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最終更新日:2018.12.10 公開日:2018.12.10

【JNCAP2018】前期、衝突安全・全4車種の得点の詳細(動画あり)

国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している「自動車アセスメント(JNCAP)」。 2018(平成30)年の前期の評価結果が11月29日に発表された。 予防安全と衝突安全の2種類の評価試験のうち、ここでは衝突安全の全4車種を、総合得点順にランキングにて紹介する。 合わせて、各車の評価試験の様子も動画で紹介する。

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 JNCAP2019年度後期が2020年5月27日に発表されました。2019年度後期の衝突安全性能についての記事はこちらからご覧ください。また2019年度に衝突安全性能評価を受けた全16車種の衝突試験の動画については、こちらをご覧ください。


 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が毎年発表している、「自動車アセスメント(JNCAP)」。2018(平成30)年の前期の評価結果が11月29日に発表された。

 評価試験は大別して、「予防安全性能評価」(予防安全)と「衝突安全性能評価」(衝突安全)の2種類がある。被害軽減(自動)ブレーキのように、事故を未然に防ぐための技術の性能を評価する予防安全の結果については、別記事『JNCAP2018予防安全ランキング! 10車種全11グレードを総合得点順に紹介。1位になったのははたして!?』をご覧いただきたい。

 ここでは、実際に衝突事故が起きた際の、乗員や衝突された歩行者の安全性を評価する衝突安全を取り上げる。2018年前期は、4車種が評価された。総合得点順にランキングにて紹介し、併せて過酷な衝突安全の評価試験を収録した動画も紹介する。車種は、以下の通りだ。

【スズキ】
・クロスビー

【トヨタ】
・カムリ
 ※アルティス(ダイハツ)を含む

【ホンダ】
・オデッセイ

【三菱】
・エクリプス クロス

2018年度からは総合得点が208点満点から100点満点に!

 ランキングの掲載をする前に、2018年度の衝突安全について説明する。今年度最大の特徴は、総合得点が2017年度までの208点満点から100点満点になったことだ。これは、2020年度に衝突安全と予防安全を統合するという計画があり、それに備えた変更という意味もある。

 しかも、単純に208点満点を100点満点にしたわけではない。評価項目として、「歩行者保護性能評価」(歩行者保護)、「乗員保護性能評価」(乗員保護)、「シートベルトの着用警報装置」(シートベルト着用)の3種類は変わらないが、2017年度までとは重みづけが変わったのである。

 これまでの208点満点の内訳は、歩行者保護が100点、乗員保護が100点、シートベルト着用が8点で、歩行者保護と乗員保護はイーブンだった。しかし、今回は根本となる社会損失額の考え方の基準が改められ、歩行者保護が37点、乗員保護が59点、シートベルト着用が4点となり、乗員保護に重きが置かれたのである。

各種試験の条件やダミー人形も2017年度までとは変わった!

 乗員保護性能評価試験には、3種類の衝突試験がある。正面衝突の「フルラップ前面衝突試験」(フルラップ)、運転席側だけが衝突する「オフセット前面衝突試験」(オフセット)、右真横から衝突される「側面衝突試験」(側突)だ。実際に、車両をクラッシュさせる過酷な試験だ。

 衝突試験では必ず運転席にダミー人形が座り、さらにフルラップでは助手席に、オフセットでは後席にもダミー人形が座らされる。そしてこれらのダミーの頭部、頚部、胸部、腹部、下肢部のセンサーで衝撃を計測しているのだ。各部の傷害値や、クルマのキャビンの変形を基に、乗員保護性能の度合いが5段階評価を受けるのである。

 フルラップで変更されたのが、助手席のダミー人形だ。これまでは、運転席も助手席も米国製「ハイブリッドIII」の成人男性型(身長175cm・重量約78kg、付属物を含めると約85kg)が使用されてきた。2018年度からは、助手席にはより小柄な成人女性型(身長150cm・重量約49kg、付属物を含めると試験時は約54kg)が使用されることとなった。

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2018年前期の衝突安全評価試験を受けた三菱「エクリプス」の衝突安全性能評価の動画のひとコマ。フルラップを真正面から撮影したもので、助手席のダミー人形がドライバーよりも小柄なのがわかる。この成人女性型は、オフセットでは後席に座らされる。

 そして側突では、評価車両の側面に実際に衝突するクルマを模擬した台車の重量が変更され、2017年度までの950kgから1300kgとなった。現在の車両で1トンを切るクルマというと非常に軽量な部類になるため、実情に合わせての変更といえる。

 さらに、ドライバー役のダミーも変更。側面衝突のみ従来の欧州製「ES:2」の成人男性型(身長170cm・重量約72kg、付属物を含めると試験時は約78kg)から、従来よりも人間に近づけて開発された側面衝突試験用ダミー「WorldSID(ワールドシッド)」の成人男性型(身長175cm相当・体重約74kg)となった。

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側突試験を受けるトヨタ「カムリ」。衝突試験の動画から、台車が「カムリ」の側面に衝突した瞬間。2017年までの台車は950kgしかなく、現在のクルマとしてはかなり軽量の部類に入る。2018年度からは1300kgの台車が使われるようになり、実情に近くなったった。

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運転席に座っているのが、2018年度から導入された側突用のダミー人形「WorldSID」の成人男性型。側面から衝撃を受けたときの人の身体の動き方により近づけられている。

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衝突安全の得点順にまずは1位と2位を紹介!

