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公開日:2026.05.20

将来は静岡~高崎が直結? 甲府の外環「新山梨環状道路」はどこまでできた? 約5kmの長大トンネルも【いま気になる道路計画】

新山梨環状道路 東部区間(西下条~落合西IC)の様子。

山梨県の甲府エリア郊外を環状につなぐバイパス「新山梨環状道路」の整備が進んでいる。静岡~山梨を結ぶ中部横断自動車道や、将来開業予定のリニア中央新幹線駅へのアクセスも担う重要路線だ。概要や整備のメリット、現在の進捗状況を見ていこう。

新山梨環状道路 東部区間(西下条~落合西IC)の様子。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、山梨県

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新山梨環状道路で甲府中心エリアを環状にバイパス

新山梨環状道路の概要。

新山梨環状道路の概要。

山梨県最大の人口集積地である甲府盆地。一辺約20kmの三角形状に広がる地域だが、交通面では現在も、中心部の甲府市街へ交通が集中する“放射状”の道路構造が色濃く残っている。

甲府盆地へ流入する主な交通ルートは、以下の4方向だ。

・東:都心方面(国道20号、中央自動車道)
・西:松本方面(国道20号、中央自動車道)
・南:富士・静岡方面(国道52号、中部横断自動車道)
・北:秩父・高崎方面(国道140号、西関東連絡道路)

これらを相互に乗り換えする交通流は、中心市街地を経由する構造となるため、市街地では慢性的な渋滞が発生している。

そこで整備が進められているのが、各放射道路を郊外で結び、中心部を通らず移動できるようにする「新山梨環状道路」だ。

国道20号は慢性的な混雑が課題になっている。

国道20号は慢性的な混雑が課題になっている。

新山梨環状道路は、中部横断自動車道「南アルプスIC」から東へ分岐し、笛吹川や石和温泉エリアをかすめるように反時計回りで北上。昇仙峡入口付近を経て西側へ抜け、「双葉JCT北側」で中央自動車道や国道20号へ接続する計画だ。

南部区間では、将来整備予定のリニア中央新幹線駅に直結するほか、隣接する中央道には「甲府中央スマートIC(仮称)」の設置も計画されている。実現すれば、静岡~中央道~八王子方面へ抜ける新たな短絡ルートとしての役割も期待される。

さらに北部区間では、西関東連絡道路とジャンクション形式で接続予定。将来的には、甲府盆地中心部を経由せず、静岡~高崎方面を信号なしで移動できる広域ネットワークが形成される見込みだ。

また、中央道は甲府盆地で南側へ大きく迂回しているため、JR中央本線北側エリアは高速道路の空白地帯となっている。新山梨環状道路の北部区間は、こうした地域のアクセス性を補完するとともに、昇仙峡など観光地への移動利便性向上にも寄与すると期待されている。

橋脚が立ち並ぶ東部区間。事業はどこまで進んだ?

新山梨環状道路 東部区間の工事進捗状況。

新山梨環状道路 東部区間の工事進捗状況。

全長約43kmの「新山梨環状道路」だが、未事業化区間は現在、1工区・約4.5kmを残すのみとなっている。ここからは、各区間の整備状況を詳しく見ていこう。

●南アルプスIC~笛吹川【開通済み】
中部横断道 南アルプスICから東側約10.6kmが開通済み。ただし、全線が立体化されているわけではなく、リニア中央新幹線駅予定地付近までの約7.3kmが高架主体で整備され、以東は一部に信号交差点が残る暫定形となっている(国道358号とは立体交差)。

この区間の開通により、甲府盆地南東部から東名・名古屋方面へのアクセスは大きく向上した。最後の工区は2022年に開通しており、現在もその先で延伸工事が進められている。

●笛吹川~国道20号【事業中】
2014年度に事業化された東部区間。完成すれば、国道20号の交通混雑は半減以下になると見込まれている。

現地では橋脚が次々と立ち上がり、南側では橋桁の架設や舗装工事まで進行。一方、盛土区間でも施工が本格化しており、立体交差用のボックスカルバート整備も進められている。

全体としては工事が大詰めを迎えつつあるものの、一部ではなお用地取得が続いており、現時点で開通時期は公表されていない。なお、国道20号とは笛吹川西側で立体接続し、「広瀬IC(仮称)」として整備される予定だ。ここまでは山梨県による事業区間であり、この先から国直轄区間へ切り替わる。

●国道20号~西関東連絡道路【事業中】
2016年度に事業化。「広瀬IC(仮称)」からJR中央本線をまたぎ、「桜井IC(仮称)」で西関東連絡道路へ直結する約2.0kmの区間だ。

現在は用地取得中で、取得率は2025年6月時点で約4割。一部ではすでに地盤改良工事なども始まっており、事業は徐々に進行している。

長大トンネルが連続する北部区間。全線開通の見通し

新山梨環状道路の北部区間。

新山梨環状道路の北部区間。

●桜井~塚原【事業化直後】
2024年度に事業化された約5.5kmの区間。ここから先は本格的な山岳部に入り、大部分がトンネル構造となる見込みで、有料道路として整備される可能性が高い。

特に、この工区では約4.8kmの長大トンネルがルートの大半を占める計画だ。西側の「塚原IC(仮称)」は、武田氏ゆかりの武田神社に近く、甲府駅から北へ約2.5kmという立地となる。

現在は調査・設計段階にあり、今後の地質調査結果や、実際の掘削時に判明する地盤状況によって、事業スケジュールは大きく左右されそうだ。

●塚原~牛句【未事業化】
約4.5kmのこの区間は、新山梨環状道路で唯一残る未事業化区間となっている。すでに都市計画決定や環境アセスメントは完了しており、事業化を待つ段階まで進んでいる。

こちらも大部分がトンネル区間となる計画だ。国の道路予算には限りがあるため、隣接する桜井~塚原工区と並行して整備する負担は大きく、実際の事業化は他区間の進捗後になる可能性が高い。

●牛句~宇津谷【事業中】
2004年度に着工準備区間に指定された、国道20号・中央自動車道側から延びる約5.0kmの区間。「牛句IC」は、「塚原IC(仮称)」とともに昇仙峡方面の玄関口となる計画で、将来的には甲府中心市街地を経由せず、北側エリアへ信号なしでアクセスできるようになる。

現在は調査・設計段階にあり、用地取得はほとんど進んでいない。事業化から9年後にようやく都市計画決定へ至るなど、全体として進捗は緩やかだ。リニア中央新幹線駅アクセスを担う南部区間と比べると、北部区間は整備の優先順位が低く、事業は長期化する様相を見せている。


このように、新山梨環状道路は甲府盆地の南東部から反時計回りに、段階的に北側へ延伸が進められている。まず注目されるのは、現在工事が進む国道20号までの先行開通だ。これが実現すれば、甲府東部の交通環境は大きく改善される可能性がある。

さらにその先、西関東連絡道路と接続する「桜井IC(仮称)」まで開通すれば、静岡方面と秩父方面を甲府中心部を経由せず結ぶ、新たな広域ネットワークが形成されることになる。今後の事業進展に期待が集まる。

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