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GT300予選、復帰戦の川端伸太朗がポール
第3戦のセパンがキャンセルされたため、ゴールデンウイークに続いて富士スピードウェイ(FSW)での開催となったスーパーGT。8月最初の週末、FSWには2日間で延べ5万6400人の観客が集まった。
参戦台数の多いGT300クラスの予選は、Q1をAとBの2組に分け、Q2でスターティンググリッドを決する戦いがはじまった。Q1で目立ったのは、これまでおとなしいシーズンを送っていたフェラーリ296 GT3勢。A組では#45 PONOS FERRARIが、B組では#7 CARGUY FERRARIがトップタイムをもぎ取って存在感を示した。Q2でもそのスピードは際立っており、このレースからスーパーGT復帰を果たした川端伸太朗がトップタイムを記録。これはPONOSチームにとって初のポールポジションでもあった。
2番手には#60のレクサスLC500が入ったが、3位と4位にもフェラーリがつけ、今回の条件にマシーンが合っていたことを強く印象付けたのだった。それでも予選一発の速さとレースディスタンスを走り切ることは別物。決勝でもフェラーリ勢がどのような戦いを展開するかに注目が集まった。
故郷・熊本にエール。大胆な作戦が成功
スーパーGT第4戦は、にわか雨がコースを濡らしていたが、ウェットタイヤを履くほどでもないという(2台がウェットを選択)微妙なコンディション。このためセーフティカー(SC)先導によるローリングスタートからはじまった。GT500クラスのクラッシュもあり、レースが本格的にはじまったのは10周目。
レースをリードしたのは、篠原拓朗がスタートドライバーを務めた#45 PONOS FERRARIだ。だが30周目にPONOSがピットインし、ドライバーとタイヤ交換を行うとレースが動いた。6番手からスタートしペースも悪くなかった#52 Green Brave Supraが、大逆転を狙って前2輪だけを交換するクイック・ピットストップを敢行。首位に躍り出たのだ。
この時点で2位に下がったPONOSとテールトゥノーズのバトルがはじまったが、今回のレースの直前、故郷である熊本が震災に見舞われた#52のドライバーの吉田広樹はこの攻撃をかわして優勝をもぎ取ったのだった。
フェラーリ復調の理由を考えてみた
レースの世界では、シーズン最初の数レースを終えると各マシーンのパフォーマンスが見えてくるもの。F1グランプリ等では、その後のアップデートによって勢力図が変わり続けるが、一方スーパーGTでは独自の「サクセスウェイト制度」やBoP(バランスオブパフォーマンス=性能調整)を導入することで接戦を生み出している。
第4戦(実質的には3戦目)となった今回のレースでフェラーリ勢の速さが目立ったのは、彼らが速かったと同時に、これまでの2レースで入賞したマシーンがウェイトを積んだことでタイムを落としたことにも原因があるといえるのだ。
またGT500とGT300という2つのクラスで争われるスーパーGTだが、さらに細かく言うとGT300の中には「FIA-GT3」と「GTA-GT300」という異なる車両規則で造られたマシーンが混走していることにも着目すべき。一般的にFIA-GT3マシーンは直線が速く、GTA-GT300クラスはコーナーで速いというデータもあるからだ。そしてもちろん、FISCOの名物は1.5km弱もある長い直線だ。それが今回のフェラーリ勢好調に繋がっている(?)。実に奥が深く、だからこそ引き込まれてしまうGT300クラスの魅力の一端がリザルトにも現れているのである。
GT300 CLASS – FINAL RESULT
Pos |
No. |
Car |
Drivers |
Laps |
Gap |
Tire |
SW |
1 |
52 |
Green Brave GR Supra GT |
吉田 広樹 / 野中 誠太 |
62 |
Bridgestone |
30 |
|
2 |
32 |
ENEOS X PRIME AMG GT3 |
石浦 宏明 / 鈴木 斗輝哉 |
62 |
7.881 |
Bridgestone |
20 |
3 |
7 |
CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO |
ザック・オサリバン / 梅垣 清 |
62 |
9.156 |
Yokohama |
16 |
4 |
45 |
PONOS FERRARI 296 EVO |
篠原 拓朗 / 川端 伸太朗 |
62 |
9.660 |
Yokohama |
|
5 |
56 |
リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R |
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ / 木村 偉織 |
62 |
17.268 |
Yokohama |
54 |
6 |
666 |
seven x seven PORSCHE GT3R EVO |
スヴェン・ミューラー / 藤波 清斗 |
62 |
19.189 |
Yokohama |
34 |
7 |
2 |
HYPER WATER INGING GR86 GT |
堤 優威 / 卜部 和久 |
62 |
21.518 |
Bridgestone |
62 |
8 |
62 |
HELM MOTORSPORTS GT-R |
平木 湧也 / 平木 玲次 |
62 |
27.986 |
Yokohama |
6 |
9 |
6 |
UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI |
片山 義章 / ニクラス・クルッテン |
62 |
36.790 |
