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公開日:2026.05.13

新幹線のライバルに? 秋田~盛岡を最短で結ぶ「盛岡秋田道路」が前進。難所「仙岩峠」もバイパス事業化へ【いま気になる道路計画】

2013年に全線開通した「角館バイパス」終点付近

秋田・岩手両県の県庁所在地を最短で結ぶ、国道46号の高規格化プロジェクト「盛岡秋田道路」が進行中だ。なかでも難所とされる県境付近では、事業化に向けた概略ルートが決定されるなど、計画が大きく前進している。この注目工区を中心に、ルートの概要や整備効果、現在の進捗状況を見ていこう。

2013年に全線開通した「角館バイパス」終点付近

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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「盛岡秋田道路」は秋田~盛岡の最短ルート

盛岡秋田道路の概要

盛岡秋田道路の概要

日本海側の秋田市と太平洋側の盛岡市は、東北地方北部の主要都市である。どちらも人口約30万人を抱える県庁所在地だが、両市を直接結ぶ高速道路は存在しない。

鉄道では秋田新幹線が秋田~盛岡を結んでいる一方、高速道路は「秋田自動車道」として、秋田市~横手市・北上市を経由する別ルートとなっている。北上市は盛岡市から南へ約50kmに位置しており、両都市を最短で連絡するルートではない。

このため、秋田~盛岡の道路交通は、古くから国道46号が担ってきた。しかし沿線には山岳区間が多く、なかでも県境に位置する「仙岩峠」区間は厳しい線形が続く難所となっている。

こうした状況を受け、国道46号を全般的に改良し、「重要物流道路」としてセミトレーラーの通行を確保する高規格道路計画「盛岡秋田道路」が進められている。

2013年に全線開通した角館バイパス(小勝田ランプ付近)

2013年に全線開通した角館バイパス(小勝田ランプ付近)

「盛岡秋田道路」は、秋田県仙北市の秋田道 協和ICから、角館を経て、岩手県盛岡市の東北道 盛岡ICまでを結ぶ、延長約80kmにおよぶ大規模な道路整備計画だ。

これまで完成済みの主な工区は、2013年に開通した「角館バイパス」がある。角館中心部を北側から迂回する延長6.1kmの高架道路で、全線が立体交差化されており、信号なしで通過可能となっている。

そして現在、次の事業化に向けて動きが進んでいるのが、難所・仙岩峠の西側手前に位置する「生保内~卒田」工区だ。

「盛岡秋田道路」は秋田~盛岡の最短ルート

角館~田沢湖の山岳区間を抜ける新バイパス工区(生保内~卒田)

角館~田沢湖の山岳区間を抜ける新バイパス工区(生保内~卒田)

この工区は、旧田沢湖町内において、角館側から田沢湖側へ抜ける狭隘な山岳区間を改良するもので、延長は約11km。JR田沢湖線でいえば、神代~刺巻~田沢湖に相当する区間だ。

後述する「計画段階評価」により、概略ルートや構造の方針が決定されたばかりで、全線が新ルートによるバイパス整備となる。トンネルや高架橋を連続的に整備することで、急カーブを極力排し、田沢湖駅付近まで一気に到達できる構造となる予定だ。

一方、現道の国道46号は、全体的に路肩がほとんどないうえ、2車線がようやく確保された生活道路となっており、カーブやアップダウンが連続している。

特筆すべきは、この区間が「国道46号で降雪量が最多」とされる年平均636cmの豪雪地帯であることだ。年平均降雪日数も70日に達しており、路幅が狭いため除雪幅を確保しにくく、冬季はドライバーにとって厳しい走行環境となる。

あるドライバーが「秋田道よりも事故や雪による通行止めが少なく、信頼できる」と語るほど、国道46号は物流面で重要な大動脈となっている。しかしその一方で、路面冠水や土砂崩れ、除雪作業に伴う予防的通行規制など、寸断実績の多い不安定なルートであることも事実で、本工区の整備優先度は特に高いとされる。

さらに、秋田~角館~田沢湖を結ぶ周遊観光ルートの効率化に加え、世界シェア約2割を占める温度センサーを製造する工場の出荷ルート安定化、秋田道の代替となる緊急輸送道路の確保など、高規格化に期待される役割は多岐にわたる。

角館~田沢湖がさらに便利に。今後の計画はどうなる?

角館~田沢湖の山岳区間は有数の豪雪地帯

角館~田沢湖の山岳区間は有数の豪雪地帯

盛岡秋田道路「生保内~卒田」工区の現状だが、2025年12月の第3回計画段階評価により、概略ルートと構造の方針が決定したばかりだ。現在は事業化に向け、都市計画決定や環境アセスメントの手続きが進められている。

計画段階評価では、「全線バイパス案」と「南側で現道拡幅+北側でバイパス整備案」の2案まで絞り込まれ、比較検討の結果、全線バイパス案が採用された。沿線家屋への影響を抑えられることに加え、よりシンプルでカーブの少ない線形を確保でき、設計速度80km/hに対応可能となる点が主なメリットだ。

今後の大きなトピックは、いよいよ「事業化決定」のアナウンスとなる。環境アセスメントの進捗や他事業との優先順位、予算状況にも左右されるが、早ければ2027年春、遅くとも2~3年以内には事業化される可能性もある。

その次の焦点として浮上しそうなのが、東隣に位置する仙岩トンネル周辺工区の具体化だ。仙岩トンネルは1976年の開通から半世紀が経過しており、老朽化への抜本対策として、「現代の高規格道路水準で作り直す」議論が本格化する時期に差しかかっているためだ。実際、山梨県の国道20号「新笹子トンネル」でも、1958年完成の旧トンネルが築約70年を迎えることから、2024年に新トンネルの掘削が始まっている。

並行する新幹線でも新ルート構想が議論されている、秋田~盛岡の最難所区間。「盛岡秋田道路 生保内~卒田」は今後、どのような高規格道路として進展していくのか、引き続き注視していきたい。

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