八戸~鹿角を最短直結!「八戸鹿角道路」構想とは? 悲願の「世紀越えトンネル」は実現するのか【いま気になる道路計画】
青森県八戸市と秋田県鹿角(かづの)市をトンネルでショートカットする「八戸鹿角圏域間道路」の構想が検討されている。近くて遠かった鹿角・大館・能代方面と太平洋側を結び、アクセス性の向上が期待される。この構想の概要や整備効果、現在の検討状況を見ていこう。
この記事をシェア
東北の日本海側と太平洋側の最短ルート
「(仮称)八戸鹿角圏域間」は、新広域道路交通計画に構想路線としてリストアップされている
東北北部では、西の大館エリアと東の八戸エリアがそれぞれ独立した圏域を形成している。その間には急峻な山地が広がり、両地域を結ぶ道路は峠越えを余儀なくされるなど、アクセス性が課題となっている。
こうした状況を改善するために構想されているのが、「(仮称)八戸鹿角圏域間道路」だ。2021年に国が策定した「新広域道路交通計画」で「構想路線」に位置付けられ、具体化を目指している。
構想では、八戸市から三戸町、田子町(たっこまち)を経て鹿角市へ至るルートを想定。十和田IC付近から小坂IC付近で東北自動車道に接続し、さらに北側の小坂JCTを介して秋田自動車道とも連絡する計画となっている。
ルートは国道104号をベースとしており、厳しい峠越え区間を改良することで、東西を結ぶ幹線道路としての機能強化が期待されている。なお、現時点では高規格道路として整備するのか、一般広域道路として整備するのかは決まっていない。
峠ルートを14km短縮!「世紀越えトンネル」計画とは
秋田県鹿角市と青森県田子町を短絡する「世紀越えトンネル」計画
八戸~鹿角を結ぶ現在の最速ルートは、八戸自動車道 一戸IC付近まで南下し、東北道を利用する総延長約110kmの経路だ。八戸鹿角道路が実現すれば約70~80kmまで短縮されると見込まれている。
その中核となるのが、田子町~鹿角市の峠越えを解消する新トンネル「世紀越えトンネル」構想だ。この計画は、平成初期から検討されてきた県境バイパス「大湯田子線」構想を発展させたものとなっている。
田子町は八戸市から西へ約40km、三戸町からさらに約10km内陸に入った場所に位置する。田子町から先の国道104号は本格的な山岳区間となっており、連続するヘアピンカーブを登って秋田県との県境を越える険しいルートである。
世紀越えトンネルは、この区間を直線的に結ぶ計画だ。現在は青森・秋田の両県側から市町道が延びているものの、県境部分で途切れており、これらを改良したうえで、約1.6kmのトンネルで接続する構想となっている。
現在の県境ルートは約30kmに及ぶが、トンネル経由では約16kmとなり、所要時間は約15分短縮される見込みだ。急カーブや急勾配も大幅に解消され、青森・秋田両県を結ぶアクセスの向上が期待されている。
整備効果は物流や防災面にも及ぶ。秋田県側では、八戸港から鹿角・大館・能代方面へ運ばれる畜産飼料(約340トン/日)の輸送効率向上が見込まれるほか、小坂地区の窯業製品の輸送にも効果が見込まれる。一方、青森県側では、異常気象による通行止めの影響を受けにくいルートを確保できることから、田子町の救急医療を支える道路ネットワークの強化にもつながる。
平成初期からの悲願。国レベルの検討の段階へ
秋田県鹿角市と青森県田子町を短絡する「世紀越えトンネル」計画の要望活動(八戸能代間地域連携協議会のPR動画より)
「世紀越えトンネル」構想は、1990年に田子町が提案したことに始まる。1994年には鹿角市との合同調査が実施され、1997年には鹿角市側でトンネル坑口付近までの測量設計や用地測量が進められた。
しかし、その後はいったん計画が白紙となり、2003年に改めてルート選定が行われたものの、具体的な進展は見られなくなった。一方で、1999年には「八戸能代間北東北横断道路整備促進期成同盟会」が設立され、国や県への要望活動を継続。さらに2014年には「世紀越えトンネル建設加速化市町議会協議会」が発足し、現在も実現に向けた活動が続けられている。
構想が再び動き始めたのは2018年だ。青森・秋田の両県で調査費が計上され、物流面を中心とした調査が実施された。
そして大きな転機となったのが、2021年策定の「新広域道路交通計画」で構想路線に位置付けられたことだ。さらに2023年には、国土交通省東北地方整備局も参加する「青森秋田間横断構想勉強会」が設立され、国を交えた検討が進められている。歩みは決して速くはないものの、構想は着実に前進していると言えるだろう。
なお、「世紀越え」という名称は峠の名前ではない。「20世紀には実現できなかった構想を、21世紀こそ実現させたい」という地域の思いを込めた愛称であり、現在でも議会などの公式な場で用いられている。
21世紀も、気付けばすでに4分の1が過ぎた。長年構想段階にとどまる八戸鹿角道路は、今後、正式なルートを検討する「計画段階評価」へ進むことができるのか。引き続き動向に注目したい。
記事の画像ギャラリーを見る




