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クルマ最終更新日:2018.08.20 公開日:2018.08.20

【オートモビルカウンシル2018】フェラーリを集めてみた!

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静岡のフェラーリ正規ディーラー兼オフィシャルサービスセンターのオートスペチアーレのブースでは、1980年代半ばから1990年代半ばの4車種が展示された。

 8月3日から5日にかけて開催された、国産の旧車や往年のスーパーカーなどのヒストリックカーを扱う展示会オートモビルカウンシル2018。それらを手がける販売店が32社集まり、約100台が展示された。

 ここでは、フェラーリをまとめて紹介する。今回展示したのは、フェラーリ正規ディーラー兼オフィシャルサービスセンターであるオートスペチアーレ、輸入車の中古専門店のゴーランドカンパニー、ヒストリックカーの中古専門店のはらモータースの3社。中でもオートスペチアーレは4車種を展示した。

「テスタロッサ」を3連発! まずは日本輸入第1号車から

 オートスペチアーレ、ゴーランドカンパニー、はらモータースの3社がともに展示したのが「テスタロッサ」だ。「テスタロッサ」は「512BBi」の後を継いで1984年に発表され、1992年まで生産されたフェラーリのV12フラッグシップモデル。世界的に人気を博し、総生産台数は7000台を超えた。日本でも人気は同様で、バブル期だったこともあって、フェラーリの最多輸入台数を記録している。

 オートスペチアーレが展示したのが、初期モデルの1985(昭和60)年式の”日本輸入第1号車”。後の日本への輸入車は米国仕様がベースとなるのが、この第1号は本国イタリア仕様で、右ドアミラーがないのが大きな特徴。右ドアミラーがなくて日本の公道を走れるのかというと、当時の道路運送車両法に基づいた認証を受けているので問題ない(現行法規では型式認証は受けられない)。

 またオートモビルカウンシルは単なる展示会ではなく、その場で商談することも可能なことが特徴。「テスタロッサ」は現在の中古車価格は1000万円強だが、この第1号車はプレミア価格がついており税別で2800万円だった(当時の新車価格が2500万円台)。

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「テスタロッサ」日本輸入第1号車、1985年式。「テスタロッサ」のデザインを手がけたカロッツェリア(デザイン工房)はピニンファリーナ。最大の特徴は、エアインテークとなっているサイドスリットだ。ちなみに「テスタロッサ」の「testa」は頭、「rossa」は赤で、訳すと「赤い頭」という意味。エンジンのカムカバーが赤いことに由来している。この赤いカムカバーは、1950年代に活躍したフェラーリのレーシングカー「250テスタロッサ」を踏襲したものだ。オートスペチアーレ・ブースで撮影。

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「テスタロッサ」のスペック。全長×全幅×全高:4485×1976×1130mm、ホイールベース:2550mm、トレッド(前/後):1518/1660mm。車重:1506kg。エンジン型式:F113A型、エンジン種類:水冷バンク角180度V型12気筒DOHC、排気量4943cc、最高出力:390ps/6300rpm、最大トルク:50.0kg・m/4500rpm、最高速度:時速290km、時速0→100km:5.3秒。サスペンション:前後共ダブルウィッシュボーン。

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「テスタロッサ」のリアミッドシップにマウントされたエンジン。「赤い頭」の由来であるカムカバーは、エンジン下方にある横長の赤い結晶塗装が施されたパーツのこと(上面の2枚のプレートのことではない)。「テスタロッサ」のエンジンはバンク角180度のV型12気筒なので、カムカバーはエンジン両脇に位置する。そのため、この画像では片側だけしか見えない。

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続いてはゴーランドカンパニーとはらモータースの「テスタロッサ」!

日本で1、2を争うお買い得な(?)「テスタロッサ」2台!

 ゴーランドカンパニーと、はらモータースが展示した「テスタロッサ」は、日本で1、2を争う低価格だという。1000万円を下回る「テスタロッサ」は破格といえるそうで、オートモビルカウンシル2018に出展するため、ゴーランドカンパニーとはらモータースがインターネットの中古車情報サイトなどに掲載せず、隠し球として取っておいた1台である。

 ゴーランドカンパニーの「テスタロッサ」は838万円(税別)で、出展時点では、おそらく日本で最も安価だろうといわれている。はらモータースの「テスタロッサ」も900万円(税別)ジャスト。

