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ライフスタイル最終更新日:2017.01.25 公開日:2017.01.25

第6回:キミは辛味のために死ねるか? 激アツ過ぎる柿の種に胃腸戦線異状あり!!

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 おっす! 開梱デカこと、芝大門署のグッズ特別捜査班の大間啓(おおま・けい)だ。みんな元気にしてたか? 俺はというと、もう年末年始は悲惨なもんで、元気なんか全然ないぜ…。2017年最初の記事だというのに、ダウナーな気分で何だけど。

 前回、課長の親切(?)のせいで逆に猛烈にヒドい目に遭って(前回、第5回はこちら)、しこたま借金をこさえるハメになった俺。今や1か月の生活費が1万円以下という非常事態で、しかもそれが何年も続くありさまときている…!!

 これ以上は切り詰めるべき要素が見当たらないので、今は、どうしたらタダ飯にありつけるかってところを考えてるぜ!

今回は(今回も?)食べ物を調べるぜ!

 というわけで、俺は考えに考えた! グッズ特別捜査班は、「グッズ」とはついているが、調べるべき対象は意外と幅広い。人々が、「その値段でそれを買って、本当に大丈夫なの?」と不安に感じてしまう商品であれば、何だって調べる対象となるのだ(ただし、高くても4000円まで、普通は2000円以下のものを調べるぜ)。

 だから、小型家電も調べれば、グッズも調べる。そして、食料や飲料もだ! 例えば、第4回の潜入捜査先でゲットした、あんな風な見た目のヤバイブツなんかはサイコーだな!!

 というわけで、空きっ腹を抱えつつ、俺は探してみた! そこで見つけたのが、亀田製菓の「50g亀田の柿の種辛さ50倍」(激辛)だ!! 1袋108円(税込)だぜ。本当にそんなに辛いのか? どれだけヤバイのか!? って切り口で迫るフリをしつつ、腹をいっぱいにするぜ! 費用も少ないので課長にもスンナリOKをもらいやすい。まさか、俺が腹の足しにしようなんて考えているとは思うまい!

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赤い! 赤いということは、通常の3倍! だが、今回は50倍だ!! この激辛柿の種の食べ具合は!?

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激辛ほか、今回はこれらの柿の種を比較で取り調べるぜ!

激辛と、ノーマル、ワサビの3種類で食べ比べだ!

 激辛は、使用されている「カプサイシン」(トウガラシに含まれる辛味成分の代表)の量が、なんとノーマルの約50倍も使われているらしい。一時はギネス記録も保持していたという、有名な激辛トウガラシ「ハバネロ」を使っているようだ。今回は、この激辛を通常の柿の種(ノーマル)と、「亀田の柿の種 わさび」(ワサビ)と食べ比べてみるぜ!

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かつて辛さでギネス世界一の記録を持っていたトウガラシ、ハバネロ。cheetahさんの撮影

 こいつは、取り調べるべき対象が3人、ということだな。現実にはひとりずつ取り調べるが、どうせ俺の妄想力をフル活用した「脳内取り調べ」だし、こいつらのキャラを設定して、まとめて取り調べるぜ!

 ちなみに脳内取り調べとは、俺の頭の中で、対象のグッズや小型家電などを擬人化し、コンクリート打ちっ放し&鉄格子つき窓の薄汚れた取調室・オブ・取調室で、きつく取り調べを行う特殊能力である! ただのたくましすぎる妄想ともいう!!

開梱デカ初の外国人キャラはメキシカンだぜ!!

「ヘイ、セニョール! ワタァシはカレらとはナカァマだが、キョーダイじゃないヨ」

 俺、どこら辺が妄想力たくましいんだよ!? ハバネロが中南米産だからスペイン語風味ってことで、メキシカンな感じしか思いつかなかったよ! スペイン語なんて、セニョールとかセニョリータとかルチャ・リブレとかしか知らねーし。ともかく、ソンブレロ帽を被ってマラカス振ってそうな陽気なオッサン、てところか?

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俺の脳内で、激辛を擬人化したのがこんな感じだ! somosomoさんのイラストだぜ!!

ワサビのキャラは長野県安曇野産なのに広島風味だ!!

