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岡山国際サーキットで開催されたスーパーGT開幕戦の決勝レース。GT500はポールを獲得したKeePer CERUMO GR Supraが1コーナーをトップで駆け抜けていく。
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公開日:2026.06.01

スーパーGT、2026シーズン開幕。岡山国際で見えた戦力図──ストリートの、その先へ Vol. 2

SUPER GT 2026 Beyond the Street

2026年シーズンのスーパーGTが岡山で開幕した。王者の強さ、新型PRELUDE GTの可能性、そして最後の“タイヤ戦争”──。GT500/GT300両クラスから、今年の勢力図を読み解く。

文=吉田拓生

写真=河野マルオ(maruo kono)

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盤石の走りを見せる36号車、au TOM’S GR Supra。全車サクセスウェイトなしの開幕戦だが、10位以下を周回遅れにする圧倒的な速さを見せた。

王者の3連覇、そして新型車デビューのGT500

2026年のスーパーGT開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」は、今季の勢力図を占ううえで非常に興味深いレースとなった。その舞台は開幕前のテストが開催された岡山国際サーキット。

決勝レースは例年どおり、路面温度や気温に対するタイヤマネジメントが勝敗を左右する難しい展開となったが、そのなかで一歩抜け出したのは、シリーズ連覇中の36号車(au TOM’S GR Supra)だった。

坪井翔と山下健太の王者コンビは予選こそGT500ルーキーの小林利徠斗が奮起した38号車(KeePer CERUMO GR Supra)にポールを譲ったが、決勝では王者らしい走りを見せた。

序盤から仕掛けるのではなく、タイヤを労わりながらレースを組み立て、ピット戦略を含めてトップに立つ盤石の内容。後半にはライバルとの差を着実に広げ、危なげなくチェッカーを受けた。

彼らはこれで開幕の岡山3年連続勝利。単なるラップタイムの速さだけではなく“勝ち方”を知っているチームの強さを改めて見せつけた格好といえるだろう。

前半を担当したベルトラン・バゲットが鮮烈なオーバーテイク劇を繰り広げ、日産勢として見事表彰台の一角となる3位を獲得したTRS IMPUL with SDG Z。ボディカラーはインパルチーム伝統のブルーだ。
前半を担当したベルトラン・バゲットが鮮烈なオーバーテイク劇を繰り広げ、日産勢として見事表彰台の一角となる3位を獲得したTRS IMPUL with SDG Z。ボディカラーはインパルチーム伝統のブルーだ。

2位には38号車が入ったが、中盤にトップを明け渡した小林利徠斗の落胆ぶりが印象的な表彰台となった。一方、日産勢では12号車(IMPUL Z)が3位、表彰台の一角をゲット。

新型PRELUDE-GTを実戦に初投入したホンダ勢の最高位は、16号車(ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT)だった。他のプレリュード勢も随所で光る走りを見せていたので、今後の熟成次第では十分に上位争いに絡んでくるはずだ。

開幕戦を見る限り、現状ではトップ10内に4台が入ったトヨタ勢が一歩リード。しかし日産Zの安定感、そして新型ホンダ勢の伸びしろを考えると、2026年シーズンのGT500は例年以上に面白いシーズンになりそうだ。

