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最終更新日:2019.03.28 公開日:2019.03.28

自動車盗難事故実態調査2018。盗難件数1位はレクサスだった。

警察庁の発表した「犯罪統計資料」によると、2018年の自動車盗難件数は、1959年以来59年ぶりに年間1万件を下回り、8628件となった。減少傾向にある自動車盗難だが、盗難件数が増加した車種もあることが日本損害保険協会の調査によって分かった。

 一般社団法人日本損害保険協会が3月20日に発表した「第20回自動車盗難事故実態調査結果」を紹介しよう。

【実態調査の実施概要】
調査期間:2018年11月1日~30日
調査対象:損害保険会社17社(損保協会非会員会社を含む)
対象事案:全国で発生した車両本体の盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)で、調査期間内に保険金の支払いを行った事案(車両本体の盗難の調査総数は277件、車上ねらいの調査総数は364件)

自動車盗難件数1位はレクサス

※クラウンには、マジェスタ、エステートを含む。ランドクルーザーには、プラドを含む。スカイラインには、GT-Rを含む。マークには、クレスタ、チェイサー、マークX、マークツーを含む。ハイエースには、レジアス、グランビアを含む。レクサスには、レクサス店販売車種全てを含む。

 過去3年間の車名別の盗難状況をまとめた上表を見てみよう。全体としては、2016年の247件より14件減って、233件であった。しかし、車種別にみると順位に変動がみられることが分かる。2018年に車両本体の盗難件数が最も多かったのはレクサス(各モデル合計)で、昨年から約2.6倍の66件。今回で20回目となる同調査において、初めて1位となった。

 2017年まで4年連続で1位だったトヨタ「プリウス」は、41件。昨年の62件から21件減少した。

 また、トヨタ「ランドクルーザー」「ハイエース」「アクア」など、5位までの顔ぶれに変化はなく、特定の車種に盗難被害が集中していることがわかる。これは、一般的に、トヨタ車は海外でも人気が高く、高値で売買されることが狙われる要因だと考えられている。また、ハイエースやランドクルーザーなどは、悪路走行性が高く、人や荷物の運搬に適しているので、発展途上国で人気が高いとも言われている。

 また、レクサスRXの盗難が増加した愛知県では「レクサスRXは、組織的な窃盗グループが犯行時の移動手段として使用している例が複数確認されている。走行性能が良く、車窓も割れにくいため、逃走に適している。また、収納スペースが広く、盗んだ金庫などを入れられることも、狙われる理由と考えられる」(愛知県警)という。移動手段に使われているとは驚きである。

自動車盗難件数最多は3年連続で大阪府

自動車盗難の多い地域ワースト5。順位の入れ替わりがあるものの、顔ぶれは変わっていない。

 次に上グラフを見てみよう。2018年に車両本体の盗難件数が最も多かったのは大阪府。3年連続で1位となった。自動車盗難の約3割が大阪府で起こっていることがわかる。続いて2位は、茨城県。3位は、愛知県である。なんと上位3府県の合計で、全体の約7割を占める。

 これらの地域の共通点は、国際的な貿易拠点となる大きな港があること。自動車を狙う犯罪組織は、盗んだ自動車をすぐに船で運びだせる場所が狙い目であると考えているのだろう。大阪、茨城、愛知在住のレクサスのオーナーは要注意である。

盗難発生は深夜~朝に集中!

深夜~朝の時間帯に盗難が発生しているのは、想像通り。しかし、日中にも1割ほど発生しているので、安心できない。

 自動車盗難は、いつどんな場所で行われているのだろう。上グラフを見てみよう。昨年の自動車盗難は、約8割が22時~翌9時までの深夜から朝にかけて起こっていることがわかる。どんな犯罪でも言えることだが、暗がりで見つかりにくいことが、犯行には好都合なようだ。また、多くの人が寝ている時間帯なので、長時間自動車が駐車されていて、狙いやすいのだろう。

※1%未満は、グラフ上数値表記を省略

 次に上グラフを見てみよう。自動車盗難が最も多く発生している場所は、約5割が自宅(屋外)だとわかる。多数の人が出入りする契約駐車場(屋外)の方が、盗難に遭いそうなイメージがあるが、こちらは約3割である。この傾向は例年変わっておらず、自宅の駐車場だからと言って油断は禁物である。

 また、自宅駐車場で自動車が盗まれたと聞くと「施錠していなかったのでは?」と思うものだが、同協会の調査によると、盗難車の96%が施錠していたことがわかっている。

自動車盗難を防ぐためにプラスワンの対策を!

 施錠して自宅に駐車してる自動車が盗まれるとなると、どのように対策をすれば良いのだろう。愛知県警は、以下のようなプラスワンの対策をとるように呼びかけている。

・ナンバープレート盗難防止ネジ
 犯人は、窃盗後にナンバーを付け替えて移動するという。ネジ頭が特殊な形状をしたネジで、ナンバーの取り外しが難しくすることで盗難防止となる。

・車載GPS装置を取り付ける
 車両純正でGPSが搭載されている車種もあるが、犯人は純正GPSを無効にすることもある。犯人に見つかりにくい場所に、GPSを取り付けることで、車両の位置情報を確認し、発見することができる。

・ハンドルロック、タイヤロック
 ハンドルやタイヤを物理的にロックすることで盗難防止になる。また、視覚的なアピールにもなるので犯人が嫌がるので抑止効果があるという。
  
・カギの管理をする。
 玄関先や事務所のキーボックスに入れたカギが盗まれ、自動車も盗まれる被害も多く発生しているという。また、スマートキーシステムの電波を悪用した「リレーアタック」という手口で、カギが開けられることもある。電波を減衰する効果のあるブリキやアルミホイル等の容器に入れて、分かりにくい場所で保管する。

 犯人は、あらかじめ狙いを定めて下調べをし、犯行の機会を窺っているという。車両盗難に遭わないために、普段から防犯対策をしておきたい。大きな港に近い都道府県に住み、屋外に駐車している盗難に遭いやすい車種のオーナーの方々は、今すぐにでも上記プラスワンの対策が必要だ。また、狙われる車種は、海外の情勢によって変化しているという。ここに挙げた車種以外のオーナーも十分に注意して欲しい。


 同調査結果を発表した日本損害保険協会とは、損害保険会社の業界団体で、損保の一種である自動車の保険に関する調査・集計も行っている。例えば、自動車に関する保険金請求金額はもちろん、保険金請求金額に基づいて、事故の多い車種や盗難被害の多い車種データも持っている。

 今回の調査結果も、保険金請求のあった事件・事故データに基づいた発表である。これらは、あくまで保険金請求実績に基づくため、保険金の請求されていない事件・事故は含まれないことには注意しておきたい。例えば、車両保険に入っていない車種の盗難や自損事故で対物補償を伴わなかったもの、無保険車の事故などは含まれない。この損保協会の発表する盗難件数は、全盗難件数の一部でしかないので「合計が233件なら大丈夫」などと勘違いしないで欲しい。

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