【フォト&動画】同乗試乗レポ第4弾【後編】「デロリアン」や「ハチロク」
トヨタのクルマの無料テーマパーク・MEGA WEBで8月25日・26日に開催された、ヒストリックカー同乗試乗会。その前編では、トヨタ「2000GT」とフェラーリ「ディーノ」のエンジン音や走行の様子を動画で紹介した。
続いての後編は、往年の人気映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでタイムマシンとして活躍したデロリアン「DMC-12」(1981年式)、今回走った中では最も年式の古いGMのキャディラックブランドの「シリーズ62」(1959年式)、現在も7代目が最新モデルとして販売されているGMシボレー・ブランドの「コルベット・スティングレイ」(1963年式)と、コミック「頭文字(イニシャル)D」で中古車市場ができるほど人気が沸騰した”ハチロク”の仲間、トヨタ「カローラ レビン GTV (AE86)」(1984年式)にフォーカスだ。
さぁ、「デロリアン」でタイムトラベルに出発だ!?
普通はドアを閉じて撮るものだが、ガルウィングドアをフルオープンで撮影してこそデロリアン。
まず、デロリアンから。同車は外見からは見えないのだが、乗り込んでみると、フロントウィンドウの傾斜がきつくて上下の視野が予想以上に狭いのに驚かされる。
また、記者のように座高がある人間が乗ると、シートを目一杯下げて少し寝かさないと、ガルウィングドアを閉じるときに頭頂部をぶつけてしまうぐらい、天井が低かった(全高は約1140mm)。
え!? 過去にも未来にも行けない!? そんなバカな!!
ちなみにMEGA WEBの広報さんに確認をしたが、「よく聞かれるんですけど、残念ながらうちのデロリアンにはタイムトラベル機能は搭載していないんですよね」とのことであった。トヨタでこっそり開発してボルトオンしているのではと思っていたのだが、リヤのエンジンルームも、フロントのトランクルームも見せてもらったが、タイムトラベルできそうなシステムは本当になさそうである。
しかしそれでも記者は食い下がり、ドライバーの方にこっそり直接交渉。時速90マイル(約140km、なお正確には時速88マイルでよい)出してくださいとお願いしてみた。しかし、デロリアンで90マイルまで出したらライドワンのコース上で止まり切れないので、過去だろうが未来だろうがフェンスの先に道はないので、カンベンしてくださいとのことで、結局確かめられなかった。
なお、デロリアンは25日の試乗会中に燃料ポンプの不調が発生。ライドワンのピット前で、ヒストリーガレージ所属のマイスター(記者が生まれた頃には、すでにレースの現場でメカニックとして活躍していたようなスーパーベテラン)の方々が修理に臨むも、その場では無理なことが判明し、ピットに戻って本格的な修理を実施。そして、26日には無事走っていた。
また、MEGA WEBはバック・トゥ・ザ・フューチャーファンのメッカとなっているようで、なんとこの2日間、ファンのグループがコスプレしたりホバーボード風のタイヤのないスケードボードなどの小物を持ったりして駆けつけ、予約枠をほぼ埋めていたそうである。
マイスターのひとりで、斉藤忠夫氏がチェック中。斉藤氏は1965年から1989年までトヨタのレーシング部門TRD(旧特殊開発部)に所属し、なんと2000GTを開発したひとり。今はヒストリーガレージでトヨタ車以外もすべて面倒を見ている。
ヒストリックカーイベントは、予定していたラインナップの内1台ぐらいは途中で調子が悪くなるクルマが出てしまうそうである。
なお前編でも掲載したが、2000GTの助手席から撮影した、デロリアンの走行する様子を撮影した動画を再掲載しておく。また、デロリアンのエンジン音を聞ける、助手席に乗った際の動画は、2ページ目のキャディラックのところで掲載しているので堪能してみてほしい。
トヨタ2000GTから撮影したデロリアン。トータル時間は7分2秒。
フォトアルバムはこちら。記事で掲載したものよりも一回り大きい900×600サイズの画像を全13点収録。
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続いては今回走った中では最も古い「キャディラック」!