17号車、Astemo HRC PRELUDE-GTはプレリュード勢としては3番手、GT500全体では10位でポイントの獲得に成功した。予選が4番手と好調だっただけに、今後さらなるポジションアップも可能だろう。
17号車、Astemo HRC PRELUDE-GTはプレリュード勢としては3番手、GT500全体では10位でポイントの獲得に成功した。予選が4番手と好調だっただけに、今後さらなるポジションアップも可能だろう。
SUPER GT 2026 Rd.1 OKAYAMA
GT500 CLASS – FINAL RESULT
Pos No. Car Drivers Laps Gap Tire SW
1 36 au TOM’S GR Supra 坪井翔 / 山下健太 82 Bridgestone
2 38 KeePer CERUMO GR Supra 大湯都史樹 / 小林利徠斗 82 19.602 Bridgestone
3 12 TRS IMPUL with SDG Z 平峰一貴 / ベルトラン・バゲット 82 22.013 Bridgestone
4 14 ENEOS X PRIME GR Supra 福住仁嶺 / 大嶋和也 82 31.078 Bridgestone
5 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛 / サッシャ・フェネストラズ 82 31.537 Bridgestone
6 16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT 野尻智紀 / 佐藤蓮 82 41.539 Bridgestone
7 100 STANLEY HRC PRELUDE-GT 山本尚貴 / 牧野任祐 82 57.626 Bridgestone
8 23 MOTUL Niterra Z 千代勝正 / 高星明誠 82 1’18.188 Bridgestone
9 24 リアライズコーポレーション Z 名取鉄平 / 三宅淳詞 82 1’22.315 Bridgestone
10 17 Astemo HRC PRELUDE-GT 塚越広大 / 野村勇斗 81 1 Lap Bridgestone
11 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT 太田格之進 / 大津弘樹 81 1 Lap Bridgestone
12 19 WedsSport BANDOH GR Supra 国本雄資 / 阪口晴南 81 1 Lap Yokohama
13 64 Modulo HRC PRELUDE-GT 大草りき / イゴール・オオムラ・フラガ 81 1 Lap Dunlop
14 37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原右京 / ジュリアーノ・アレジ 74 8 Laps Bridgestone
Weather: Sunny/Cloudy / Track: Dry
Fastest Lap: No.38 T.Oyu 1’20.576 4/32Lap (165.444km/h)
CarNo.37 (9:43) ペナルティストップ5秒 (SpR22 4.1)「エンジン交換」)
ローリングスタートから1コーナーへなだれ込むGT300クラスの29台の車両。3位表彰台を獲得する小山美姫がドライブする31号車、apr LC500h GTはこの時点ですでに3番手につけている。
ローリングスタートから1コーナーへなだれ込むGT300クラスの29台の車両。3位表彰台を獲得する小山美姫がドライブする31号車、apr LC500h GTはこの時点ですでに3番手につけている。

アストンマーティン独走のGT300

GT300クラスは、今年もスーパーGTらしい混戦模様のなかで幕を開けた。車種もタイヤメーカーも戦略も異なるマシーンが入り乱れるクラスだけに、単純な速さだけでは勝てない。誰もがそう思っていた矢先、圧倒的なスピードでレースを支配したのは777号車(D’station Vantage GT3)だった。

藤井誠暢とチャーリー・ファグのコンビは、新しいダンロップタイヤの性能にも助けられ予選ではポールポジションを獲得。決勝でも序盤から安定したラップを刻み、GT300の名物ともいえる、背後から迫るGT500勢のオーバーテイクを的確にさばきながらレースを進めた。

独走しているレースの最中、特に印象的だったのはGT500車両に周回遅れにされる場面での落ち着いた対応だった。クラッシュ等で荒れることが多いスーパーGTではミスなく走り切ること自体が難しいが、昨年も富士で1勝しているアストンマーティンとD’ステーション・レーシングには隙がなかった。

岡山国際をホームコースとしている6号車、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIはチームのリードドライバー、片山義章と今年から加入したドイツ人ドライバー、ニクラス・クルッテンがステアリングを握る。直後に4号車、グッドスマイル初音ミクAMGが迫る。
岡山国際をホームコースとしている6号車、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIはチームのリードドライバー、片山義章と今年から加入したドイツ人ドライバー、ニクラス・クルッテンがステアリングを握る。直後に4号車、グッドスマイル初音ミクAMGが迫る。

2位には2号車(HYPER WATER INGING GR86 GT)、3位には31号車(apr LC500h GT)が入り、トヨタ勢としても存在感を示した。

なかでも小山美姫のGT初表彰台は大きなトピックであり、GT300クラスに新たなスターが誕生した瞬間だった。一方、今シーズン4気筒から6気筒にエンジン変更した61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)は下位に沈んだ。

