「好き」でつながる90台。「第3回 YOKOHAMA Car Session」レポート。クルマは“自己表現”へ
“35歳以下”限定というユニークなルールで注目を集めるカーミーティング「YOKOHAMA Car Session」。第3回となる今回は、横浜みなとみらい臨港パークを舞台に開催され、ジャンルや年代を超えた多彩なクルマたちが集結。元スバルのカーデザイナー渕野健太郎さんが、今どきのカーカルチャーの姿を追ってきました。
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目次
第3回 YOKOHAMA Car Session開催!
よく晴れた3月の朝。パシフィコ横浜に隣接する「横浜みなとみらい臨港パーク」に、個性あふれるクルマたちがゆっくりと集まり始めました。
この日開催されたのは、今回で第3回を迎えた「YOKOHAMA Car Session」。35歳以下限定という少しユニークなルールを設けたカーミーティングですが、車種や年式、ジャンルには一切制限がありません。スポーツカーからクラシックカー、国産車から輸入車、さらには日本未導入のレアモデルまで、実に幅広い90台が並びました。
共通しているのは、「クルマが好き」という気持ち。それだけで、会場には自然と一体感が生まれていたのが印象的でした。
YOKOHAMA Car Sessionの発起人である後藤和樹さん。愛車はいすゞ「ピアッツァXE」です。
イベント主催者のひとりである甲野大輔さん。愛車はホンダ「S2000」です。
イベント主催者のひとりである本田浩隆さん。愛車はシトロエン「BX19TZi」です。
全員が主役。絶好のロケーションで盛り上がるクルマ談議
今回のイベントの大きな魅力のひとつが、会場となったパシフィコ横浜の屋外エリアにある「横浜みなとみらい臨港パーク」のロケーションです。横浜の港を一望できる開放的な空間で、すべての展示車両の背後には海が広がります。実は、ここで自動車を展示するイベントは前例がない試みだったそうですが、その効果は絶大でした。
どこでシャッターを切っても背景には海があり、どのクルマも自然と“主役”に見える。そんな特別感が、このイベントの価値をさらに引き上げていました。
2025年に横浜赤レンガ倉庫で開催された時も取材したのですが、その時と同様にまず感じるのは「カテゴリーに縛られない空気」です。かつてのカーミーティングにあったような、同じ車種・同じスタイル同士で集まる感じではないんですね。
旧車も最新車も、高級車も大衆車も関係なく、気になったクルマには自然と人が集まり、「そのクルマいいね」と気軽に声をかけ合う。多様性を認め合うというか、フラットで共感ベースのコミュニケーションが当たり前のように成立しています。
イベント会場の誘導は、YCSと親交のあるクルマ好きの仲間たちが担当。運営にも慣れている様子で、安心感のある対応が印象的でした。
どうですか、このロケーション! アングルを変えればレインボーブリッジも映ります。一直線に約90台のクルマが並ぶ会場で、とても見やすかったです。
規則正しく、それでいてジャンルが異なるクルマが並ぶ様が面白いですね。
若者はクルマ好きじゃない? 現場は真逆だった
「若者のクルマ離れ」と言われることが多いですが、この場所に来るとそのイメージは大きく覆されます。むしろ、「好きな人はとことん好き」。何台も乗り継いでいる人、海外から苦労して持ち込んだ人、あえて維持費の高いクルマを選ぶ人。参加者の話からは、その熱量の高さがひしひしと伝わってきます。
一方で、親がクルマ好きだったという人も多く、そうした価値観が世代を超えて受け継がれている点も印象的でした。
また、普段は堅実で節約志向の人が多いことも特徴です。それでも、自分の好きなクルマにはしっかりお金をかける。このメリハリのある価値観は、今の若い世代らしさをよく表しているように感じます。さらに、SNSでつながりリアルで会うというスタイルも自然に定着しており、友人同士で参加している人の多くが「最初はSNSがきっかけ」と話していました。
クルマは単なる移動手段やステイタスシンボルではなく、「自分の好き」を表現する特別な存在へと変わりつつあるのかもしれません。
なお、今回の参加車両は90台に絞られましたが、その中でも、今回で参加資格を失う“35歳ギリギリ”の方が優先的に声掛けしたとのこと。閉会後には、そうした参加者を中心に“卒業写真”の撮影も行われ、イベントの温かい一面を感じさせるシーンとなっていました。
YOKOHAMA Car Sessionの参加資格ギリギリである35歳のオーナーさん達は、今回で卒業とのこと。これから先もステキなカーライフを送ってくださいね。
オーナーは若いのにクルマは若くない。そこに見えるヒント
しかしここで、少し気になる傾向も見えてきます。
会場に集まったのは35歳以下の若い世代ですが、並んでいるクルマの多くは80〜90年代のモデルであり、いわゆるヤングタイマーが中心。他にはさらに古い欧州車の存在が際立っていました。つまり、多くの若者が「現代のクルマ」に強い魅力を感じているわけではない、という見方もできます。
しかも、それは単純にお金の問題ではありません。実際、参加者はクルマにしっかりとお金と手間をかけています。だからこそ、今のクルマがデザインや体験としてどれだけ魅力的に映っているのか気になります。その辺りは元作り手であった私にとって無視できないものですが、集まっているクルマを見ることで今後のヒントにもなりそうですね。
今回のYOKOHAMA Car Sessionが示していたのは、若者でも熱狂的にクルマが好きな人がいる、ということです。またそれぞれが共感し合う文化はこれまで無かったもののように思います。
この肩肘張らないフラットな空気感は、これからのクルマ社会に新しい可能性をもたらしてくれそうです。
イベントにはカーグラフィック代表取締役社長の加藤哲也さんも来場し、閉会式ではスピーチをされていました。
閉会式後は、参加者一人ひとり(1台ずつ)に挨拶を交わしながら見送るYCSの3名。その場にいる全員が笑顔に包まれていました。