Yokohama |
14 |
10 |
65 |
LEON PYRAMID AMG |
蒲生 尚弥 / 菅波 冬悟 |
62 |
39.169 |
Bridgestone |
62 |
11 |
60 |
Syntium LMcorsa LC500 GT |
吉本 大樹 / 河野 駿佑 |
62 |
40.842 |
Dunlop |
12 |
12 |
18 |
UPGARAGE AMG GT3 |
小林 崇志 / 新原 光太郎 |
62 |
41.183 |
Yokohama |
|
13 |
4 |
グッドスマイル 初音ミク AMG |
谷口 信輝 / 片岡 龍也 |
62 |
41.377 |
Yokohama |
42 |
14 |
31 |
apr LC500h GT |
小高 一斗 / 小山 美姫 |
61 |
1 Lap |
Bridgestone |
64 |
15 |
96 |
K-tunes RC F GT3 |
新田 守男 / 高木 真一 |
61 |
1 Lap |
Bridgestone |
30 |
16 |
9 |
PACIFIC ウマ娘 NAC BMW |
冨林 勇佑 / 藤原 優汰 |
61 |
1 Lap |
Michelin |
|
17 |
88 |
VENTENY Lamborghini GT3 |
小暮 卓史 / ダニール・クビアト |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
20 |
18 |
360 |
RUNUP × SOL GT-R |
荒川 麟 / 清水 啓伸 |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
|
19 |
11 |
GAINER TANAX Z |
富田 竜一郎 / 大木 一輝 |
61 |
1 Lap |
Dunlop |
4 |
20 |
25 |
HOPPY Schatz GR Supra GT |
松井 孝允 / 洞地 遼大 |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
|
21 |
30 |
apr GR86 GT |
永井 宏明 / 平良 響 |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
|
22 |
5 |
マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 |
塩津 佑介 / 荒尾 創大 |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
10 |
23 |
777 |
D’station Vantage GT3 |
藤井 誠暢 / チャーリー・ファグ |
61 |
1 Lap |
Dunlop |
70 |
24 |
48 |
健康ケーズフロンティアWMニルズGT-R |
井田 太陽 / ジェームス・プル |
61 |
1 Lap |
Yokohama |
2 |
25 |
87 |
OPEN HOUSE Lamborghini GT3 |
元嶋 佑弥 / 松浦 孝亮 |
60 |
2 Laps |
Yokohama |
10 |
26 |
20 |
シェイドレーシング RC F GT3 |
平中 克幸 / 清水 英志郎 |
60 |
2 Laps |
Michelin |
|
27 |
22 |
アールキューズ AMG GT3 |
加納 政樹 / 和田 久 |
60 |
2 Laps |
Yokohama |
|
28 |
61 |
SUBARU BRZ R&D SPORT |
井口 卓人 / 山内 英輝 |
60 |
2 Laps |
Dunlop |
2 |
29 |
26 |
ANEST IWATA GAINER Z |
安田 裕信 / リ・ジョンウ |
52 |
10 Laps |
Yokohama |
Fastest Lap 1’38.218 (11/62) 167.248km/h 45 Takuro Shinohara PONOS RACING/PONOS FERRARI 296 EVO
Start Time: 13:30’00 Finish Time: 15:53’36.345
SC START~13:40’52(4Lap)
RED FLAG(13:41’08~14:15’00)
SC 14:15’00(4Lap)~14:25’10(9Lap)
Black and White flag
CarNo.6 (SpR.付則-7 3.3)(10)「走路外走行複数回 5回」)(15:32)
CarNo.48 (SpR.付則-7 3.3)(10)「走路外走行複数回 5回」)(15:36)
CarNo.666 (SpR.付則-7 3.3)(10)「走路外走行複数回 5回」)(15:44)
CarNo.88 (SpR.付則-7 3.3)(10)「走路外走行複数回 5回」)(15:50)
CarNo.62 Yuya Hiraki タイムペナルティ5秒(SpR.13-1.b.「コースアウトを強いるもの」)(15:12)
CarNo.360 Rin Arakawa タイムペナルティ5秒(SpR.18-1.「走路外追い越し」)(14:44)
CarNo.87 Yuya Motojima ドライブスルーペナルティ (SpR.26-11.「ピットレーン通過速度」)(15:05)
CarNo.87 Kosuke Matsuura ドライブスルーペナルティ (SpR.26-11.「ピットレーン通過速度」)(15:04)
CarNo.22 罰金50,000円 (公式通知 No.2 8.「スタートドライバー申告遅れ 16分」)(10:59)
GT500予選はプレリュードが来た!
