クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2017.08.08 公開日:2017.08.08

発炎筒を徹底解説!

発炎筒って車に積んであるけれど、いつ使うの?どうやって使うの?雨でも使える?などなど疑問がつきません。発炎筒について徹底解説!

 ドライバーなら一度は目にしたことがあるだろう、助手席の足元にある赤い筒、あれが発炎筒だ。

 せっかくだから発炎筒について専門家に根掘り葉掘り聞いてみた。
 教えてくれたのは、日本カーリット株式会社の原民男さん。同社の発炎筒はカーメーカーの純正部品としてトップシェアを誇る。

「”はつえんとう”には、発「炎」筒と発「煙」筒があるんです。「煙」のほうは点火すると文字通り煙を出します。たとえば、コンテナ等の中で使用して、密閉具合を確認するために使います。皆さんが車に積んでいるのは、「炎」のほう。煙だけでなく炎の光によって存在を知らせるために使います」

 発炎筒をはじめとする非常用の信号用具は、緊急時に備えて車への装着が義務付けられている。「輸入車の一部は電灯タイプを採用していることがありますが、国産車の大部分は発炎筒を搭載しています」(同氏)という。

 この非常用信号用具のなかでも、発炎筒の被視認性(目につきやすさ、見られやすさ)が群を抜いて高い。「昼間なら600m先、夜間だと2km先から視認できることが製品としての条件になっている」と同氏。

→ 次ページ:
発炎筒、どんなときに使う?

どんなシチュエーションで多く使われている?

 ではこの発炎筒、どんな場面で多く使われているのだろうか。

「かつて車のマニュアルミッション(MT)比率が高かったころは、踏切で多く使用されました。というのも、線路上でエンスト、再始動ができずに遮断機が下りるという事態が多く発生していたからです」(同氏)。今は、オートマ車比率が圧倒的で、かつ往来の多い道路と交差する線路を中心に、高架化や地下化されているためにそういった事態が減少した。

 現在は、高速道路での使用が圧倒的に多いと見られている。実際、JAFのロードサービスでも高速道路での救援件数が年間およそ8万件にも上る。高速道路で後続車に自車が停止していることを示すために大事なものなので、自分の車に装着されているか、運転前に確認するようにしよう。

どんなことに注意が必要?

 「発炎筒が燃えているのは5分間です」(同氏)。高速道路ではその間に他に乗車している人を車外の安全な場所に避難させるなど、安全対策を講じる必要がある。もっと長く燃え続けるものはないのだろうか。「事故処理や道路工事などで使用されているものの中には15分燃えるものもあります。しかし大きいので車載に不向きで使用方法も特異なので、一般の車載用は現在のものになっています」(同氏)ちなみにJAFロードサービス隊員は15分のほうを使って高速道路での後方警戒に当たっている。

 雨が降っていても使うことはできるのだろうか。「もちろん使えます。むしろ荒天の日こそ事故が起きる可能性が高いので、雨量50ミリ、風速18m/sでも耐えるようになっています」(同氏)。これはJIS規格で定められている基準の値だそうだが、いつでもこの性能を発揮できるのだろうか。
「消費期限を4年に設定しています。それを過ぎると、ほとんどの場合炎は出ますが、光り具合ですとか水への耐性が落ちてきます。燃焼が中断してしまうこともあります」(同氏)。

→ 次ページ:
どうやって使うの?

使い方、難しい?爆発したりしない?

 その発炎筒だが、いざというときどうやって使うのだろうか。
「使い方は難しくありません。車から外して、ケースから本体を抜いて、キャップにあるすり薬部分を擦って点火します。マッチと同じ要領です」(同氏)。なるほどこれは簡単そうだ。「最近は、若い人を中心にマッチで火を点けた経験のある人が、思いのほか少ないということがあります。実際の使用では、発炎筒が爆発するということは絶対ありませんので、慌てず怖がらずに擦って点火していただければと思います」(同氏)

 発炎筒は変わらなくてもそれを使う人間のほうが変わってきているということなのだろうか。
「いえいえ、発炎筒も進化していますよ。含有されている火薬の研究も進めています。この発炎筒に使われている火薬の一部はロケットの固体燃料にも使われるほど高性能なものなんですよ。それからこの「スーパーハイフレイヤー+ピック」は先端にガラス破壊具が付いているので、車が水没してしまったときなどの脱出用にも使えます」(同氏)

 設置箇所と使用期限の確認さえすれば4年間メンテナンスフリー。このような車の重要部品はそう多くない。もちろん、使わずに済むに越したことはないが、いざとなったら使い方は至極簡単で効果抜群。むむ、やるな発炎筒!

2017年8月8日(JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一)

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(12月1日まで)
応募はこちら!(12月1日まで)