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クルマ最終更新日:2018.09.18 公開日:2018.09.18

首都直下型の震度5強以上の地震が発生したら、ドライバーはどうすべき?

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赤の路線が、緊急自動車専用路として指定される一般道。緑の路線が、緊急自動車専用路として指定される高速道路など。青の路線は、必要に応じて緊急交通路として指定される代表的な一般道。

 9月は防災月間だ。折しも、6日には最大震度7の「北海道胆振(いぶり)東部地震」が発生し、日頃の訓練や準備が重要なことを感じた方も多いことだろう。企業や学校などで防災訓練・避難訓練などは行われるが、運転中に大震災に遭遇した際に備えた訓練を受けたことがある人はどれだけいるだろうか? 首都直下型の大震災に遭遇したら、ドライバーは何をする必要があり、何をしてはいけないのか。

 東京で大震災が発生した場合は、人命救助や消火活動のため、交通規制が行われるので、クルマは自由に通行ができなくなる。ここでは、国土交通省や警視庁の資料を参考にまとめてみたので、頭に入れておき、万が一の状況に備えてほしい。

一般道6路線+高速道路が「緊急自動車専用路」に!

 大震災が発生すると、まずは道路交通法第4条(公安委員会の交通規制)に基づいた「第一次交通規制」が行われ、都心部の交通量を抑制するため、東京都道318号「環状七号線(環七)」から都心方向(内側)へ流入する一般車両の通行が禁止される。同時に、東京都道311号環状八号線(環八)から都心方向へ流入する一般車両の通行も、信号制御で抑制されるようになる。ちなみに、環七自体は迂回路として走ることは可能だが、そこから内側へは入れなくなるのだ。

 そして、「緊急自動車専用路」として指定されている以下の一般道6路線と高速道路全線に対し、一般車両の通行禁止規制が実施される。上図でいうと、赤で描かれた一般道と、緑で描かれた高速道路が規制の対象となる。

【一般道6路線】
・国道4号(日光街道など)
・国道17号(中山道、白山通りなど)
・国道20号(甲州街道など)
・国道246号(青山通り、玉川通りなど)
・目白通り
・外堀通り

第二次交通規制ではさらに最大31路線が緊急交通路に指定!

 そして、震度6弱以上による大震災が発生し、都内に極めて甚大な被害が生じている場合は、災害対策基本法に基づいて「第二次交通規制」が行われる(災害対策基本法については最終ページで紹介)。まず、先ほどの緊急自動車専用路が、「緊急交通路」として優先指定される。緊急交通路として指定されると、災害応急対策に従事する車両(緊急自動車および災害対策基本法に基づく標章を提示している車両)以外は完全に通行できなくなる。

 さらに、被害状況を踏まえ、以下の一般道31路線も「緊急交通路」として指定される可能性がある。その場合も一般車両は通行できなくなるので注意が必要だ。

【緊急交通路として指定される可能性のある一般道(五十音順)】
・五日市街道
・井の頭通り
・芋窪街道
・青梅/新青梅街道
・鎌倉街道
・川越街道
・川崎街道
・北野街道
・北本通り
・蔵前橋通り
・京葉道路
・小金井街道
・小作北通り
・志木街道
・新奥多摩街道
・第一京浜
・第二京浜
・滝山街道
・多摩ニュータウン通り
・中央南北線
・東八道路
・中原街道
・八王子武蔵村山線
・府中街道
・町田街道
・三鷹通り
・三ツ木八王子線
・水戸街道
・目黒通り
・大和バイパス
・吉野街道

大震災発生時に「守るべきこと」と「してはいけないこと」!

 交通の混乱が予想される都市部で震度6弱以上の大震災が発生した場合、震災発生後に、新たにクルマを使用することは避けるべきだ。家族を迎えに行きたい、自宅へ帰りたいという気持ちはあるだろうが、道路交通が麻痺した状態ではクルマでの移動はかえって時間がかかるともいえる。

 地震発生時に運転中だった場合は、以下のように行動しよう。

 1. 走行中の場合は、急ハンドルや急ブレーキは避け、できる限り安全な運転で道路の左側に停車させ、エンジンを止める。
 2. 停車後は、カーラジオなどにより地震情報や交通情報を聞き、その情報や周囲の状況に応じて行動する(危険な場合があるので、慌てて車外には飛び出さないこと)。
 3. 高速道路を通行中の場合は、交通情報板や警察官などの誘導に従って行動する。
 4. 引き続きクルマを運転するときは、道路の破損、信号機の作動停止、道路上の障害物などに十分注意するとともに、環七の内側を通行中の場合はすみやかに環七の外側に移動する(緊急車両が通過できるようにするため)。
 5. 国道4号、国道17号、国道20号、国道246号、目白通り、外堀通りと高速道路は、地震の発生直後から消防、警察、自衛隊などの車両が通行するための「緊急自動車専用路」となるため、これらを走行中の場合は、すみやかに道路外(人の通行や災害応急対策の実施の妨げにならない場所)に移動させること。
 6.目的地に到着した後は、クルマを使用しないこと。
 7.クルマを離れる際は、エンジンを切り、キーは挿したまま、窓は閉め、ドアロックはしないでおくこと(ドライバー不在時に、道路管理者自らが車両を移動させる場合があるため)。電波式キーレスエントリーキーの場合は、キー本体は車内の目立った場所、例えばスピードメーター周辺などに置いておくこと。

もちろんドライバー自身の身を守ることも重要!

 そして、ドライバー自身の身を守ることも、忘れてはいけない重要なこと。クルマを停止させて車外に出る場合は、慌てて飛び出すと落下物などがあるかもしれず、危険な場合もあるからだ。まずは揺れが収まるまでは車内で待機しよう。

 その間、ただ待つだけではなく、ラジオをつけて情報収集をしておきたい。地震に関するニュースや道路情報、公共交通に関する運行情報などが放送されているはずだ。それらを確認した上で、置いていくクルマに関しては上のリストの通りにし、周囲の状況に応じた適切な行動をしよう。

→ 次ページ:
被災した東京を救うための作戦が用意されている!

「八方向作戦」で首都圏を救う!

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八方向作戦において、各方向から利用される道路の位置と一覧。

 首都直下型の地震によって大きな被害が生じた場合、都心に向けて周辺地域から八方向ごとに優先啓開ルートを設定し、いっせいに道路啓開を進行させる「八方向作戦」が設定されている。啓開とは、道路を通行可能なようにすることだ。

 道路啓開は、高速道路、国道、都道の被災箇所や規模が比較的小さい路線や区間を組み合わせてルート設定を行う。現地状況に応じて柔軟に対応しつつ、上下線各1車線の道路啓開が行われる。人命救助には「72時間の壁」があり、地震の発生後48時間以内に八方向最低1ルートは道路啓開を完了することが目標とされている。

災害対策基本法とは?

 都内に極めて甚大な被害が生じている場合、災害対策基本法に基づいて第二次交通規制が行われることは説明した。

 この場合、災害対策基本法の第76条の6関係「災害時における車両の移動等」が定められていることを指す。

 内容は、道路管理者は所有者に車両を移動すること、そのほか必要な処置を命ずることが可能というもの。所有者がその命令に従わない場合や、所有者が不在などの場合は、道路管理者が自ら車両の移動を行うことも可能である。1分1秒を争う道路啓開を行うために必要な法律なのだ。

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