鹿児島~大隅半島を結ぶ「大隅縦貫道路」がまもなく延伸開通! 約50kmにおよぶ計画の一部「吾平道路」が完成【いま気になる道路計画】
九州最南端へと延びる大隅半島。そのアクセス向上を目的に整備が進められているのが「大隅縦貫道路」だ。鹿児島県と大隅半島南部を結ぶ南北軸として計画されている。そのルートや整備のメリット、現在の進捗を見ていこう。
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「大隅縦貫道」は東九州道からさらに南へ伸びる新道路
大隅縦貫道の概要。
離島を除いた日本本土の最南端に位置するのが、鹿児島県の「大隅半島」だ。九州を二本足に例えると、向かって右側にあたる。
大隅半島のスケールは大きく、足の付け根にあたる霧島市(旧国分市)から半島最南端の佐多岬までは約120km。県南東部の主要都市で、国際港を擁する志布志(しぶし)市からでも90kmの距離がある。先端部に近い湾沿いには錦江町、南大隅町があり、対岸の指宿市とはフェリーで結ばれている。
こうした地理条件もあり、大隅半島先端部には長らく高規格道路が未整備で、アクセス性に乏しいエリアだった。そこに近年、アクセス性の改善を目的に整備が進んでいるのが「大隅縦貫道路」である。
大隅縦貫道は東九州自動車道と一体となり、地域交通ネットワークを形成する。
「大隅縦貫道」は、東九州自動車道が南下したのち志布志方面へ進路を変える「鹿屋串良(かのやくしら)JCT」から分岐し、さらに南へ約53km伸びる計画だ。地域高規格道路として整備されるため、信号のない自動車専用道というよりは、一般的なバイパス道路に近い性格を持つ。
ルートは半島の内陸部を縦貫する構想で、錦江湾(きんこうわん)沿いの国道269号ではなく、鹿児島県道68号を軸に機能強化を図るものだ。県道とはいえ、佐多岬まで続く全長約100kmもある主要地方道であり、現道は山間部にカーブが連続する区間も多い。
まずは1期区間として、旧田代町付近までが事業化されており、そこから南の佐多岬方面は調査区間にとどまっている。ひとまず東西軸の国道448号へ接続することで、半島東西の交通需要を受け止める基盤となる。
大隅縦貫道の整備目的は、大きく取り残されてきた半島地域の道路アクセスを改善し、緊急輸送機能の確保や災害時の寸断リスクを低減することにある。いわば地域の強靭化がメインだ。
これに加えて、大隅半島特有の事情として「畜産業の安定化」という重要なテーマがある。家畜の飼育には安定した飼料供給が不可欠であり、長距離かつ脆弱な道路網のどこかが寸断されれば、産業全体に深刻な影響を及ぼしかねない。
国のデータによると、肉牛と豚の産出額は鹿児島県が全国トップを誇り、その約半分が大隅エリアに由来している。つまり、この地域の輸送安定化は、単なるローカル課題にとどまらず、日本全体の食料供給にも関わるインパクトを持つ。こうした背景から、鹿児島県の中長期目標「かごしま未来創造ビジョン」でも、本路線は重点事業の一つに位置づけられている。
「吾平道路」が2026年3月20日に開通!ますます便利に
大隅縦貫道の最初の区間は2014年に開通した。
大隅縦貫道の整備はどこまで進んでいるのだろうか。
大隅縦貫道の最初の開通は2014年。加治木方面から延伸してきた東九州道が「曽於弥五郎(そおやごろう)IC」から一気に「鹿屋串良JCT」まで南下したタイミングで、「笠之原IC」までの約6.1 kmが一体的に開通した。その後、2021年に東九州道が「志布志IC」まで開通したことで、大隅縦貫道は東九州道から分かれる「支線」状態になり、現在に至る。
もともと鹿屋市には「旧国鉄大隅線」が通っていたが、道路網の整備が不十分なまま1987年に廃止された。これを受けた地元の強い要望により、1997年から道路整備事業が本格化。約17年を経て最初の区間が開通し、大隅半島の中心都市である鹿屋が高速道路ネットワークに組み込まれたのだ。
「笠之原IC」以南の状況を見ると、ICを降りた先の国道220号、県道68号は4車線で整備済み。この区間は、大隅縦貫道としては「現道活用区間」として位置づけられ、新設は行わず既存道路を活用する扱いとなっている。
吾平道路の事業概要。
新ルートの整備が進むのは、さらに約7km南下した旧吾平(あいら)町内だ。「吾平道路」として市街地を西側へ大きく迂回するバイパスで、2026年3月20日に開通予定となっている。
「吾平道路」は、2車線ながら両側に歩道を備えたゆとりのある構造で、他の県道とは立体交差する計画。生活交通と通過交通が分離されることで、地域の安全性と走行性の向上が期待されている。
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