アメ車の中のアメ車! GM「キャディラック シリーズ62」
続いては、GMの高級ブランドの「キャディラック」の「シリーズ62」だ。1959年式で、記者より10歳も年上である。そんなクルマが元気に走っているのは驚きだ。ちなみに、ヒストリーガレージのマイスターたちの職場であるピットに入れるのも大変だったそうだが、リフトで持ち上げるのもギリギリだったらしい。レストア作業、メンテナンスがとても大変な1台である。
同車の特徴は、もうご覧の通りで、とにかく全長がある。ノーズ部分も長ければ、テール部分もあり得ないぐらい長く、正確な資料がないのだが、少なくとも5m半から6m近くはある模様。普通の駐車場なら2台分のスペースを使って斜めに止める必要がある。全幅も軽く2m以上あり、前席でもドライバーを入れて3人掛けが可能だ(助手席に2人座れる)。
シリーズ62はロケットエンジン装備でジェットを噴射!?
とにかくあちこちを見ていてあっけにとられるが、まずフロント部分が強烈。クロームの巨大なバンパーは陽光の下だとギラギラで目が痛いほど。また同じくクロームのグリル部分も見つめていると、もうめまいがしてくる。その両脇の8つ目ライトも強烈で、往年のラリーカーの4連フォグランプにも負けないような迫力がある。
さらに、テール部分のデザインも普通はあり得ない。ロケットかジェット機かという具合で、ブレーキランプから火を噴いてもおかしくないぐらいの雰囲気がある。
ともかく、最小回転半径はいったいどれぐらいなのだろう? と自分が運転することを考えたら不安になるほど。ライドワンのコース、特にMEGA WEBの3施設ある内の東側の「ライドスタジオ」近辺の、きつめのコーナーをしっかり曲がれるのか心配だった。しかし、そこはプロ。こすりそうでこすらずにしっかりと抜けていた。
また、動画はデロリアンの助手席から撮影したもので、1ページ目で説明した通り、デロリアンのエンジンサウンドも堪能できる。
デロリアンの助手席から撮影した、キャディラックの走り。トータル時間は6分5秒。
フォトアルバムはこちら。900×600サイズの画像を全10点収録。
地上を走るエイ!? 「コルベット・スティングレイ」
コルベット・スティングレイ。これまたアメ車らしい雰囲気を持つ1台。
2016年現在、7代目までを数えるコルベットの内、この2代目とがスティングレイと呼ばれている(7代目のグレードの内で「Z51」も2代目にあやかってスティングレイをモチーフにしており、それを表すためスティングレイ型エンブレムも取り付けられている)。スティングレイとは、毒針を持っている種類のエイの仲間を指す英語で(スティングが針などで刺す、レイがエイ)、後方から見ると特に生物的な特徴的なデザインをしている。
ちなみに25日のMEGA WEB開館前のテスト走行後に、緑色の液体が車体下面から流れてきたので、「すわ、故障か!?」と思われたが、マイスターに確認したところ、ラジエター液を多めに入れすぎたことによる、単にあふれてきただけのことだったらしい。余分な量があふれきったら止まっていたので、問題なく走行していた。
今のクルマの3次元曲面とはまた違った、味のある曲面で構成されている。生物っぽいのだ。
ちなみにスティングレイのエンジン音は、今回走った中でも結構迫力があり(もちろん、回転数を抑えめにして走っていたクルマもある)、「ドロドロドロ…」と聞こえる低音は心に響くものがあった。
前編で紹介した、ディーノを後方から撮影した動画は、このスティングレイからのものだ。今度はスティングレイのエンジンサウンドに注意を払ってほしいので、ここでも再掲載しておく。
なお、スティングレイのすぐ1台後方はアルファロメオ「1600 スパイダー・デュエット」(1966年式)だったが、こちらは同乗試乗が叶わなかったため、スティングレイを真後ろからは撮影できていない。
