【2018/1/6~2/4】 スター・ウォーズのポスターも! 孤高のイラストレーター「生賴範義」展
「スター・ウォーズ」「ゴジラ」シリーズをはじめ、SF・時代劇・戦記物などあらゆるジャンルの作品を描き続けた稀有なイラストレーター生賴範義(おおらい・のりよし)の展覧会「生賴範義 展 THE ILLUSTRATOR」が2月4日まで、上野の森美術館で開催中だ。
世界中でブレークした「スター・ウォーズ / 帝国の逆襲」のポスター
生賴範義(1935~2015)は、多作な作家である。それは彼が、映画のポスターや書籍のカバー、広告など商業的な作品を生業としたイラストレーターとして活躍したことに由来する。
そんな彼の多くの作品の中でも、最も有名なもののひとつは1980年「スター・ウォーズ / 帝国の逆襲」の国際版ポスターであろう。
「スター・ウォーズ / 帝国の逆襲」1980年 ◆◆悪役が背景に大きく描かれ、主人公が中央に集まることで、悪が善を前に押し出すような強い印象を与えている。この斬新な構図は生賴自身のアイデアで、その後の映画ポスターの流行になった。◆◆
1978年に公開された映画「スター・ウォーズ」は、精密な宇宙船の描写や当時最新のコンピューター技術を駆使した今までに見たことのない迫力ある映像、怪獣やロボットなど空想の世界をビジュアル化した楽しさで世界中のSFファンを驚愕させた。
映画公開後、生賴が徳間書店刊の「決定版スペースSF映画の本」に描いた「スター・ウォーズ」の口絵が制作者ジョージ・ルーカスの目にとまり、続編「スター・ウォーズ / 帝国の逆襲」の国際版ポスターを手がけることになったという。
作品の前に立つと昔の自分が蘇ってくる
実際にスター・ウォーズ・ブームを経験した人は、ポスターを目の前にすると当時の興奮が、映画館の前のポスターを憧れとともに眺めている幼い自分の姿とともに蘇ってくることだろう。
「マッドマックス2」1981年 (c) 1982 Warner Bros. Entertainment
「ゴジラ」シリーズ、「マッドマックス2」、「日本沈没」といった社会現象までになった映画のポスター。平井和正の「幻魔大戦」シリーズや吉川英治や小松左京など有名作家の書籍装画。日本のSF誌の金字塔的存在である「SFアドベンチャー」のカバー。
時代を彩ったエポックメーキング的な作品世界を、緻密で独創的な技法と生命観溢れる迫力で描いた作品が一堂に会したこの展覧会は、その時代を経験した人には甘く切ない情感で、初めて接する人には圧倒的な表現力で、ビジターのエモーションを掻き立てる。
作家の”軌跡”と”奇跡”を体感
スター・ウォーズを描いていた当時、作品にどのくらいの時間がかかるのかという質問に生賴範義は答えている。
「1か月半くらいですね。大体1か月半から2か月くらい時間をかけて描くんです。芸術家のように半年とか時間をかけたりしないですね。映画は動きのあるビジネスですから、すぐに描かないと、半年もかけていたらやっていけないです。」
驚くことに、生賴は最盛期には年間130点以上の作品を制作した。作家の遺した約3000点以上の作品の中から選りすぐりの原画約248点が東京では初めて集結し、彼半世紀以上にもわたる画業の”軌跡”と”奇跡”を体感することができる。
作家のあまたの作品がピラミッド状にうずたかく詰まれた圧巻のエピローグ空間。
幻の大作「破壊される人間」が公開!
展覧会では商業イラストの作品だけでなく、画家・生賴範義として制作した絵画作品も展示されている。中でも縦2mx横4.5mという大作「破壊される人間」は画家・生賴範義の集大成とも言える作品だ。
彼自身2度、空襲に遇い目の前で戦火に巻き込まれ亡くなっていく人たちを見てきた。戦争への怒りと死にゆく者たちへの祈りが巨大なキャンバスの中に凝縮された、後世へ語り継がれるべき作品である。
「破壊される人間」1983年 (c) 生賴範義
弟子や助手の手を借りずたったひとりでイラストを描き続けた生賴範義は、“孤高のイラストレーター”とも言われる。そんな作家の魂の叫びが聞こえてくるような展覧会である。
自画像 (c)生賴範義
- 展覧会「生賴範義 展 THE ILLUSTRATOR」
- 【会期】
- 2018年1月6日(土)~2月4日(日)
- 【開館時間】
- 10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 【休館日】
- 会期中無休
- 【入場券】
- 一般・大学生 1,600円 他 ※詳細は上野の森美術館HPでご確認ください
- 【会場】
- 上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
- 【アクセス】
- ・JR「上野駅」公園口より徒歩3分
- ・東京メトロ・京成電鉄「上野駅」より徒歩5分
- 【公式サイト】
- http://ohrai.net/
- 【上野の森美術館HP】
- http://www.ueno-mori.org//
「生賴範義 展 THE ILLUSTRATOR」招待券プレゼントの応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年1月22 日(月)に郵送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
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2018年1月12日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)