2020年06月17日 15:25 掲載

交通安全・防災 子どもの車内置き去りは危険。夏の車内は短時間で熱中症の可能性あり

真夏の炎天下の中、子どもだけが車内に残されることで熱中症により死亡してしまう事故が後を絶たない。2018年にJAFが発表したデータでも、8月の1か月で「子どもを車内に残したままキー閉じ込み」の救援要請が200件以上もあったことが明らかとなっている。真夏の車内に子どもだけを残して離れることの危険性について、改めて考えてみたい。

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くるくら編集部 会田 香菜子

わずか10分でも命の危険!夏の車内は最高57℃まで上昇

JAFによると、「子どもを車内に残したままキー閉じ込み」による救援要請は8月だけで全国で246件もあった。(2018年調べ)

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 子ども、特に乳幼児や幼児は体温調節機能が未発達なため、大人より熱中症にかかりやすいといわれている。そのため、わずかな時間でも高温になる夏の車内は、熱中症のリスクが高く非常に危険だ。JAFが発表したデータによると、8月の1か月で「子どもを車内に残したままキー閉じ込み」による救援要請は全国で246件もあったという。中には緊急性が高いとしてドアガラスを割ったケースも8件あった。疲れているだろうから、眠っているから、など車内に残す理由はさまざまかもしれない。しかし、「少しの間なら大丈夫」という考えは子どもを危険な目にさらす可能性があることを自覚しなければならない。

JAFの実証実験によると、真夏の車内最高温度は57℃にまで達することが明らかとなった。

出典:JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」

 では、実際にどのように室温は上昇していくのか、JAFが実施した実証実験の結果を見てみよう。なおテストは、2012年8月22日と23日の正午からら開始。当日の天気は晴れ、気温は35度で、車内温度は以下の車両条件ごとに測定した。

【車両条件】
①対策無し(車両外装色:黒)
②対策無し(車両外装色:白)
③サンシェード装着
④窓開け(3cm
⑤エアコン作動
上記すべての車両温度を、エアコンで25℃に揃えた上で実験開始。

①②は、窓開けやサンシェード(日よけ)など、温度上昇対策を全く行っていない。③はフロントガラスにのみサンシェードを装着、④は前後席それぞれの窓ガラスを3cm開けた状態だ。⑤は、オートエアコンを25℃に設定し運転させている。

 まず、対策無しの白車両(②)における結果では、エンジン停止後わずか5分で25.5℃から35.4℃と約10℃上昇。さらに10分後には、37.8℃となった。熱中症重症化リスクが高くなる温度は一般的に30℃といわれており、この温度はそれを大きく超えていることになる。そして、この時ダッシュボードは55℃以上にまで上昇している。この温度は、60℃以下の温度に長時間触れることで引き起こされる、低温火傷の危険性もある温度である。最終的に、車内最高温度は52℃、ダッシュボードは74℃と驚くべき高温にまで達した。
 同じ白色の車両でもサンシェード装着(③)をした場合だと、ダッシュボードにおける最高温度が20℃以上も下回った。しかし一方で、車内温度は50℃まで上がり大きな差は見られなかった。窓を開けた場合(④)には、車内温度はさらに低く抑えられ45℃であった。とはいえ、ダッシュボードの温度は対策なし時とほとんど変わらない結果だ。
 そして対策なしの黒い車両(①)だと、同条件の白車両に比べて、車内、ダッシュボードともに最高温度が5℃高くなった。これは、黒が光を吸収しやすいという性質を持つためといえよう。このように、条件によって多少の差はあるが、いずれの場合も炎天下における車内温度は、人体にとって十分に注意が必要な温度まで上がることが分かった。

熱中症指数もわずか5分で危険値に

熱中症指数は実験開始わずか15分で最も危険なレベルにまで達した。

出典:JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」

 実験では、熱中症の危険度を判断する数値「熱中症指数(WBGT)」も測定された。この熱中症指数は「暑さ指数」とも呼ばれており、熱中症予防を目的とした指標で、人体の熱収支(※)に影響の大きい気温、湿度、日射、輻射の3つを取り入れた指数のことである。熱中症の原因としては、気温の高さが原因と考えがちだが、実は湿度と日射、輻射も原因となる。例えば、気温がそれほど高くない場合でも、高湿度であれば熱中症になる可能性は大いにあるということだ。
 熱中症指数において分けられる温度基準は5段階で、「ほぼ安全」~「危険」まで。実験では、開始から5分を超えたあたりで3段階目にあたる「警戒」となり、15分後には「危険」まで達してしまった。大人よりも熱中症にかかりやすい子どもが、この状況下に置かれることがいかに危険であるかは想像に難くない。

※熱エネルギーの出入りのこと。本題においては、人体と外気との熱のやりとり。

 もうひとつ熱中症リスクにおいて、注意してほしいことがある。JAFが別途実施した実験によると、日陰に駐車したとしても日なたに停めたクルマとの車内温度の差は約7度に過ぎないことも明らかになっているのだ。
 また、エアコンをつけている場合でも、何らかのトラブルによりエアコンが止まってしまうこともあるだろう。絶対に安全だと言い切れる状況がない以上、痛ましい事故を防ぐには、子どもだけを残してクルマを離れないことが重要である。

暑さ指数チェックで熱中症予防をしよう

環境省「熱中症予防情報サイト」の暑さ指数実況と予測

環境省「熱中症予防情報サイト」から、「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」 出典:環境省

 前述の「熱中症指数」は、環境省の「熱中症予防情報サイト」で予測を確認することができる。特に今年は、エアコン使用とこまめな換気をバランスよく行い、コロナ対策と熱中症対策に備えるよう呼びかけられている。例年とは異なる状況だからこそ、熱中症対策を今まで以上に心がけていきたい。

【JAF実証実験の概要】
実施日:2012年8月22日、23日
場所:彩湖・道満グリーンパーク駐車場(埼玉県戸田市)
天候:晴れ
気温:35
内容:午後12時から4時間。温度計測器を使用し、以下の条件における車両5台の車内温度測定。

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