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最終更新日:2017.10.02 公開日:2017.10.02

時代を超えた存在感。60年代の英国製スーパーカー”ACコブラ・レプリカ” 「AK427」を見た!

1970年代に倒産した英国の自動車メーカー・ACカーズが、米国人レーサーのキャロル・シェルビーと合作したのが「ACコブラ」。今回紹介するのは、そのレプリカ車キットとして高名なAKスポーツカーズの「AK427」シリーズの最新製品「Generation III “Supa Lite” Body/Chassis」。ただし、年間に5台しか生産されないという同社工場で組み立てられた「ファクトリービルド」版だ。

 「コブラ」といえば、1960年代生まれの英国製スーパーカー。同年代のスーパーセブン(ケーターハム)などと並んで、「一度はその走りを体感してみたい!」と思うクルマ好きの多い、高い運動性能とグラマラスなデザインが特徴的な、オープンカースタイルのスーパーカーである。

 「コブラ」は、少々異色の経歴を持つクルマだ。元々は、1900年代初頭に誕生した英国最古の自動車メーカーのひとつとされるACカーズが、1953年にベースとなる「ACエース」を開発したところから物語は始まる。

 その「ACエース」の性能に惚れた、ル・マン24時間レースの勝利経験もある米国人レーサーのキャロル・シェルビーがACカーズと契約。シェルビーが調達したフォード製V8エンジンを搭載することで、「コブラ」は誕生したのである。このオリジナルは、「ACコブラ」という。そして、60~70年代初頭の欧米のモータースポーツで大活躍した。

 しかし、そんな「ACコブラ」の活躍にもかかわらず、ACカーズは70年代台後半に倒産してしまう。その結果、「ACコブラ」もそのまま歴史から消えていく運命かと思われたが…。

フロントビュー。ACカーズが製造したオリジナルの「ACコブラ」は総数が1000台に満たなかったという。そのため、現代では程度のよい車両はオークションではなんと数億円の価格で取り引されるほどになっている。

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メーカー倒産の憂き目に対し「ACコブラ」の運命は…!?

「コブラ」は死なず! シェルビーで現在も生産

サイドビュー。とてつもないパフォーマンスと同時に、ファンはこの曲線美も愛してやまない。

 製造メーカーであるACカーズの倒産。「ACコブラ」もそれと共にするのかと心配されたが、そこで終わらなかった。「ACコブラ」の商標や技術資料などはオートクラフト社に譲渡され、後継車の生産が続けられることになったのである。

 しかし、それを不服に感じたのがキャロル・シェルビー。「コブラ」の名(商標権)を巡って裁判を起こしたのである。そしてシェルビーが勝利し、「コブラ」の名を独占的に使用できる権利を獲得することに成功。それにより、シェルビーの名を冠する米国の小規模な自動車メーカーだけが、現在でも「コブラ」の名をつけて販売しているというわけだ(こちらは「シェルビー・コブラ」と呼ばれる)。一方、オートクラフト社は「AC」の名を使うことは認められている。

 ただし、今回紹介している1台はまた少し異なる。「コブラ」の名も「AC」もついていないが、1980年代以降、同車を巡る新たな潮流が世界的に起きてくる中で誕生してきた1台なのである!

リアビュー。まさに曲線美。外見はこんなに丸いのに、パフォーマンスはとんでもなくとがっているのが「コブラ」の特徴。

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世界的に求められた「ACコブラ」の復活は遂に!

世界的な「ACコブラ」のレプリカ製造の流れ!

斜め後方から見ると、真後ろからとはまた異なる丸みがよくわかる。

 「ACコブラ」が特徴的だったことのひとつは、そのスタイルとパフォーマンスを求める声が根強かったことから、1980年代に入ると、多くの企業がリプロダクション、いわゆるレプリカ製作に乗り出すようになったことだ。

 ちなみにクルマなどの工業製品にも、そのデザインに関しても登録がされていれば「意匠権」が存在し、日本ではその存続期間が現在は20年間となっている(2007年3月末までは15年間だった)。要は、届け出から存続期間が過ぎた古いクルマであれば、レプリカの製造や販売は法的に問題ないということである。ただし、商標はまた別なので、「コブラ」の名はシェルビーしか使えない。

 今回紹介した1台も、そうした「ACコブラ」のレプリカの1台。意匠権がなくなった1980年代からレプリカ製作が世界的に行われるようになり、その時代から取り組んでいるのが、英国のキットメーカーのAK スポーツカーズだ。ちなみに日本では法的に認められていないが、英国では一個人がキットから自動車を組み立て、車検を通して一般道を走らせることが可能だ。

 同社が「ACコブラ」のレプリカとして、発売しているキットが「AK427」シリーズである。同キットの最新版「Generation III “Supa Lite” Body/Chassis」が2017年に入って発表され、今回の1台はそれを組み立てたものである。しかも、組み立てを行ったのもAKスポーツカーズ自身。年間5台しか生産されないという、”ファクトリービルド”モデルである(キットの方は年間40セットが製造されている)。

 UKクラシックファクトリーはAKスポーツカーズと「ファクトリービルドAK427」の輸入契約を締結しており、2017年8月4~6日に幕張メッセで開催された「AUTOMOBILE COUNCIL 2017」の同社ブースに展示された。

いくら意匠権がなくなったからといっても、あらゆるクルマがレプリカを製作されるわけがなく、まして商売として成立させようとすればなおさら難しいわけで、それでも求められるところに、「コブラ」というクルマの人気がうかがえるのではないだろうか。

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「AK427」の特徴やスペックは?

ファクトリービルド「AK427」の特徴?

 通常はすべてユーザーがキットと、そのほかに必要なパーツを用意して自分で組み立てるわけだが、ファクトリービルドの場合はAKスポーツカーズですべてパーツも用意して組み上げ、完成品として納車される。エンジンは「ACコブラ」からの伝統に従ってアメリカンV8エンジンだが、フォード製ではなく、GM製「LS3シボレー」エンジン。排気量は6.2L、430馬力だ。

 これまでのファクトリービルド「AK427」は「Generation II」のキットで組み立てられていたが、UKクラシックファクトリーが取り扱うのは最新の「Generation III “Supa Lite” Body/Chassis」を用いたもの。そのため、まだ正式な車両価格は発表されていないが、UKクラシックファクトリーの勝見祐幸ディレクターに確認したところ、1500万円(税別)を予定しているとのことだ。そして日本での需要が高まれば、ファクトリービルドの年間生産台数も増やすとしている。

コックピット。ミッションはマニュアルだ。なお、UKクラシックファクトリーの小田原ショールームでは、今後、試乗も予定しているとのこと。

ファクトリービルド「AK427」スペック

全長×全幅×全高:3692×1727×1168mm
ホイールベース:2286mm
エンジン:GM製V型8気筒「シボレーLS3」(430英馬力)
排気量:6.2L
ボディ:グラスファイバー積層材ゲルコート仕上げ
シャシー:Generation III “Supa Lite” サテンブラックパウダーコート
駆動系:ジャガー「XJ40」のパーツを使用

2017年10月2日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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