が一般道へ流れ込んでいることが、円滑な移動を妨げる要因となっている。

このような状況もあり、西尾張中央道では混雑時と非混雑時で所要時間に約20分の差が生じている。物流では輸送の定時性も重要であり、所要時間のばらつきは輸送計画や車両運用にも影響する。一宮西港道路の整備によって、高規格道路の南北軸が形成されれば、名古屋港と東海北陸道方面を結ぶ物流の速達性や定時性の向上が見込まれる。

防災面でも、高規格道路による南北方向のネットワーク強化は重要だ。国交省によると、津波浸水時に機能を確保できる緊急輸送道路の延長割合は、名古屋地域が77%、知多地域が84%、西三河地域が95%、東三河地域が94%であるのに対し、海部地域は43%にとどまる。西尾張・海部地域では、津波浸水時に機能を確保できる道路が限られており、災害時の道路ネットワーク強化が課題となっているのだ。一宮西港道路には、避難や救援物資の輸送を支える道路としての役割も期待される。

また、沿線地域では、まちづくりを支える道路基盤の整備も課題となっている。西尾張・海部地域で土地区画整理が行われた面積の割合は4.7%で、愛知県平均の10.0%を下回る。さらに、人口1万人当たりの道路延長も7.6kmと、県平均の8.9kmを下回っている。

こうした地域では、幹線道路へのアクセスや周辺道路の整備状況が、企業立地や新たな土地利用を進めるうえで課題となる。一宮西港道路の整備によって、地域間の移動や物流を円滑にすることで、インターチェンジ周辺のまちづくりや産業立地も進みやすくなる。

方法書縦覧と意見募集を経て、都市計画決定へ

一宮西港道路のルート帯

一宮西港道路のルート帯

では、一宮西港道路の計画はどこまで進んでいるのだろうか。

愛知県は2026年7月7日から8月7日まで、一宮西港道路の都市計画案を作成するため、基本方針案と環境影響評価方法書の縦覧を実施した。なお、基本方針案と方法書に対する意見書は8月21日まで受け付けている。また、7月15日から27日にかけては、沿線8市町村で住民説明会も順次開催された。

環境影響評価方法書は、一宮西港道路の整備による大気質、騒音、振動、動植物、景観などへの影響について、今後どの範囲をどのような方法で調査・予測・評価するかを示す文書だ。環境への影響をまとめた最終的な評価結果ではなく、本格的な現地調査に先立って調査計画を示すものだ。

今後は、住民や関係自治体などから寄せられた意見を踏まえて調査項目や手法を検討し、現地調査や影響予測を進める。その結果は環境影響評価準備書としてまとめられ、準備書の縦覧などを経て、都市計画案の公告・縦覧や愛知県都市計画審議会での審議へ進む。なお、都市計画と環境影響評価の手続きは並行して進められる。

現時点で示されているのは、概略ルート帯、標準的な道路構造、インターチェンジのおおよその検討位置までで、具体的な道路区域や詳細な構造は決まっていない。都市計画決定の時期や道路事業としての事業化、本体工事の着手、開通時期も未定だ。

このように一宮西港道路は、名古屋港と岐阜・北陸方面を結ぶ新たな南北軸として、物流や防災、沿線のまちづくりへの効果が期待されている。現時点では大枠が示された段階だが、今後どのような道路として具体化されていくのか、引き続き注目していきたい。

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