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ゴーランドカンパニーが展示した「テスタロッサ」は黒。価格は838万円(税別)。修復履歴を持たない車両としては、2018年現在で「テスタロッサ」で最もお買い得といえそうな1台。ゴーランドカンパニー・ブースで撮影。

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「テスタロッサ」を横から。サイドスリットやルーフのラインなど、真横から見ると空気の流れが目に見えるようなデザイン。しかしcd値(空気抵抗係数)は0.36であり、スーパーカーとしては必ずしも優秀とはいえない数値とされる。そのためか最高速度も時速290km止まりで、時速300kmの大台に到達しておらず、そこを残念に感じるファンもいる。

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「テスタロッサ」を後方から。ワイドスパンなのがよくわかる。先代の「BB512」および「BB512i」と比べてボディは大型化しており、横幅は176mm増えている。

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はらモータースの「テスタロッサ」1988(昭和63)年式。同じ赤のため、オートスペチアーレの日本輸入第1号車と変わらないように見えるが、こちらは右のドアミラーがある。中古価格900万円(税別)で、こちらもまた「テスタロッサ」としてはお買い得な1台。

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次は「ディーノ」と「512BBi」!

フェラーリで今回の最古参は「ディーノ246GT/L」

 今回紹介するフェラーリの中では古株の2車種を紹介。まずは「ディーノ246GT/L」1969(昭和44)年式(ディーノの同乗試乗レポート記事はこちら)。ヴァンテージ湘南が展示した。

 「ディーノ」シリーズは、一般的にはフェラーリの1車種として扱われているが、「ディーノ」という別ブランド、という話もある。当時のフェラーリの半分の気筒数しかないV6エンジンを搭載したことから(なおかつ現在まで唯一のV6エンジン搭載フェラーリ)、別ブランドにしようとしたと伝わる。名称は、2.4Lの排気量と6気筒を意味する。

 フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリの夭逝した長男アルフレードが開発に携わったことから、ブランド名にその愛称であるディーノをつけたという。ディーノがブランド名という話が正確なのであれば、今回の展示車両もディーノ「246GT/L」ということになる。

 「ディーノ246」シリーズは1974年まで生産され、スモールフェラーリの系譜は「ディーノ208/308GT4」(後にフェラーリ「208/308GT4」に改称)に引き継がれた。

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「ディーノ246GT/L」1969年式。「ディーノ246GT」の初期モデル(その前に「ディーノ206」がある)で、中期モデルの「M」、後期モデルの「E」が存在する。60~70年代は優雅な曲線美を備えたスーパーカーが多いが、その中でも美しさを称えられる1台。カロッツェリアのスカリエッティによるデザインだ。また、フェラーリ初のミッドシップで、ハンドリング性能の高さも評価されることが多い。この出展車両の価格はなんと…5000万円(税別)。「テスタロッサ」と比べると希少性が高いため、非常に高額。ヴァンテージ湘南・ブースで撮影。

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「ディーノ246GT/L」のスペック。全長×全幅×全高:4290×1700×1115mm、ホイールベース:2340mm、トレッド(前/後):1425/1430mm。車重:1080kg。エンジン型式:135CS型、エンジン種類:水冷V型6気筒DOHC、排気量2418cc、最高出力:195ps/7600rpm、最大トルク:23.0kg・m/5500rpm、最高速度:時速235km、時速0→100km:7.1秒。サスペンション: 前後共ダブルウィッシュボーン。

70年代スーパーカーの代表格を改良した「512BBi」

 今回のフェラーリの中で次に古株なのが、1976年に誕生した「512ベルリネッタ・ボクサー(BB)」(記事はこちら)の改良モデル「512BBi」だ。1984(昭和59)年式で、生産最終年の最後期モデルとなる。オートスペチアーレが展示した。

 「512BB」は1970年代スーパーカーブームを牽引した1台として知られる。しかし、1970年代末に排気ガス規制が施行されたことから、スーパーカーといえど対応を迫られることになった。そこでフェラーリは、「512BB」のキャブレター(燃料気化器)をやめてインジェクター(燃料噴射装置)にスイッチ。1981(昭和56)年に「512BBi」として生まれ変わったのである。もちろん「512BBi」の「i」はインジェクターを意味する。

 「512BBi」は1984年で生産終了。フェラーリのV12フラッグシップモデルの座は「テスタロッサ」にバトンタッチされた。ちなみに「512BBi」の総生産台は1000台強。