「そうじゃのう。確かに激辛のヤツとは同じ組織に属しておるが、兄弟じゃないのう」

 ワサビだから渋そうって思ってたら、仁義なき抗争を繰り広げそうなイメージになっちゃったよ! 長野県安曇野産の本ワサビを使っているのに、広島弁ぽく話してるよ! それに、組織っていったって、お前ら、会社組織だろ。 

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ワサビのイメージ渋いはシブいから、仁義なき抗争を繰り広げそうな人だ! ワサビは長野県安曇野産なのに、広島弁ぽくしゃべるぞ!

「不肖、私めの後輩がお騒がせしてご迷惑をおかけしております。決してふたりは悪い者たちではないのですが…」

 この紳士がノーマルか。柿の種の元祖だから、やっぱり一番しっかりしてるな。販売されてから最も歴史があるだろうから、まとめ役ってところだな。

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優しそうなオジサンだけど、まとめ役だから、締めるところは締める(はずだ)ぜ!

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実際に3つを見比べたり食べ比べたりするぜ!

3つは見た目で違いはあるのか!?

「おい、お前ら、ちょっと袋から出てそれぞれの紙皿の上に並んでみろ。見比べてみるから」

 というわけで、3人を紙皿の上に開けて比較してみる。うーん、ノーマルとワサビはほとんど区別がつかん! 紙皿に名前を書いておかないと、いちいち味を確かめないとわからなくなっちまうな。

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こちらがノーマルの柿の種。柿の種・オブ・柿の種ってところだな。うまくてやめられない。

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ワサビ。気持ち、緑っぽい気がする。実際、ワサビの袋の中にはワサビの粉が残っており、それは薄い緑色をしている。

赤い! 明らかに赤いぜ、激辛!!

 しかし、激辛は完全にそのふたつと違う! 見た目で明らかに赤い。こいつぁ、辛そうだぜぇ…。日本では、ノーマルのものを赤くすれば3倍高性能(高速)化するっていうお約束があるが、間違いなく通常の3倍は辛くなるだろうって赤みだ! 50倍ってのはすごすぎるけどよ!!

 俺、レトルトカレーは中辛まででアップアップなんだけど、こんなに辛そうなもの食べてお腹が大丈夫なのか? なんか、安直に1食浮かそうと思ってたけど、考えが甘そうな気がしてきた!

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激辛。ノーマルやワサビと比較して赤いのがわかるだろうか? 肉眼で見比べると、より赤いのがわかるのだ。

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どれだけ激辛が辛いか科学的に迫るぜ!

ハバネロは辛さの単位でどれぐらいの値か!?

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思わず固唾をのんでしまうほどの緊張感がある、真っ赤なハバネロ。ハバネロのその驚異的な辛さとは!?

「おい、激辛。お前だけ本当に赤いな! 以前、ギネス記録だったハバネロを使ってるんだって? どんだけ辛いんだよ?」
「ユーは、トウガラーシの辛さを表す量として、『スコヴィル辛味単位(SHU)』を知ってますかぁ? ハバネロは、30万SHUあるんだーヨ!」

 何だって? SHU? ちょっと調べてみたら、100年ちょっと前に、スコヴィルさんて化学者が考案した、トウガラシに含まれるカプサイシン類(カプサイシンのほかにも辛味成分となる仲間の化合物が複数ある)の割合を示す単位らしい。

 何でも考え出した初期の頃は、調べたいトウガラシのエキスをアルコールに溶かし込んだものを、5人ほどの被験者が辛味を感じなくなるまで甘い(砂糖)水に溶かし、その薄めた倍率をSHUとしていたそうな。それによると、ハバネロは30万だという。つまり、砂糖水で30万倍まで薄めて初めて、辛さを感じなくなるいということだ!

 ちなみにこのSHUは、ヒトの味覚という個人によってばらつきがある感覚を頼りにしているため、被験者次第で変わってしまう可能性があり、現在では、高圧液体クロマトグラフィーという計測器を用いて正確にカプサイシン類の量を量る「ジレット法」が測定に使われているそうな。ただし、それで測定された量だと感覚的に辛さがどれぐらいかわかりづらいので、現在でもSHUに換算して辛さが表されているそうである。

ほかのトウガラシはどれぐらい?