コルベットのエンジンサウンド。前方を走るのは、ディーノ。トータル時間は5分57秒。
フォトアルバムはこちら。900×600サイズの画像を全10点収録。
あのハチロクと兄弟車の「カローラ レビン」
そのままドリフトしそうな勢いのカローラ レビン。4A-GUEのエンジンサウンドがやはりすばらしい。
そして中編の最後は、中編で唯一の日本車で年式も1983年と最も新しいレビン。レビンもAE86なので、いわゆるハチロクなのだが、ご存じ超人気コミックス「頭文字(イニシャル)D」で主人公の藤原拓海が操っていた”藤原とうふ店”号は、説明するまでもないが、トヨタ「スプリンター トレノ」である。
レビンとトレノでは若干形状が異なるが、型式は同じAE86で、兄弟車種である。劇中でレビンは、ライバルの1人である秋山渉の愛車として登場した(最初はターボをボルトオン、後にスーパーチャージャーをボルトオン)。
厳密には、秋山渉のレビンは最上級グレードの「GT-APEX」なので、今回のGTVはそのひとつ下。カラーリングも異なる(秋山渉のレビンは藤原とうふ店号と同じ白黒のハイテックツートン)。ただし、エンジンは同じA4-GUEだ。
シンプルな直線で構成された、80年代の日本車ならではのデザインがこれまたかっこいい。
聞け! A4-GUEの雄叫び!!
動画は、前編で2000GTを後方から撮影した際のものだが、改めて掲載しておく。ドライビングを担当してくれたのはVitzレンジャー(記者、MEGA WEBでまたもや仰天。同乗試乗レポ、今度はVitz!)のVitzブルーこと田ヶ原章蔵(たがはら・しょうぞう)選手だ。同選手が、アクセルをかなり踏んでくれるので、動画でぜひA4-GUEの雄叫びを聞いてほしい。
またVitzレンジャーで一番のトーク力を持つともいわれる田ヶ原選手が、動画の中で自身とハチロクとの長いつきあい、そして熱い想いを語ってくれるので、それも必聴。ハチロク使いの田ヶ原選手ならではの言葉は重みがある。
なお、レビンの後ろはハコスカ(日産「スカイライン 2000 GT-R」)だったが、これは大人気ですぐに枠が満員となってしまったため、今回は同乗試乗できず。残念ながらハチロクを後ろから見たところは撮れなかった。
カローラ レビンの助手席から撮影。前方は2000GT。トータル時間は7分14秒。
それから、もちろん読者の方はご理解していただいているとは思うが、念のために蛇足ながら付け加えておくと、あくまでも「頭文字(イニシャル)D」はマンガやアニメのフィクションであり、現実の一般道で同じような無茶はしてはダメだ。道交法やマナーをきちんと守り、安全運転でドライブを楽しもう。
この記事は走り屋的行為をあおっているわけではなく、あくまでもフィクション作品をファンとして楽しむ目線で書いたものなので、現実の一般道でドリフトしようなどと考えないように。どうしてもレーシングスピードで走りたいのなら、そのときはきちんとライセンスを取って、サーキットの走行会などで安全に走るようにしよう。
フォトアルバムはこちら。900×600サイズの画像を全10点収録。
最後の後編では、今回同乗試乗が叶わなかった車種、展示はされたけど走行は行われなかった車種などを紹介する!
2016年9月1日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
フォトアルバム
●デロリアン「DMC-12」(1981年式)(サイズ900×600:全13点)
●GM「キャディラック シリーズ62」(1959年式)(サイズ900×600:全10点)
●GM「シボレー コルベット・スティングレイ」(1963年式)(サイズ900×600:全10点)
●トヨタ「カローラ レビン GTV (AE86)」(1984年式)(サイズ900×600:全10点)
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