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「512BBi」。外見は「512BB」と同じで、ほぼ変わらない。「512BB」のデザインは、カロッツェリアのピニンファリーナとスカリエッティが共同で行った。オートスペチアーレ・ブースで撮影。この展示車両の価格は、4500万円(税別)。「512BBi」も「テスタロッサ」と比べると生産台数が少なく、現存する台数も少ないため、非常に高額。

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「512BBi」のスペック。全長×全幅×全高:4400×1830×1120mm、ホイールベース:2500mm、トレッド(前/後):1508/1572mm。車重:1499kg。エンジン型式:F110A型、エンジン種類:水冷V型12気筒DOHC、排気量4943cc、最高出力:340ps/6000rpm、最大トルク:46.0kg・m/4200rpm、最高速度:時速280km、時速0→100km:6.3秒。サスペンション: 前後共ダブルウィッシュボーン

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最後は1980年代から1990年代まで生産された2車種!

80年代に人気を博したスモールフェラーリ!

 最後に紹介するのは、1980年代から1990年代にかけて生産されたフェラーリ。まずは、「328GTB」だ。当初、フェラーリはV12エンジンを積むことを必須としたが、そこに新風を吹き込んだのが先ほど紹介したV6エンジン搭載の「ディーノ」シリーズで、そこからスモールフェラーリの流れが始まっていく。

 その後、エンジンはV8となり、「ディーノ 208/308GT4」が登場。それを引き継いだのが「308」で、さらにその後継モデルとして1985年に登場したのが「328」だ。名称は、排気量3.2Lの8気筒を意味する。

 今回オートスペチアーレが展示したのは、クローズドボディの「328GTB」。「B」はベルリネッタ(berlinetta)、つまり(小型の)2ドアクーペのことで、ほかに着脱式ルーフ(タルガトップ)型の「328GTS」があった。「S」はオープンカーを意味するスパイダー(spider)のこと。ちなみにこの排気量+気筒数で表す名称の後にGTB/GTSをつける習わしは、現代のV8フェラーリまで踏襲されている。

 1989年まで生産され、スモールフェラーリの名車「348」にバトンタッチした。

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「328GTB」1989(平成元)年式。生産最終年の最後期モデルだ。「512BB」に通じる、70年代的なフェラーリ風味の「328GTB」のデザインは、カロッツェリアのピニンファリーナが担当した。この展示車両の価格は2100万円(税別)。オートスペチアーレ・ブースで撮影。

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「328GTB」のスペック。全長×全幅×全高:4255×1730×1128mm、ホイールベース:2350mm、トレッド(前/後):1485/1465mm。車重:1263kg。エンジン型式:F105C型、エンジン種類:水冷V型8気筒DOHC、排気量3185cc、最高出力:270ps/7000rpm、最大トルク:31.0kg・m/5000rpm、最高速度:時速263km、時速0→100km:6.4秒。サスペンション:前後共ダブルウィッシュボーン

台数限定モデル「348GT コンペティツィオーネ コルサ」

 「328」の後継モデルとして1980年代末から1990年代半ばまで生産されたのが「348」だ。「348」もまた排気量と気筒数を表した名称となっている。デザインを手がけたカロッツェリアのピニンファリーナは、「テスタロッサ」をイメージさせるサイドスリットを「348」にも設けたことから、「リトル・テスタロッサ」と呼ばれ、スモールフェラーリの中でも屈指の人気を獲得した。

 そんな「348」を、レース用としてレーシングコンストラクター兼チューナーのミケロットがフェラーリ公認で開発したのが、「348GT コンペティツィオーネ コルサ」だ。10台強しか製造されなかった超限定車種である。今回オートスペチアーレが展示したのは1994(平成6)年式だ。

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「348GT コンペティツィオーネ コルサ」。ボンネットには大サイズのエアアウトレットがあったり、リアには大型ウイングが装着されていたりと、流麗なデザインが特徴のフェラーリとしては少々無骨で違和感のあるデザインなのは、レース用に改造されたため。展示車両の価格は6000万円(税別)。世界に約10台しかないフェラーリ公認レースモデルとしてはお買い得な方かも!?

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「348GT コンペティツィオーネ コルサ」のスペック。全長×全幅×全高:4230×189×1170mm、ホイールベース:2450mm、トレッド(前/後):1502/1578mm。車重:1180kg。エンジン種類:水冷V型8気筒DOHC、排気量3404cc、最高出力:320ps/7200rpm、最大トルク:33.0kg・m/5000rpm最高速度:未公表、時速0→100km:未公表。サスペンション(前/後):/ダブルウィッシュボーン。

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