神戸~関空を結ぶ新ルート!「第二大阪湾岸道路」計画はどうなった? 「湾岸線バイパス」実現へ追い風となる2つのプロジェクト【いま気になる道路計画】
大阪~神戸を結ぶ臨海ルート「阪神高速湾岸線」には、そのさらに海側を通るバイパスとして「第二大阪湾岸道路」構想がある。どのような道路なのか、整備効果や現在の動き、計画の背景を詳しく見ていこう。
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阪神高速湾岸線を「海側」にもう1本建設する構想
「第二大阪湾岸道路」は構想路線として丸印で記されている
大阪府南部と大阪・神戸方面を結ぶ大動脈が「阪神高速湾岸線」だ。
内陸部を通る近畿自動車道に対し、湾岸線は大阪都心へ直結し、大阪湾沿いを結ぶ最短ルートとして機能している。1日当たりの交通量は9万台を超え、阪神高速の中でもトップクラスを誇る。
一方で、その重要性の高さゆえに、渋滞や事故による通行止めが発生すると交通網全体への影響は極めて大きい。今後は大規模リニューアル工事や修繕工事も予定されており、通行止めや車線規制による影響が懸念されている。
こうした課題を解消する代替ルートとして、古くから構想されているのが「第二大阪湾岸道路」だ。
「第二大阪湾岸道路」の構想図
第二大阪湾岸道路は、関西国際空港から阪南港、堺泉北港、大阪港を経て、神戸・ポートアイランド方面までを臨海部で結ぶ構想だ。
現在の阪神高速4号湾岸線・5号湾岸線よりも海側を通り、湾岸線の代替ルートとしての役割に加え、空港や港湾施設への物流ネットワーク強化も期待されている。
国が2021年に策定した「新広域道路交通計画」では構想路線として位置づけられ、兵庫県の「ひょうご基幹道路のあり方」(2018年)でも、和歌山~淡路島を結ぶ構想とあわせて「大阪湾環状道路」の一部として示されている。
そのルーツは古く、1969年に閣議決定された「新全国総合開発計画」では、すでに「大阪湾環状道路の建設を図る」と明記されていた。また、1965年から策定が続く「近畿圏基本整備計画」でも、第4次計画(1988年)まで「第二大阪湾岸道路の調査を推進する」と位置づけられ、1995年の阪神・淡路大震災後には復興構想の一環としても検討されている。
しかし、その後は状況が変化する。2000年策定の「第5次近畿圏基本整備計画」では第二大阪湾岸道路への言及がなくなり、2016年開始の第6次計画でも記載は復活しなかった。近年は国会や大阪府議会、兵庫県議会でも目立った議論は見られず、構想は残るものの、具体化に向けた動きは停滞しており、幻の構想となりつつあるのが現状だ。
「第二大阪湾岸道路」に立ちはだかる3つのプロジェクト
現在整備が進む「大阪湾岸道路西伸部」
第二大阪湾岸道路は近年大きな動きが見られないものの、構想自体が廃止されたわけではない。実際には、それに先行する関連事業の整備が優先されている段階といえる。
まずは、先行して整備が進む主な道路計画を見てみよう。
●大阪湾岸道路西伸部
現在の阪神高速5号湾岸線は六甲アイランドが終点で、神戸市中心部や明石方面へ向かう交通は3号神戸線に集中し、慢性的な渋滞が発生している。
このため、六甲アイランドから神戸市街をバイパスして湊川JCT方面へ結ぶ「大阪湾岸道路西伸部」が2016年に事業化された。現在は六甲アイランド側と長田側で工事が進められているほか、「六甲アイランド~ポートアイランド」などの海上区間では長大橋の設計・検討が進行中だ。
さらに将来は、西へ延伸して「第二神明道路 名谷JCT」まで結ぶ第2期区間も計画されている。
●名神湾岸連絡線
名神高速道路は現在、西宮IC付近で阪神高速3号神戸線に接続している。これをさらに南へ延ばし、5号湾岸線へ直結するのが「名神湾岸連絡線」だ。
2021年に事業化された延長約2kmの計画だが、名神高速から湾岸線へ交通を分散させることで、神戸市内の渋滞緩和が期待されている。
●淀川左岸線
京都・奈良方面から湾岸線へ向かう交通は、現在、大阪都心部の阪神高速を経由する必要があり、都心交通との混在による渋滞が課題となっている。
この解消を目指すのが「淀川左岸線」だ。第二京阪道路・門真JCTから西へ延び、大阪駅北側を経て北港JCTで湾岸線へ直結する計画となっている。
北港JCT~海老江JCTはすでに開通済みで、海老江JCT~新御堂筋は工事が大詰めを迎えている。一方、新御堂筋~門真JCT間は大深度地下を通るシールドトンネルで整備されるため、完成までにはなお時間を要する見込みだ。
実現の追い風になる? 2つの巨大プロジェクト
東京湾で具体化が進む「新湾岸道路」
一方で、第二大阪湾岸道路の具体化に向けては、近年2つの追い風も生まれている。
ひとつは、ルート上に位置する人工島「夢洲」の開発が本格化したことだ。2025年には大阪・関西万博が開催され、夢洲は実質的な「街びらき」を迎えた。今後は統合型リゾート(大阪IR)の開業も予定されており、国際的な集客拠点へと発展していく。
第二大阪湾岸道路が実現すれば、関西国際空港や神戸空港から夢洲まで信号のない高規格道路でアクセスできるようになり、広域交通ネットワークの強化が期待される。さらに、西隣で進む「大阪港新島地区埋立事業」が進展すれば、その重要性は一層高まる可能性がある。
もうひとつの追い風が、東京湾で進む「第二東京湾岸道路」構想の具体化だ。長年構想段階にとどまっていたが、2023年6月に検討準備会が発足し、「新湾岸道路」の名称で計画が本格始動。現在は事業化に向けた計画段階評価が進められており、概略ルートや構造の検討が進行している。
新湾岸道路は、渋滞が慢性化する首都高速湾岸線や東関東自動車道を補完する海側の新ルートとして計画されている。外環道とも接続し、東京湾沿いの物流・広域交通を強化するという考え方は、第二大阪湾岸道路と共通する部分が多い。
こうした社会情勢や他地域での動向を踏まえると、第二大阪湾岸道路も将来的に調査や計画検討が再び本格化する可能性がある。ただし、現時点では具体的な事業化の動きは確認されておらず、今後の政策や交通需要の変化を注視していく必要がある。
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