GT500クラスのフリー走行とQ1でトップに立ったのは#17 Astemo HRC PRELUDE-GT、そのステアリングを握ったのはGT500ルーキーの野村勇斗だった。
デビュー3戦目にしてホンダ・プレリュードが存在感を現したのである。5台のプレリュードは全車Q1を突破。続くQ2でもホンダのスピードは本物で、現在の日本人ドライバー最強ともいわれる太田格之進がアタックを担当した#8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが、ただ1台だけ1分26秒台に突入する圧巻のタイムでポールをゲット。さらにトップ3、上位5台までに4台のプレリュード勢が入りホンダ・ファンを喜ばせた。
HRCでは5台全てのデータを共有していることもあり、今回の躍進は約2か月のインターバルに徹底的にセッティングを煮詰めてきた結果だという。昨年までシリーズ3連覇を達成し、今シーズンも開幕戦と第2戦で連勝している王者、#36 au TOM’S GR Supraは80kgというサクセスウェイトを積んでいることもあり、11位に沈んでしまった。
プレリュードの一騎打ち、そして初勝利
スーパーGT第4戦の決勝は、衝撃的なシーンからはじまった。濡れた路面を考慮してローリングスタートとなったのだが、SCが外れスタートを切った瞬間のホームストレートで3台が接触。そのうちの1台、#64 MODULO HRC PRELUDE-GTが宙を舞う大クラッシュを喫し、レースは赤旗中断となってしまったのだった。
幸い#64のドライバー、イゴール・オオムラ・フラガにケガはなかったが、仕切り直されたレースは10周目からはじまった。リスタート直後の1コーナーではポールスタートの#8 ARTAを、#100 STANLEY HRC PRELUDE-GTを駆る山本尚貴がオーバーテイク。
結果的にこのレース唯一のチャンスをものにしてトップに立ち、25周目のピットインで山本からマシーンを受け取った牧野任祐も、レース終盤の#8 太田格之進の猛追をかわし、HRC PRELUDE-GT勢としての初勝利を記録したのだった。
2位は#8 ARTA、3位はGR Supra勢の中では上位に顔を出せず、サクセスウェイトを搭載していないDeloitte TOM’S GR Supraが食い込み、ホンダの表彰台独占を阻止した。
スーパーGTだけじゃわからない男泣きの理由。
HRC PRELUDE-GTに記念すべき初勝利をプレゼントした牧野任祐は、マシーンを降りると顔をぐしゃぐしゃにして号泣。この男泣きは初勝利だけでなく、スーパーフォーミュラのチームメイトにして最大のライバルでもある太田との一騎打ちに勝った喜びの涙でもあった。
牧野は今シーズンのスーパーフォーミュラ7戦中4戦で勝利を挙げている太田に先を行かれており、今回のレースでも予選でポールを獲得した#8のARTAを大いに意識していたのである。このあたりはスーパーGTだけをチェックしていてもわからない、日本のトップドライバー同士のバチバチの関係性に由来しているのである。
また牧野のパートナーでありホンダを代表するドライバーでもある山本尚貴も、予選でトップを取った太田がインタビューで発した「僕たちはHRCの名前を背負っている」という言葉に触発されたとも言っている。
メーカー同士の戦いという色が濃いGT500クラスだが、各陣営のドライバーがプライドを懸けてレースをしていることも忘れてはならないのである。
GT500 CLASS – FINAL RESULT
Pos. |
No. |
Car |
Drivers |
Laps |
Gap |
Tire |
SW* |
1 |
100 |
STANLEY HRC PRELUDE-GT |
山本尚貴 / 牧野任祐 |
66 |
Bridgestone |
14 |
|
2 |
8 |
#8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT |
太田格之進 / 大津弘樹 |
66 |
0.662 |
Bridgestone |
|
3 |
37 |
Deloitte TOM’S GR Supra |
笹原右京 / ジュリアーノ・アレジ |
66 |
1.478 |
Bridgestone |
|
4 |
36 |
