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最終更新日:2017.02.22 公開日:2017.02.22

キャンピングカー カテゴリー解説【前編】軽キャンからセミフルコンまで

 2月2日より5日まで幕張メッセで開催された「ジャパン キャンピングカーショー2017」。300台以上のさまざまなキャンピングカーが展示されたが、その種類の多さに驚いた人も多いはずだ。

 実は一口にキャンピングカーといっても、軽自動車からバスベースのものまで、また架装(改造)の仕方で、その特徴はまったく異なっている。そこで日本RV協会が1999年に作った8種類の分類に沿って、キャンピングカーを種類別に解説してみた。

【前編】
(1)軽キャンパー(軽キャン)
 軽自動車ベースの、日本で現在、最も人気のあるカテゴリー。
(2)バンコンバージョン(バンコン)
 こちらも日本で人気の、ミニバン、ワンボックス、ワゴンベース。
(3)フルコンバージョン(フルコン)
 キャンピングカーの最上級カテゴリー。
(4)セミフルコンバージョン(セミフルコン)
 日本独自のカテゴリーで、フルコンに次ぐ。バスベース。

【後編】
(5)キャブコンバージョン(キャブコン)
 トラックベースで、国内外で車種が豊富。
(6)バスコンバージョン(バスコン)
 日本では、マイクロバスをベースにした形態。
(7)キャンピングトレーラー(トレーラー)
 被牽引車型のカテゴリー。いわゆるトレーラーハウス型。
(8)トラックキャンパー(トラキャン)
 ピックアップトラックの荷台にキャンピングシェルを載せた形態。

 今回の前編では、最初の4種類を解説したい。

出典:(4)フィールドライフ「シリウス 6.7」。公式サイトより引用。(8)MYSミスティック「ゼニス SP」。公式サイトより引用。

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まずは軽キャンパーについて!

現在日本で最も人気がある軽キャン

ナッツRVの「スピナ キャルルックバージョン」。キャルルックとは、カリフォルニア(米国西海岸)スタイルのカラーリングや外装などのカスタマイズをいう。キャンピングカーとしてだけでなく、普通に街乗りしたいおしゃれな1台。

 日本独自規格である軽自動車をベースにしたのが軽キャンパーだ。今回だと、ナッツRVの「スピナ」シリーズや、バンショップミカミの「テントむし」などがそれで、多数のビルダーが展示していた。

 最大の特徴は、軽自動車ならではのリーズナブルな車両価格と維持費の安価さ。例として挙げた2台の場合、スピナの「キャルルックバージョン」は319万円(税別)からで、テントむしの「Sタイプ」が348万2000円(税別)となっている(それぞれ会場で展示された車両の価格)。

バンショップミカミのテントむし。後ろは、軽自動車でも牽引可能なキャンピングトレーラーの「コロ」。トレーラーについては後編で解説。

 その代わり、改めて説明するまでもないが、就寝定員は基本的には1~2人と少人数向け。ただし、近年の軽自動車は室内空間が広くなっており、車種によっては身長180cmの人が寝転がっても足を伸ばせる余裕がある。

 高さに関しても、ルーフをポップアップ式にすることで立ったままでも着替えられるといった、限られたスペースの有効活用が図られており、軽自動車でも車中泊をしやすくなっている。

 また、街中での取り回しのよさも大きなメリットで、日常利用も可能だ。そのため、キャンピングカーとは別に普段使いのクルマを所有しなくて済むというわけだ。

 近年は、引退した熟年夫婦がふたりで車中泊での旅行に出るなどで利用するのに人気だ。

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続いてはバンコンバージョンについて!

ミニバンやワンボックスカーがベースのバンコン

同一車線用自動運転機能を搭載したミニバンとして知られる日産「セレナ」をベースにした「セレナP-SV」。日産ピーズフィールドクラフトが出展。ミニバンのルーフがポップアップすると、迫力がある。

 ミニバン、ワンボックス、ワゴンなどをベースにしたのがバンコンバージョン、通称バンコンと呼ばれるタイプだ。北米ではクラスBと呼ばれる。軽キャンと同じく日本で人気のカテゴリーである。

 軽キャンと比較すると当然ながら室内空間が大きくなるので就寝可能な人数も増え、3~5人ほどになる。また、ベッドなどに加え、キッチン設備などが備えられることも多く、そうした大きな架装(改造)が施されたクルマは、8ナンバーを取得する必要がある。