「ほかに例を挙げるとぉ、『タバスコソース』が1600~5000ネ。『ハラペーニョ』が生だと2500~8000てところヨ」
「待て待て。ワシにもいわせんかい。日本のトウガラシだって負けちょらん。よく知られちょるトウガラシの代名詞的存在の『鷹の爪』は4~5万あるんじゃ。『三鷹』という品種が5~6万、そして『熊鷹』が10~15万といったところじゃい」
「なにぃ!? タバスコが高くても5000だぁ!? そんでもって、鷹の爪で4~5万だとぉ!? ハバネロの30万てブッチギリじゃねーか! 人間の食べられる辛さなのか!?」
「ところがドッコイ、まだまだ上があるんですよ。12年からギネス記録になっている”キャロライナの死に神”こと『キャロライナ・リーパー』は、なんと156万9300もあるんです!」
「ちょ、ちょ、待てよ。150万オーバーって、ハバネロの5倍!? もはや立派な武器じゃねーのか!?」
「その通りなんですよ、刑事さん! トウガラシは、催涙スプレーの原料として使われていますし、激辛トウガラシを食べて心臓麻痺を起こした人もいるなんて話もあるんですよ、実際!」
「マジかよ!?」

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日本でトウガラシといえば、鷹の爪。食したことのある者なら、この赤さを見ただけで条件反射的にその辛さを思い出せるはず。

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いよいよ実際に食べて辛さを体験するぜ!

辛さとはどのような感覚なのか?

 そろそろ実際に食べてみることにするぜ。

「お前ら、覚悟はできたか。俺が、バリバリ食ってやるぜ!」
「ヘーイ! ワターシをバリバリ食べられるかナー? 望むところヨ!」
「おう、いつでも行けるじゃけん。こちら、食べられてなんぼじゃい!」
「よろしくお願いします。くれぐれも、激辛で無理はなさらないように」

 こいつらも覚悟ができてるみたいだな! でもその前に、ヒトが辛味をどのようにして感じるのかを説明しておこう。舌の表面に辛味を感じる感覚器官があるのだろうと思った人は惜しい! 味を感じる感覚器官は「味蕾(みらい)」といい、全部で5種類ある。甘味(かんみ)、塩味、酸味、苦味(にがみ)、旨味(うまみ)であって、実は辛味は存在しないのだ!

 それではどうして感じられるのか? 実は辛味は、食べたものと舌の表面との温度差で熱い・冷たいを感じる温覚と冷覚、強い刺激で起こる痛覚など、複数の感覚を通して総合的に感じられる味なのである。いってみれば、辛味とは実態のない味覚ともいえるだろう。

実験その1! まずは20個を1個ずつじっくり食べてみる

 というわけで現実に戻って、いよいよ本番だ。まずは辛さを確かめる実験その1として、それぞれの柿の種20個を、ひとつずつ口に運んで味わってみる。1種類終わるごとに間に水で口をゆすいで前の柿の種の辛さを極力取り除く。順番は、ノーマル→ワサビ→激辛だ。

 まずはノーマルを20個。…うん、わずかには辛さを感じるが、辛いのが苦手で甘党な俺でもバリバリ食えるな。この辛さなら、腹一杯になるまで食べても何の問題もない。

 次はワサビだ。ワサビの辛味は、すり下ろされることで『シニグリン』という苦味物質がワサビの細胞内の酵素『ミロシナーゼ』と反応することによって、『アリルからし油』という辛味物質が生まれることで生じるそうだ。こいつは揮発性が高いため、鼻にツ~ンと来るのである。逆をいえば、早く食べないと、ツ~ンがなくなってしまう。それを保存食であるお菓子で再現できるのだろうか?

 というわけで、20個食べてみると、ちょっとだけ鼻に来た! やっぱ、ワサビは鼻ツ~ンだな! でも、それほど来ないので、ツ~ンを味わいたかったら、もっと多量に食べる必要があるようだ。

 なお、ワサビ系の辛味は即効性なのでシャープ系に分類される。すぐに辛さが来るが引くのも早い。逆にトウガラシ系はホット系といわれ、遅効性だが、辛味の持続性も長いのが特徴だ。

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見るだけで条件反射的にツ~ンと来そうなワサビ。柿の種ワサビも多量に一気食いすれば、ツ~ンと来る!

