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最終更新日:2024.04.08 公開日:2024.04.08

なぜ「N-BOX」は日本で一番売れるのか? 新型「N-BOXカスタム」をロングドライブして分かったこと。

ホンダ「N-BOX」は、Z世代から中高年まで幅広いユーザーがファーストカーとして選んでいる人気モデルだ。新型N-BOXは2023年には3代目に進化し、マルチな場面で使えるイメージを獲得しているが、その性能を確かめるべく、モータージャーナリストの原アキラがロングドライブに挑戦した!

文と写真=原アキラ

ホンダ N-BOX CUSTOM ターボ コーディネートスタイル 2トーン。カラーはプレミアムクリスタルレッドメタリック・パール&ブラック

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N-BOXの室内はやっぱり広い!

今、日本で一番売れているクルマがホンダの軽自動車「N-BOX」だ。快適性や走行性能が普通車に負けない程のレベルを保っているのが理由で、Z世代から筆者のような中高年のオーナーまでの幅広いユーザーがファーストカーとして選んでいるという。

2011年にデビューした初代N-BOXは、2017年には2代目、2023年には3代目へと進化。近所のお買い物や近場への通勤などだけに使われていた軽自動車を、ロングドライブも難なくこなせるマルチパーパスなクルマへとイメージを変えることに成功した。そんな新型N-BOXの性能を確かめるため、ロングドライブに挑戦するというのが今回の企画というわけだ。

軽自動車で長距離のテストドライブ、と聞いて思い出したのは、今から数十年前の筆者の幼少時代に、実家のある岡山で父親が所有していた初代の三菱ミニカ。当時360cc空冷2気筒18PSの小さなクルマに家族4人が乗り、なんと九州までのロングドライブを敢行したのだった。途中の山道の登りでオーバーヒートしたトラブルがあったことを覚えているのだが、なんとか別府や阿蘇山、長崎などを数日かけて巡り、無事岡山に辿り着いたのだった。

そのころと比べると、最新のN-BOX(試乗したのはN-BOXカスタムターボ4WD)は、強力な64PS/104Nmの直3DOHCターボエンジンを搭載していて、しかも今回のグレードは四輪駆動。ボディーサイズは全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,790mm、ホイールベース2,520mmというスーパーハイトタイプで、その室内空間の大きさ、特に天井の高さやリアの足元の広さには驚かされてしまう。1泊2日の2名乗車だったので荷物はそれほどでもなかったけれど、リアシートをチップアップすればベビーカーを折り畳まずに乗せたり、フラットにすれば大きなママチャリをそのまま積載できるラゲッジの使い勝手はしっかりと評価されているらしい。

キープコンセプトのエクステリアに対して、新型で大きく変わったのがインテリア。特にダッシュボードは二代目がステアリングの上からメーターを見るアウトホイールスタイルでちょっと凹凸の多いデザインだったのに対して、新型はオーソドックスなインホイールスタイルになり、小ぶりだけど四角で見やすい7インチデジタルメーターを採用している。そのため、フロントウインドウとの境界線がフラットになり、自然で見やすい視界が確保されている。助手席前にはちょっとした小物が置けるトレイと、その下には大容量のグローブボックスが設置されているなど、収納場所に困ることはない。

ホンダ N-BOX CUSTOM ターボ コーディネートスタイル 2トーンのインテリア

自転車も余裕で積載できるラゲッジスペース

トータルで430kmを試乗、N-BOXの実力はどうだった?

試乗したのは3月末。往路は強い雨の中央道で、途中でスリップ事故が起きていたほど路面はヘビーウェット状態だった。表面積が広く垂直に立っているフロントグラスに当たる雨の音が結構大きくて、自慢の静粛性を感じることができたのはトンネル通過の短い時間だけだった。ただし、走行性能面には全く不満がなく、途中でACCを使ってみても追従性能はバッチリで、普通車の流れにしっかりと付いていってくれた。

蓼科(たてしな)への登りの山岳路でも動力性能や足回りには全く不満なしで、トータル3時間ちょっとで到着することができた。フロンのベンチシートのような形状の座面については、乗車するまでは間違いなくお尻が痛くなると思っていたが、表皮の張りと材質がきちんと吟味されているせいか、結果的には快適そのものだった。

宿泊先の蓼科東急ホテルでは、大きな暖炉でマシュマロを焼いて作るスイーツ「スモア」と楽しんだり読書をしたりと、静かな時間を過ごすことができた。

途中でスリップ事故が起きていたほど路面はウェット状態だった

翌朝は、前日の雨と明け方の雪、さらに氷点下4度という低い気温のせいで、ホテル周辺の道路がガッチガチのアイスバーンと化していた。その路面状態を見てちょっとビビってしまったのだが、今回乗ってきたN-BOXは高性能なスタッドレス(ブリヂストン・ブリザックVRX3)を履いた4WD仕様だったおかげで無事にクリア。

50km離れた清里にある「八ヶ岳アウトドア・アクティビティーズ」で午前9時から開催されるセグウェイツアーになんとか間に合わせることができた。敷地内や付近のブルーベリー畑の中をセグウェイで巡るのはとても楽しく、狭い農道にN-BOXを持ち込んで2ショット撮影することにも成功した。

ここまで253km走り、清里で給油。使用したレギュラーガソリンは20.6L。満タン法で12.29km/L、メーターの平均燃費は12.9km/Lを表示していた。都内までの帰路は下り坂が多く晴天だったので、新型N-BOXが持っている静粛で快適な走りを堪能。トータルで430km走り、31.1Lのガソリンを使用。満タン法で13.7km/L、メーターの平均燃費は13.5km/Lとなっていた。

燃費についてはもう少し伸びるのでは、と思っていた(カタログ値は18.4km/L)のだが、アップダウンの多い道を走り回った結果としてはこの辺りが妥当なところかもしれない。走行性能や積載能力などの面でほぼ満足のいくクルマであることは明確で、売れているからさらに売れる「国民車」になっている状況が本物であることを理解できた。

試乗車は「N-BOX CUSTOM ターボ コーディネートスタイル 2トーン」の4WDモデル。236万2,800円の価格に、メーカーオプションの9インチHonda CONNECTナビ、ディーラーオプションのナビ連動ETC2.0、ドライブレコーダー、フロアマットなどを装備したこのクルマは273万4,600円(税込)という立派なプライスタグを掲げていた。

ホンダ N-BOX CUSTOMとセグウェイの2ショット

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