GT300は性能調整によって各車のパフォーマンスが接近しているぶん、わずかな判断ミスが順位を大きく左右する。だからこそ開幕戦で見えたD’ステーション陣営の完成度は際立っているように見えた。

今年のGT300クラスは例年以上に「誰が勝ってもおかしくない」シーズンになりそうだ。

87号車、OPEN HOUSE Lamborghini GT3は、このJLOCのウラカンで2024年のGT300クラスチャンピオンを獲得した元嶋佑弥、そしてベテランの松浦孝亮ガドライブ。今回は15位でレースを終えている。
87号車、OPEN HOUSE Lamborghini GT3は、このJLOCのウラカンで2024年のGT300クラスチャンピオンを獲得した元嶋佑弥、そしてベテランの松浦孝亮ガドライブ。今回は15位でレースを終えている。
SUPER GT 2026 Rd.1 OKAYAMA
GT300 CLASS – FINAL RESULT
Pos No. Car Drivers Laps Gap Tire SW
1 777 D’station Vantage GT3 藤井誠暢 / チャーリー・ファグ 77 Dunlop
2 2 HYPER WATER INGING GR86 GT 堤優威 / 卜部和久 77 7.325 Bridgestone
3 31 apr LC500h GT 小高一斗 / 小山美姫 76 1 Lap Bridgestone
4 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝 / 片岡龍也 76 1 Lap Yokohama
5 65 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥 / 菅波冬悟 76 1 Lap Bridgestone
6 88 VENTENY Lamborghini GT3 小暮卓史 / ダニール・クビアト 76 1 Lap Yokohama
7 96 K-tunes RC F GT3 新田守男 / 高木真一 76 1 Lap Bridgestone
8 52 Green Brave GR Supra GT 吉田広樹 / 野中誠太 76 1 Lap Bridgestone
9 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI 片山義章 / ニクラス・クルッテン 76 1 Lap Yokohama
10 60 Syntium LMcorsa LC500 GT 吉本大樹 / 河野駿佑 76 1 Lap Dunlop
11 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 塩津佑介 / 荒尾創大 76 1 Lap Yokohama
12 666 seven x seven PORSCHE GT3R EVO スヴェン・ミューラー / 藤波清斗 76 1 Lap Yokohama
13 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO ザック・オサリバン / 伊東黎明 76 1 Lap Yokohama
14 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 木村偉織 76 1 Lap Yokohama
15 87 OPEN HOUSE Lamborghini GT3 元嶋佑弥 / 松浦孝亮 76 1 Lap Yokohama
16 32 ENEOS X PRIME AMG GT3 石浦宏明 / 鈴木斗輝哉 76 1 Lap Bridgestone
17 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口卓人 / 山内英輝 76 1 Lap Dunlop
18 18 UPGARAGE AMG GT3 小林崇志 / 新原光太郎 76 1 Lap Yokohama
19 11 GAINER TANAX Z 富田竜一郎 / 大木一輝 76 1 Lap Dunlop
20 45 PONOS FERRARI 296 EVO ケイ・コッツォリーノ / 篠原拓朗 75 2 Laps Yokohama
21 26 ANEST IWATA GAINER Z 安田裕信 / リ・ジョンウ 75 2 Laps Yokohama
22 30 apr GR86 GT 永井宏明 / 平良響 75 2 Laps Yokohama
23 9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMW 冨林勇佑 / 藤原優汰 75 2 Laps Michelin
24 62 HELM MOTORSPORTS GT-R 平木湧也 / 平木玲次 75 2 Laps Yokohama
25 22 アールキューズ AMG GT3 和田久 / 加納政樹 75 2 Laps Yokohama
26 360 RUNUP × SOL GT-R 荒川麟 / 金丸ユウ 74 3 Laps Yokohama
27 25 HOPPY Schatz GR Supra GT 松井孝允 / 洞地遼大 74 3 Laps Yokohama
28 20 シェイドレーシング RC F GT3 平中克幸 / 清水英志郎 74 3 Laps Michelin
29 48 健康ケーズフロンティアWMニルズGT-R 井田太陽 / ジェームス・プル 73 4 Laps Yokohama
Weather: Sunny/Cloudy / Track: Dry
Fastest Lap: No.777 T.Fujii 1’27.157 2/29Lap (152.952km/h)
黒白旗提示:CarNo.45 Kei Cozzolino (13:38) (SpR13 1.「危険なドライブ行為」)
黒白旗提示:CarNo.30 Hiroaki Nagai (13:50) (SpR13 1.「危険なドライブ行為」)
黒白旗提示:CarNo.360 (15:03) (SpR18 1.「走路外走行」)
CarNo.48 James Pull (13:16) ペナルティストップ60秒 (SpR32 5.「スタート手順違反(ピット出口赤信号無視)」)
CarNo.52 Seita Nonaka (13:41) ドライブスルーペナルティ (SpR32 17.「スタート手順違反」)
CarNo.56 Iori Kimura (14:06) ドライブスルーペナルティ (SpR13 1.「危険なドライブ行為」)
ヨコハマ、ブリヂストン、ダンロップ、ミシュランの4メーカーがしのぎを削るスーパーGTのタイヤ戦争。各メーカーとも、“最後の1年”にかける思いは強いはずだ。
ヨコハマ、ブリヂストン、ダンロップ、ミシュランの4メーカーがしのぎを削るスーパーGTのタイヤ戦争。各メーカーとも、“最後の1年”にかける思いは強いはずだ。