激辛20個を食べてみると…!!

 そして本命の激辛だ! とりあえず食べてみる。あれ? そんなに辛くないじゃん? とりあえず、どんどん1個ずつ食べていく。パクパク食べれるじゃん? どこら辺が激辛50倍だよ! …などと思っていたら、来た! ヤバイ!! これが遅効性か! 口で息ができない!! 空気が通るだけで火がついたようになる!! 唇にもくっつけたから、ひりひりしてきた!

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激辛を20個。この程度だが、人によっては七転八倒する可能性あり。

 俺は大急ぎで念のために用意しておいた水をがぶ飲みする。…が、大して引かない!! もう、口の中に水を含みっぱなしにして、常時水冷状態にして、辛いのを何とかこらえながら調べたら、カプサイシンは油やアルコールとなじみやすい親油性であって、水には溶けにくい疎水性の特徴を持つことが判明!

 どうやら、牛乳だとかアルコールを飲むのがいいらしい。俺はアルコールはダメだから、牛乳がほしいが、用意してない! 仕方がないから、このまま辛さが引くのを待つ。

 そして、辛さがほぼ完全に気にならなくなるまでにかかった時間は、おおよそ25分。どんだけ水を飲んだか。この調子で実験を続けたら、タポンタポンになっちまうな!

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続いて、実験その2だ!

実験その2:今度は40個一気食いにトライーツ!

 次は、倍の40個を紙皿から流し込んで一気食いに行くぜ! ノーマルはどうということないが、やはりワサビはツ~ンと来た! くーっ、やっぱり、ワサビは涙が出るほどツ~ンと来ねーとな! このツ~ンを涙ぐみながら耐えてこそ、江戸っ子ってもんでぇ! ってな具合だ(俺、父方が3代以上続く、江戸っ子だぜぇ)。

 そして、激辛だ。さぁ、覚悟を決めて、40個、ざらざらっと行くぜ! さっきのように1個1個食べていったのと違って、一気に口の中に流し込んでバリバリ食べたから、案外来ない…と思っていたら、やっぱり来た来た来た! ヤバイヤバイヤバイ!! 水、水、水~! ダメだ、今度は含みっぱなしの水冷でもあんまり辛さが引かねー! 面倒くさがらずに牛乳を買いに行っておくんだった!

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激辛40個。さすがにこの数になると、一気食いすると、胃腸が…。

 …はぁはぁ、食べてから今回も20分以上が経って気にならないレベルになってきた。いやー、もう、いくらタダ飯にありつきたいからっていったって、こりゃ大失敗だったなー。まぁ、でも腹がふくれたからいいか。

 …と思ってたんだけど、なんか胃腸が変だぜ。重だるいような、イヤ~な感じだ。空きっ腹に食べたので、激辛柿の種に内臓をやられたに違いない…!

 その後、俺は運良く、第1回のかき氷器の時のようにトイレに出たり入ったりを延々と繰り返すハメにならずには済んだのだが、どうにもこうにも胃の調子が変で、このまま行くと吐血して殉職するんじゃないかと不安になり、胃薬を買うハメになった。1食浮かすどころか、逆に高くついちまったぜ! なんかみみっちい話だなぁ…。そしてもうひとつ、俺はもう二度と激辛お菓子は食いたくない、という新しいトラウマができたのを実感したのであった…。これまた小さな話だなぁ…。

 なお、激辛は期間限定なので生産はすでに終了しているが、店頭には意外と残っているようなので、トライしてみたい人は、近所のコンビニを回ってみるといいだろう。芝大門署のそばの複数のコンビニにはまだあったぜ。

 しかし、次は、もっと食べやすいものにするぜ(さらに「俺が買い食いデカだ!!」に改題か!?)! でも、気が変わったらごめんな!

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ネタ切れで、また夕陽に戻っちゃったぜ。やっぱ、デカといえば、吠えたくなるような夕陽だよな。

芝大門署、グッズ特別捜査班、そして登場人物はすべてフィクションです。
亀田製菓は実在の会社で、柿の種シリーズは同社から発売されている実在の商品です。

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