au TOM’S GR Supra |
坪井翔 / 山下健太 |
66 |
15.901 |
Bridgestone |
80 |
5 |
17 |
Astemo HRC PRELUDE-GT |
塚越広大 / 野村勇斗 |
66 |
21.182 |
Bridgestone |
6 |
6 |
38 |
KeePer CERUMO GR Supra |
大湯都史樹 / 小林利徠斗 |
66 |
21.518 |
Bridgestone |
32 |
7 |
14 |
ENEOS X PRIME GR Supra |
福住仁嶺 / 大嶋和也 |
66 |
23.166 |
Bridgestone |
48 |
8 |
39 |
DENSO KOBELCO SARD GR Supra |
関口雄飛 / サッシャ・フェネストラズ |
66 |
24.371 |
Bridgestone |
28 |
9 |
16 |
#16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT |
野尻智紀 / 佐藤蓮 |
66 |
29.239 |
Bridgestone |
22 |
10 |
19 |
WedsSport BANDOH GR Supra |
国本雄資 / 阪口晴南 |
66 |
33.049 |
Yokohama |
2 |
11 |
24 |
リアライズコーポレーション Z |
名取鉄平 / 三宅淳詞 |
66 |
42.112 |
Bridgestone |
14 |
12 |
12 |
TRS IMPUL with SDG Z |
平峰一貴 / ベルトラン・バゲット |
65 |
1 Lap |
Bridgestone |
30 |
13 |
23 |
MOTUL Niterra Z |
千代勝正 / 高星明誠 |
16 |
50 Laps |
Bridgestone |
28 |
14 |
64 |
Modulo HRC PRELUDE-GT |
大草りき / イゴール・オオムラ・フラガ |
4 |
62 Laps |
Dunlop |
Weather: Rain/Cloudy / Track: Wet/Dry
Fastest Lap 1’29.842 (10/66) 182.841km/h 100 Naoki Yamamoto STANLEY TEAM KUNIMITSU / STANLEY HRC PRELUDE-GT
Start Time: 13:30’00 Finish Time: 15:53’36.345
SC START~13:40’52(4Lap)
RED FLAG(13:41’08~14:15’00)
SC 14:15’00(4Lap)~14:25’10(9Lap)
CarNo.12 Bertrand Baguette 罰金200,000円 ペナルティストップ90秒(SpR.13-1.a.「SC導入中の他車への衝突行為」)(14:08)
CarNo.12 Bertrand Baguette ドライブスルーペナルティ(SpR.付則-3 7.「SCリスタート時の追い越し」)(14:16)
酷暑のレース、実はドライバーが快適な理由(?)
夏のハコ車のレースというと、以前は冷たい水を循環させるクールスーツをドライバーが着て走ることが当たり前だった。現在はドライバーの労働環境も時代相応に変化しており、GT500マシーンの場合はなんとエアコン・ユニットが標準で装備されていて、ヘルメットについている管などに直接冷風を送り込んでいるのである。
とはいえ一般的に考えればエアコン=エンジンパワーを削ぐものという事実もあり、予選ではエアコンオフにして、コンマ数秒のタイムを稼ぎ出すドライバーもいるらしい。
一方、GT300クラスでもエアコンは必須。FIA-GT3の場合は世界中でプロのみならずジェントルマンドライバーにまで幅広く門戸を開く市販車ベースのカテゴリーだけに、エアコンの装着が規則化されているが、日本夏の厳しい条件を考慮し換気口の装着が認められている。コクピット内の快適性能はそのままマシーンの速さに直結する部分だけに、着実に進化をしているのである。
サーキットの外でも、レースははじまっている。
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