最終局面を迎えるタイヤ戦争に注目

国内3メーカーが揃うGT500と、世界中の様々なマシーンが鎬を削るGT300。参戦車両のバリエーションの多さこそ、スーパーGTの人気を支える大きな魅力だが、車種以上に開発が進められ、覇を競い合っているのが4メーカーが顔を揃えるタイヤの分野だ。

ヨコハマ、ブリヂストン、ダンロップ、そしてミシュランという世界中のモータースポーツで活躍する4メーカーがスーパーGTに参戦している。これは昨今のモータースポーツでは非常に珍しいことだった。というのも各タイヤメーカーが独自に様々なパフォーマンスのタイヤを開発すれば、それだけコストが掛かるわけで。そこで世界的にもモータースポーツの世界ではタイヤのワンメイク化の動きが加速しているのである。

そしてついにスーパーGTでも来年、2027シーズンからはタイヤのワンメイク化が発表されている。ということは4メーカーが熾烈な戦いを繰り広げるのは今シーズンが最後。となれば有終の美を飾りたい! とどのメーカーも思っているわけなので、今シーズンは過去最高にタイヤ戦争が盛り上がるシーズンと言われているのである。

スーパーGTのタイヤで難しいのは、持ち込みのセット数が限られていること。これを事前に決定しなければならないので、レース当日の天候や路面温度を予測し、的確なタイヤをチョイスしておく必要がある。これはちょっとした“賭け”でもあるのだ。

実際に今回GT300で勝利した777号車、D’ステーション・レーシングのスーパーバイザー、田中哲也さんもいの一番に「今回はダンロップさんが本当にいいタイヤを作ってくれました!」とコメントしていた。

レース展開やトップ争いと同じかそれ以上に、今シーズンはタイヤ戦争最後の年として、タイヤメーカーの争いにも注目してほしい。

GT300クラスで優勝したD’ステーション・レーシングでスーパーバイザーを務める田中哲也さん。自身もダンロップタイヤとともに多くのタイトルを獲得してきた、ベテランのレーシング・ドライバーだ。
GT300クラスで優勝したD’ステーション・レーシングでスーパーバイザーを務める田中哲也さん。自身もダンロップタイヤとともに多くのタイトルを獲得してきた、ベテランのレーシング・ドライバーだ。
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