 ベース車両がミニバン、ワンボックス、ワゴンなので街中での取り回しもよく、日常での利用も問題ない。

 人気カテゴリーゆえに多数のブースで展示された。日産ピーズフィールドクラフトの「セレナP-SV」、キャンパー鹿児島「オレオ」といった日本製だけでなく、フジカーズジャパンが出展した伊ローラーチーム社製「リビングストーン5 プレステージ」など、海外製も見られた。

 展示車両の価格は、セレナP-SVが389万1938円(税別)、オレオが会場限定で500万円(税込)、リビングストーン5 プレステージが689万円(税別)。

キャンパー鹿児島による、トヨタ「ハイエース」ベースのバンコン「オレオ」。会場限定1台500万円で販売していた。

 ちなみに、自動車メーカーはベース車両やビルダー向けのシャシーなどを供給しても、キャンピングカー自体を製造することは少ない。

 そうした中、今回の目玉のひとつだったのが、日産が近日発売として参考出展した「NV350キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー」。同車もバンコンの1台で、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載していることを利用した、充実した家電装備が特徴の1台である。

NV350キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー。

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次はカテゴリーの最上位フルコンついて

キャンピングカーの王様フルコン

ボナンザが展示した米トール・モーターコーチ社「ヴェガス 24.1」。全長7860×全幅2460×全高3340mm。フォード「E450」をベースとした1台。観光バスか何かに見えるが、乗車定員は5名。

 フルコンことフルコンバージョンは自走可能な大型のキャンピングカーで、最高峰に位置づけられている。北米では「クラスA」というカテゴライズだ。

 構造としては、キャンピングカー専用のストリップシャシー(むき出しのシャシー)をベースに、一から製作したボディを架装して作られている。全長・全幅・全高のどれをとっても余裕があり、キャンピングカーとしての居住性や装備に関しては申し分ない。

 その反面、道路の幅員や一般的な駐車スペースなど、日本国内での日常利用を考えると、かなり気を遣う。市街地での取り回しはよいとはいえないので、日常で使うには不向きなキャンプ専用車両である。

 そして当然ながらこのビッグサイズなので、車両価格もかなり高額だ。例えば、エイチ&ケイコーポレーションが展示した独バーストナー社製「グランドパノラマI915G」は、300台中でもトップクラスの1980万円(税別)という具合(展示車両の価格)。

エイチ&ケイコーポレーションのグランドパノラマI915G。フィアット「デュカト バン」をベースにしているが、全長を1.5倍に延長して9mとなっている。全幅は2.3m、全高は3m。最大重量は5000kgなので、2017年3月12日以降に自動車運転免許を取得する場合は、準中型免許が必要。フロントウィンドウの内側には、上下からブラインドを閉められる機構が用意されており、画像は閉じたところ。

 ほかにも、ページ上部で画像を掲載したヴェガス 24.1が1638万円(税込)、東和モータース販売が展示した独デスレフ社製「グローブバスGT 16」が1180万円(税込)となっている(どちらも展示車両の価格)。

 なお、国産のストリップシャシーが製造されていないため、純日本製のフルコンは現在は存在しない。

東和モータース販売の「グローブバスGT 16」。デュカトベースの1台だが、車名にもあるようにマイクロバスといった趣となっている。ただし、スペックは全長6940×全幅2190×全高2810mmと、フルコンの割にはサイズ的に大人しめ?

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純日本製では最上級のセミフルコン

日本製ではセミフルコンが最上級

 日本製フルコンがない関係で、純日本製キャンピングカーの中で最高峰とされているのが、セミフルコンバージョンと呼ばれるカテゴリーだ。略称はセミフルコン。ただし、海外的に通用するカテゴリーではなく、日本独自の設定だ。

 バスを改造するタイプで、運転席とフロアを残してボディをカットし、そこに「キャンピングシェル(シェル)」を架装したものだ。

 フィールドライフが会場で発表し、後日同社公式サイト上で公開した最新車両の「シリウス 6.7」などがセミフルコンだ。画像は、同社の公式ブログから抜粋させてもらった。

 シリウス6.7は、三菱ふそうのマイクロバス「ローザ」をベースにした1台で、ボディをカットして外壁を高断熱ハイドロパックパネルで製作したという。全長は車名にあるとおり6.7mで、市街地での取り回しのよさと室内の余裕を共に確保したサイズとしている。推奨パック装備時の車両価格は、1554万2700円(税別)。

フィールドライフの新型セミフルコン車「シリウス 6.7」。画像は同社公式ブログから抜粋。

 後編では、残りの4種類、キャブコン、バスコン、トレーラー、トラキャンについて解説する。

2017年2月23日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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