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最終更新日:2019.01.22 公開日:2019.01.22

スーパーGT対ベルガー会長率いるドイツ・ツーリングカー選手権! 2019年の交流戦はいつ? 共通規則「クラス1とは?」

世界最速のGTレースの双璧として取り上げられることの多いスーパーGTとドイツツーリングカー選手権。両レース共通の新規レギュレーション「クラス1」の最終版が2018年6月に発表された。ここでは、改めてその「クラス1」について解説する。

日産のR35型「GT-R(GT500仕様)」2018年式の1台で、NISMOのワークスマシンの23号車「モチュール オーテック GT-R」。「東京オートサロン2019」の日産ブースにて撮影。

 国内の4輪モータースポーツで最も人気のあるカテゴリー、スーパーGT。そして欧州で同様に人気を誇るドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)。それぞれ日本とドイツを中心に開催されている、市販車ベースのレーシングカーによる国際格式のレースだ(スーパーGTの詳細については別記事『国内開催のモータースポーツ2019年カレンダー第2報。開催情報を徹底収集。ビギナーズ向け解説ページもあります!』に詳報)。スーパーGTの上位のGT500クラスにはトヨタ(レクサス)、日産、ホンダの日本3大メーカーが、DTMにはアウディ(VW)、BMW、メルセデス-AMG(※1)のドイツの大手メーカー・ブランドが参戦し、激しいメーカー対決が毎年繰り広げられている。

※1 メルセデス-AMGは2018シーズンで撤退が発表されている。

DTMに参戦するアウディのマシン。

最速の称号はどちらのレースが手にする?

 両カテゴリーは長い間、「どちらのマシンが速いのか?」を問われ続けてきた。厳密には両レースのマシンのレギュレーションは異なるし、コースも異なる。スーパーGTがやや耐久レース寄りで1レースの走行距離が長く、ドライバーも2人で1チームなのに対し、DTMはスプリントレースでドライバーも1人という違いがある。単純な比較は難しいのだが、世界最速のGTレースの称号をかけて争っているのが両レースなのである。

 歴史的には、かつてはDTMのマシンが世界最速とされてきたが、近年はスーパーGTのマシンも高速化。近年では、富士スピードウェイのメインストレートで最高時速300kmオーバーを記録するなど、スーパーGTのマシンの方が速いとされている。

 直接対決は叶わぬ夢として、ファンの間では想像することが楽しみ方のひとつだったのだが、2010年代に入ってからは交流戦の方向へ。スーパーGTを運営するGTアソシエイションと、DTMの統括団体ITR(会長は元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガー氏)が何年にもわたって協議を重ね、2018年6月に共通のマシンレギュレーション「クラス1」最終版を締結したことを発表したのである。

ゲルハルト・ベルガーITR会長。ベルガー会長は、かつてマクラーレン・ホンダのドライバーとして、1980年代末から1990年代前半にかけてアイルトン・セナと共に戦った元F1ドライバー。(c) GTアソシエイション

 クラス1では、「安全性の確保、コスト低減、平等な機会の提供」が掲げられ、多くのパーツが共通化される。それら共通パーツが生産され、DTMとスーパーGTの各マニファクチャラー(マシンの開発と製造を行っている自動車メーカー)に供給され、設計や開発に高額な投資をする必要がなくなるという。

 実は、部分的にレギュレーションの統一は進められており、2014年式のマシンからスーパーGTとDTMは共通のモノコックを使用してきた。このモノコックには、DTMで採用されているセーフティセルが組み込まれている。

エンジンはスーパーGT仕様で最終決着!

 一方、エンジンのレギュレーションの決定には時間がかかっていた。しかし、最終版ではスーパーGTで採用されている2L・4気筒直噴ターボで統一されることとなった。同エンジンの最高出力は約620馬力だ(GT500は500馬力のエンジンであることに由来するクラス名だが、現在では実はGT600というべき馬力に達している)。

 この2L・4気筒直噴ターボは、DTMでこれまで使用してきたエンジンよりも最高出力が約100馬力も向上するため、DTMマシンの最高速度も時速300kmを超えることになる。最高速が上がれば、ブレーキ性能の強化も同時に求められるようになることから、マシンのフロント部分にはエンジンとブレーキの双方に冷却効果を高めるための空力デザインが必要となり、スーパーGTの仕様がクラス1に採用された。さらに空力に関しては、リアディフューザー、リアウイングなどに関してもスーパーGTの仕様がクラス1に組み込まれている。

 そして2019年からはDTMではクラス1に完全合致したマシンでレースを実施。スーパーGTに関しては、モノコックの設計変更が2020年となっているため、そのタイミングでクラス1に準拠したマシンにスイッチされる。「準拠」とされているのは、スーパーGTはセミ耐久レースであるため、その特徴や魅力に配慮した変更が若干行われるからだ。

8号車「ARTA NSX-GT」2018年式のフロント部分。DTMのマシンは、クラス1レギュレーションで新たに搭載する2L・4気筒直噴ターボエンジンによって約100馬力もアップすることから、それに対応するためにスーパーGTの空力が採用される。「東京オートサロン2018」のスーパーGTブースにて撮影。

2019年から交流戦開始の予定!

 さらに日本とドイツのファンはもちろん、世界中のファンが待望しているという交流戦。こちらは、早ければ2019シーズンにアジアと欧州で1回ずつ開催するとされている。2019年は完全にクラス1で統一されていないことから、マシンレギュレーションは性能調整をした上で行うという。また2019年に交流戦が実現する場合は、レース内容に関してはDTMに近いものになる。「ドライバー交代および給油作業なし」、「タイヤ4輪交換を行うピットストップ1回を義務づけ」といったスプリント形式になる予定だ。2020年以降の交流戦は、両レース共に完全にクラス1に準拠したマシンで行うとしている。ちなみに、現時点ではスーパーGTおよびDTMの2019カレンダーに交流戦の日程は掲載されていないので、正式発表はもう少し先になる模様だ。

 両カテゴリーの2019シーズン開幕戦は、スーパーGTが4月12日(金)で、舞台は岡山国際サーキット。タイでの1戦を含む全8戦が行われる。スケジュールについては、別記事『国内開催のモータースポーツ2019年カレンダー第2報。開催情報を徹底収集。ビギナーズ向け解説ページもあります!』に掲載した。一方のDTMは5月3日(金)が開幕戦で、F1の開催で日本人モータースポーツファンにも知られたホッケンハイムリンクが舞台だ。

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