衝突安全性能評価試験2018年前期ランキング

 総合得点の高い順にランキングにして発表する。100点満点に変更された関係で、5段階評価のスターレイティングも以下の通りに変更となった。

★★★★★ 82.0点以上~
★★★★  72.5点以上~82.0点未満
★★★   63.0点以上~72.5点未満
★★    53.5点以上~63.0点未満
★     ~53.5点未満

1位:エクリプス クロス(三菱)

合計89.7点 ★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護29.96点 乗員保護:56.96点 シートベルト着用:2.83点

試験に使用されたグレード:G

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三菱の小型クーペSUV「エクリプス クロス」。新型車として2018年3月から発売を開始した。項目別の得点は、歩行者保護で4車種中1位、乗員保護で2位、シートベルト着用で1位だった。モータースポーツジャパン2018にて撮影。

 「エクリプス クロス」の衝突安全性能の根幹をなすのが、三菱の衝突安全強化ボディ(基本フレーム)「RISE(ライズ:Reinforced Impact Safety Evolution)」だ。歩行者保護としては、頭部の傷害を低減するためにボンネット部やカウルトップ、ワイパーなどにエネルギー吸収構造を採用。同様に脚部に対しては、バンパーフェースやヘッドランプなどにエネルギー吸収構造が採用されている。乗員保護としては、7種類のエアバッグを全車標準装備するほか、キャビン内のルーフサイド、ピラートリム、クォータートリムに、乗員頭部への衝撃を緩和する構造などがある。

「エクリプス クロス」の衝突安全評価試験の動画。提供:自動車事故対策機構(NASVA)

 

2位:カムリ(トヨタ)

合計85.5点 ★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護:26.32点 乗員保護:57.21点 シートベルト着用:2.00点

試験に使用されたグレード:G

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2017年7月にモデルチェンジし、10代目が登場したトヨタ「カムリ」。ダイハツにOEM供給されており、「アルティス」も同性能を有する。項目別の得点は、歩行者保護が4位だが、乗員保護で1位、シートベルトは同順位の2位。MEGA WEBにて撮影。

 トヨタ「カムリ」のボディに採用されている基本フレームは、トヨタの衝突安全ボディ「GOA(ゴア:Global Outstanding Assessment)」。衝突時の衝撃を効率よく吸収・分散する構造となっている。歩行者の頭部保護のためにボンネットやフェンダー、カウルトップなどが、脚部保護のためにフロントバンパーなどオーナメントから下の前面下部も衝撃吸収構造となっている。乗員保護としては7つのエアバッグが設定されている。またハイブリッド車として、衝突後の感電保護性能評価試験も受けて評価基準に適合している。

「カムリ」の衝突安全評価試験の動画。提供:自動車事故対策機構(NASVA)

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続いて3位・4位!

3位:クロスビー(スズキ)

合計85.2点 ★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護:29.25点 乗員保護:54.02点 シートベルト着用:2.00点

試験に使用されたグレード:HYBRID MZ

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スズキ「クロスビー」。ワゴンとSUVを融合させた小型クロスオーバーワゴンとして、2017年12月にデビューした新型車。項目別の得点を見てみると、歩行者保護で2位、乗員保護で4位、シートベルト着用は同順位の2位。モータースポーツジャパン2018にて撮影。

 基本フレームとして採用されているのが、スズキの軽量衝撃吸収ボディ「TECT(テクト:Total Effective Control Technology)」だ。歩行者の頭部と脚部へのダメージを軽減するため、ルーフからフロントバンパーまで、前面部分の多くの箇所が衝撃吸収構造となっている。乗員保護としては6つのエアバッグを採用。また、キャビン内のルーフサイドとセンターピラートリム、クォータートリムも衝撃緩和構造となっており、乗員頭部へのダメージを軽減。さらに前席のヘッドレストとシートバックは、後方から低速で追突されたときに体全体を包み込むように受け止める、頚部衝撃緩和構造となっている。

「クロスビー」の衝突安全評価試験の動画。提供:自動車事故対策機構(NASVA)

 

4位:オデッセイ(ホンダ)

合計83.9点 ★★★★★(ファイブスター)

歩行者保護:26.61点 乗員保護:55.30点 シートベルト着用:2.00点

試験に使用されたグレード:HYBRID ABSOLUTE・Honda SENSING EXパッケージ

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ホンダのミニバン「オデッセイ」。現行モデルは5代目で、2013年10月に登場。その後、数回にわたってマイナーチェンジが行われた。項目別の点数状況は、歩行者保護と乗員保護が3位、シートベルト着用は同順位の2位。ホンダウェルカムプラザ青山前にて撮影。

 「オデッセイ」はボディの基本フレームとして、衝突時の衝撃(G)をコントロールするホンダの衝突安全技術「G-CON(ジーコン)」を採用。さらに、ボディは歩行者傷害軽減仕様となっている。乗員保護の点では、エアバッグはホンダ独自に開発された、さまざまな衝突状況や多様な乗員の体格に対応するエアバッグを全グレードに標準装備。またハイブリッド車として、衝突後の感電保護性能評価試験も受けて評価基準に適合している。

「オデッセイ」の衝突安全評価試験の動画。提供:自動車事故対策機構(NASVA)

2018年12月7日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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