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ライフスタイル最終更新日:2023.06.19 公開日:2018.11.30

柚子の里「水尾」で楽しむ、柚子風呂と鶏鍋で過ごす極上の時間。

秋の京都といえば紅葉に彩られる古都のイメージだが、11月下旬~12月にかけて収穫の最盛期を迎える柚子を栽培する「水尾」にも魅力的な楽しみがある。そんな水尾の「柚子風呂」と「鶏鍋」をレポート!

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晩秋の日差しを浴びて実った柚子。柚子は日本古来のかぐわしき果実だ。

 11月下旬~12月にかけて収穫の最盛期を迎える柚子。日本では、冬至の日に柚子風呂に入る風習がある。柚子風呂には血行を促進し体温を上げる効果があるため、冬風邪を引かずに過ごせると言われている。そんな柚子を古くから栽培している水尾(京都市右京区)で、「柚子風呂」と「鶏の鍋料理」が楽しめるという。秋の京都といえば紅葉に彩られる古都のイメージだが、ちょっと足を延ばして、奥座敷ともいえる水尾で、柚子風呂と鶏鍋を堪能してきた。

柚子風呂・鶏の鍋料理が楽しめる水尾

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水尾は清和天皇ゆかりの地としても知られている。柚子風呂はその頃からあったという説も。

 急峻な愛宕山の南麓に位置する水尾は、四方を山に囲まれた小さな集落である。寒暖の差が大きい山峡部の斜面で育つ柚子は、香りも味もとびきり優れているため日本全国の有名菓子店、料理店で重宝されている。

水尾には、柚子農家など9軒(2018年11月現在)からなる柚子風呂振興連絡会があり、ここに連絡すると予約状況などに応じて柚子風呂と食事を供する会員宅や料理店などを紹介してもらえる。会の窓口となる連絡先は、毎年持ち回りで変わるので注意が必要だ。(要予約:4名以上から予約可能)。

さらに知っておきたいのは、水尾の柚子風呂はもともと柚子農家の「おもてなし」から始まったということ。個人宅や料理店であるので、旅館のような大きな浴槽や男女別の風呂はなく、グループで訪れた際には、順番に入浴する必要がある。もちろん宿泊もできない。しかしながら、その個人宅に招かれて、地元の人と交流しながら鍋を食べ、柚子風呂に入るという雰囲気こそが水尾の良さであり、ここでしか味わえない心も体も温まる「水尾流のおもてなし」なのである。

柚子風呂と鶏の鍋料理「直八」

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通年営業だが、紅葉と色づいた柚子の両方が楽しめる晩秋~初冬は特におすすめの季節だ。

 今回訪れたのは、水尾の柚子を使った加工品を製造販売している農事組合法人 京都水尾農産が直営している料理店「直八」。より良い食材を求めるプロの料理人や有名食品、化粧品メーカーでも使用している柚子を、食事はもちろんのこと風呂でも楽しめる。筆者が訪れた時は、紅葉が始まった頃で所々に色づいた木々が見られた。

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甘酸っぱい柚子茶と、お茶うけの柚子の甘露煮と柚子マーマレード。どれも柚子の風味が鮮やか。

 到着すると、まずは柚子茶と、柚子のお茶うけが登場。香りと甘さに心がほどけていくようだ。一息ついてからお風呂へ。

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柚子がゆらゆらと漂う風呂。収穫したばかりの柚子はやはり香りが強い。「直八」の風呂は1つなので、男女別々に順番で入浴する。

 「直八」の柚子風呂は、一見、柚子が少ないように見えるが、実は、一個一個がとても大きく、湯船に浮いている袋の中にもぎっしりと詰まっていた。収穫したばかりの柚子がふくいくと香り、なんとも清々しい気分になる。道中の疲れが一気に吹き飛んでいくようだ。

京都水尾農産代表の村上和彦さんは、「柚子は全国で栽培されていますが、水尾産の柚子を初めて味わう方は香りと味の豊かさに驚かれますね」と語る。

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お座敷でくつろぎながら鍋料理が味わえる。

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写真は、京赤地鶏のすき焼き。予約時に鉄鍋ですき焼き風に味わう京赤地鶏のすき焼き(1名5300円)か、骨付き肉を使う京赤地鶏の水炊き(1名5500円)を選ぶ。料金は柚子風呂、送迎代込み。

 柚子風呂の後にはお待ちかねの鶏鍋「京赤地鶏のすき焼き」が登場。新鮮な地鶏の肉と内臓類、自家栽培のとれたて野菜がたっぷり。鶏肉はプリプリとして旨味も抜群だった。もちろん柚子入り大根おろしなど柚子の風味も堪能できる。鍋のほか、付きだし(柚べし、花山椒のつくだ煮、柚子みそ)、柚子ゼリーなどもついて、ボリューム満点である。

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左から柚べし、きゅうりの柚子味噌かけ、花山椒のつくだ煮。

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鶏水炊きには、柚子を練り込んだ餅が入っているそうだ。

 柚子風呂で温まり、ほんのり柚子の香りをまとったまま、柚子たっぷりの食事を楽しむのは心地よいことこの上なし。直八は、基本4名以上で予約ができるが、同日に4名以上の予約が入っている場合はそれ以下の人数でも予約できるそうなので、まずは問い合わせてみて欲しい。

水尾までのアクセス

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心癒されるのどかな山里の風景。京都一周トレイルコースになっていることもありトレッキングを楽しむ人も多い。

 水尾は、観光地である嵐山から約10キロと距離はそれほどないが、嵯峨方面からは峠越えになる。そして道は舗装はされているもののかなり細く、離合できない部分も多い。車幅がある車では困難で、ある程度の運転技術も必要だ。JR保津峡駅からハイキングがてら歩くか、水尾の自治会バスを利用。あるいは予約先に送迎してもらうことをおすすめしたい。

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たわわに実る水尾の柚子。実が大きくて驚く。今年は色づくのが少し遅めだそう。

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「直八」では、おみやげ用の大きな柚子のほか、柚子に自家栽培のハバネロを合わせた京都水尾農産特製の柚子こしょう、柚子味噌、柚子マーマレードなどが購入可能。自家製のつくだ煮や柚子の甘露煮、梅干しも並ぶ。直八以外でも集落内の各所で、おみやげを購入可能。

 京都市内とはいえ観光地の喧騒とは無縁。特に柚子がたわわに実る頃の景観は別天地の趣がある。柚子風呂と鶏の鍋料理の前後に、集落内で昔ながらの風景を満喫したり、清和天皇陵などをのんびり散策するのもするもよし、トレッキングや愛宕山登山の打ち上げに立ち寄るプランもいいだろう。一度訪れたらぜひまた訪れたくなる、それが水尾の柚子風呂と鶏の鍋料理のもてなしだ。

関連リンク

2018年11月19日(雨輝・松本葉子)

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